『炎上』を防ぐ対策<個人編>

『炎上』を防ぐ対策<個人編>

スマートフォンの爆発的な拡散により、日本は、未就学児でさえインターネットの操作が出来てしまう世の中に変貌しました。
そんな中、いたるところで起きている『炎上』は、インターネットに対する理解の乏しさを反映しているとも言えるでしょう。
そのような危機感と背中合わせの状態で、どのようにすれば『炎上』とは無縁の平和なインターネットライフを送ることが出来るのでしょうか。

インターネットリテラシー

炎上する原因として、「インターネットの利用に関するリテラシーが低い」ということがしばしば指摘されます。”インターネットリテラシー”とは、インターネット上における理解、解釈、分析を指します。
しかし、このご時世ではインターネットに繋がる際に、理解、解釈、分析をその都度意識している人はほとんどいないでしょう

具体的な炎上原因

炎上する原因は、以下の3項目に大別されます。

① SNSが世界中に公開されているという認識の欠如
② 歪んだ自己承認欲求・自己顕示欲
③ 「特定」されることがない、という誤解

これを、具体的に個別で見ていきます。

スマートフォンをいじっている風景

①SNSが世界中に公開されているという認識の欠如

「SNSが世界中に公開されているという認識の欠如」に関しては、もう一歩踏み込んだ読解をする必要性があります。
というのも、ユーザーは、実際には「世界中に公開されている」ということを分かっています。しかし、それがどれほど危険な状態なのかということが分かっていない場合が多いのです。

手軽さ⇔危険性

スマートフォンやタブレット等の普及により、インターネットに「いつでも」・「どこでも」繋がれる環境になりました。
一昔前まではPCを立ち上げなくてはならなかったことも、今では片手に収まるまでに変容しました。電車内でも、座っている人全員がスマートフォンを触っている、という現場を目撃した人もいらっしゃるでしょう。それほどまでに、私たちの生活はインターネットに裏付けられた言動・行動になっています。
そして、それがあまりに”当たり前”なため、ユーザーはインターネットへの「接続」に対する意識が減り、ひいてはSNSへの「投稿」が第三者に見られる、という可能性を軽視するようになってしまいました。

流出する個人情報

しばしば「自分の個人情報が流出された」という苦情が警察に持ち寄られますが、その中で、顔写真、勤務先、通学先等を、一時的にだけでもかつて公開したことがあるというユーザーは少なくありません。
そう、そのようなクレーマーの多くが、自分に非があると分かっておらず、拡散させた他人が悪いと思い込んでいるのです。
これでは、自業自得としか言えないため、警察が動いてくれることはほぼないでしょう。

友達の友達の友達は誰?

SNSの利用に関して言えば、”友達”に対する「ウケ狙い」として、非常識な写真や動画をアップロードすることがあるでしょう。
しかしそれは、全くの軽はずみな行動であり、その存在は”友達”にとどまらず、すぐに広がっていきます。友達の友達の友達を知っている人はほぼ皆無だと思われます。
すると、「でも自分は”友達”が少ないから大丈夫」と開き直る人がいますが、リスクの大きさは友達が多い人と変わらないのです。例えば、

① Aさんのフォロワー10人
② Aさんのツイート⇒フォロワー10人にしか配信されない
③ その10人のフォロワーのうちの1人であるBさんのフォロワーは100人
④ BさんがAさんのツイートをリツイートまたはコピペする
⑤ AさんのツイートはBさんのフォロワー100人に拡散

こうして、Aさんの10人に対するツイートは、数えられないほどの人々の間に広がっていくのです。

②歪んだ自己承認欲求・自己顕示欲

SNSを利用しているユーザーの中に、「注目されたい」「目立ちたい」「驚かせたい」という自己顕示欲が強い人が一定数存在します。

炎上目的のようなツイート

そしてそのようなユーザーは、「自分は特殊である」という思いから、政治的な発言や思想・信条に関わるような内容、について、過激な発言、極端な意見、犯罪自慢等をツイートします。ここまで来ると、炎上を目的としているとしか思えません。
あるいは、反感を買いやすい発言にも注意が必要です。例えば「気狂い(きちがい)」・「新平民」等という差別用語を、いともカジュアルに使うのです。

自分だけの世界

上述のような炎上を起こされた場合、「自分のみが絶対正しい」「付いてこられないのは相手がバカだからだ」と悦に浸るユーザーがよくいます。
交流関係が限られていたりすると、ユーザーは自分にとって心地よい情報を進んで取り入れ、都合が悪いことはシャットアウトします。そのため、自分の正当性を信じ込み、自己承認欲求を抱きます。
すると、必然的に、自分だけの世界の住人と化していくのです。

友達と他人の線引き

インターネット世界にはまると、実際に会ったこともないのに相手を友達とみなしたり、信頼をおくことがあります。しかし、相手がそれ(自分)を他人だと認識すると、自分にとって都合の悪いことまで相手に拡散されてしまうということもあります。
例えば、勤務先での愚痴をSNSに書き込み、それを親しい”友達”に読ませたために、”他人”だと思われていた相手により、情報が拡散されて会社での信用を失い、退職にまで追い込まれた、というケースも実際にあるのです。

③「特定」されることはない

インターネット上では、「特定」されることがない、という匿名性、が免罪符のようにまかり通っています。
果たしてそれは本当に「特定」されることのない安全な火遊びなのでしょうか。

1.「特定の仕方」発信者情報開示請求

確かに匿名性は高いのですが、現実には、発信者情報開示請求等を通じて、誰が何を書き込んだかを「特定」することは可能です。
しかもそれは、本名・住所・メールアドレスまで、調べ上げることが出来ます。

2.「特定の仕方」ログ

発信者情報開示請求をしなくても、過去の書込み等を参考に「特定」する、という方法もあります。
それはなんと、書き込みの時間帯やぽろっとこぼしてしまったプライベートの情報のみを使って、発信者情報開示請求よりも詳しく「特定」されることもあります。(学生か社会人か・仕事の内容・勤務先・居住地等。)

3.「特定の仕方」SNS

上述の2つの手段以外には、SNSのアカウント名で「特定」されるおそれがあります。
例えば、「Twitter」でじゃ匿名にしておいても、ブログで自分の情報を明示していれば、ブログの情報から「Twitter」の利用者を「特定」出来ます。

警察官

終わりに

インターネットの世界では様々な可能性があり、言うなれば、自分のSNS等の炎上さえ、現実世界とかけ離れた刺激として享受することもあるでしょう。
しかし、自分の情報がすべて明かされることが、どれほど恐ろしいことなのかをきちんと把握しなければ、取り返しのつかない事態に陥るのです。
「特定」は可能ですが、インターネット上に流出した個人情報を全て削除することは非常に難しいです。
自分の責任での炎上は対処しなければなりませんが、そもそも、炎上になりそうな話には、”君子危うきに近寄らず”と、再認していただければと思います。