ネットで塗りつぶされている 理由は?ジャニーズ事務所の肖像権と著作権

  • 2018.01.29
ネットで塗りつぶされている  理由は?ジャニーズ事務所の肖像権と著作権

ネット上で雑誌の表紙が掲載されていると、ジャニーズ事務所所属のタレントが写っているはずなのに、その姿だけがグレーで塗りつぶされている画像を見たことはありませんか ?

その理由は、ジャニーズ事務所がタレントの肖像権や著作権に厳しい姿勢をとっているからです。
このため、ファンだからと言ってタレントの写真や動画を勝手に撮影し、ネット上に公開するとも違法となる場合があります。

肖像権とは?

肖像権とは、無断で顔や姿、形を写真、動画、絵画、彫刻などにされたり、それを公表、利用されない権利です。
この権利は、プライバシー権パブリシティ権の2つの側面から見ることができます。

プライバシー権とは?

プライバシー権とは、一般人か著名人を問わず、無断で写真や動画、絵画や彫刻などにされない権利です。つまり、プライバシーの侵害をさせない権利です。
例えば、友人か知人問わず、承諾なしに写真を撮影し、それを雑誌やSNSに掲載するとプライバシー権の侵害に該当します。

パブリシティ権は?

パブリシティ権とは、芸能人やスポーツ選手などの著名人は、有名であるがゆえに肖像権が制限されていると解釈されています。その一方で、有名人そのものに肖像には経済的な価値があり、それを本人が独占できる権利を指します。

例えば、有名人が飲食店で食事をしているところに遭遇して、芸能人に会えたことの嬉しさから勝手に写真を撮り、それをSNSに公開してはいけないということです。

著作権とは?

著作権とは、映画、音楽、小説、絵画、建築など 、思想 または感情をもとにした創作物 の、著作者が持っている権利です。ほぼ全てのものに著作権は発生していると考えることができ、それはジャニーズ事務所のアイドルのライブパフォーマンスにも発生します。

どうゆう行為が違法なるの?

■【NG】違法になる場合

NG 詳しい説明
テレビやDVD、雑誌や写真集の中面 を写真、動画でネット上に掲載  タレントの肖像権のほか、テレビ番組などは 製作者に著作権があります。それをYouTubeやSNSに投稿することは違反になります。
有料の雑誌や写真集の中面を、写真や動画などでネットに載せる行為も同様に権利 の侵害に該当します。
コンサート、イベントの模様を写真、動画で撮影しネット上に掲載  コンサートやイベントの会場内での撮影は禁止されている場合がほとんどです。さらに、その模様を写真、動画でネット上に掲載する行為は著作権の侵害にあたります。
また、その内容を文字にしてネット上に載せる行為もマナー違反です。
ファンクラブの会報の中面を写真、動画で撮影しネットに掲載  会報のような冊子は、有料・無料かは 関わらず製作者に著作権があります。そのため、承諾を得ずに中面を写真や動画でネット上に掲載することは違反となります。

■【OK】違法にならない場合

OK 詳しい説明
雑誌に掲載されている写真を切り抜いて、コルクボードなどに貼って部屋に飾る  雑誌の切り抜きを集めて部屋に飾るのは違法になりません。私的の使用の範囲になります。
しかし、これを売買すると違法にある場合があります。
タレントの 写真をもとに、イラストを書いて楽しむ  テレビ番組に出演した際の映像や雑誌の写真をもとに、肖像画やイラストを描き、部屋に飾ることは違法になりません。

基準が不明確な著作権

著作権は、知名度こそ高い法律ですが、その内容を全て知っている人は少ないことでしょう。
例えば、漫画家が作品のセリフを、歌手が自ら作詞した楽曲でパクられたと主張して訴えたケースがあります。
裁判所は、著作権違反を認めず、歌手の勝訴となりましたが、このようなケースは違反か否かの判断が難しいとされています。

このように、著作権は基準が明確でない部分があります。判断に悩んだ場合は、弁護士に相談してみることも解決方法のひとつです。

ノートパソコン

雑誌はOK!ネットはNG

ジャニーズ事務所は、公式ウエブサイトにタレントの写真を公開しています。しかし、前述したとおり、その他 のウエブメディアでの写真や動画の使用は禁止しています。そのため、雑誌の表紙を飾っても、本来写っているはずの所属タレントの姿は抜き取られた形で掲載しています。

それは、テレビドラマや映画などの制作発表会見でも同様です。所属タレントの写真は、雑誌や新聞などいわゆる‘紙媒体’への掲載はできますが、‘ウェブ媒体’に載せることはできません。

ネット上でNGの理由

ではなぜ、ウェブ媒体にだけは載せることが出来ないのでしょうか。
ネット上の性質として、画像や文章が簡単にコピー&ペースト(コピペ)が可能ということが考えられます。

例えば、雑誌の表紙ならその目的 のみの契約で取材を受け、それが実行される可能性が極めて高いです。しかし、ネットの場合は第三者の画像のコピーによって拡散してしまう恐れがあります。
そうなると、タレントの肖像を管理できなくなることが理由として挙げられます。
ジャニーズ事務所は、ネットで画像を使用するという根本を禁止することで、タレントの肖像を守る姿勢をとっているようです。

芸能人たちの訴訟

肖像権や著作権を巡っては、これまで多くの芸能人が出版社などを相手取り訴訟を起こしています。その一部をご紹介します。

ジャニタレ訴訟

ジャニーズ事務所所属のアイドルグループ・SMAP(当時)、TOKIO、KinKiKids、V6のメンバーらが、無断で書籍に写真を掲載されたとして出版社を相手に訴訟を起こしたことがありました。

判決では、タレントらのパブリシティ権が認められ、出版社へ約5,400万円の賠償支払、出版禁止が命じられました。

深田恭子、綾瀬はるから女性芸能人21名が訴訟

肖像権のパブリシティ権を巡っては他にも、女優の深田恭子さん、綾瀬はるかさんら女性芸能人21名が、無断で雑誌に写真を掲載した出版社に訴訟を起こしています。

こちらの判決も、女性芸能人のパブリシティ権の侵害が認められ、約700万円の賠償支払を出版社に命じています。

天秤

ジャニーズの肖像権・著作権厳守の包囲網

人気タレントを多く抱えるジャニーズ事務所は、その組織も大きく、いくつかの子会社を持っています。その中でも株式会社アートバンク は、タレントの肖像権や著作権の管理を行う企業のようです。

肖像権や著作権を侵害する写真や動画が、第三者によってネット上に載せられた場合、掲載されているサイトへ連絡をして削除をしてもらうことが可能です。
アートバンクは、ネット上を見回り、削除の対象となる写真や動画を発見した場合は、サイト側へ削除の申し出を行うなどの業務も行っているとされています。

ファン監視の目を光らせる

ジャニーズ事務所の所属グループには、それぞれファンクラブが存在します。その会員数は、一番人気の嵐で200万人(2017年11月時点)を超えるとされています。

その中には、ジャニーズ事務所の肖像権や著作権の管理に協力するファンもいるそうです。
個人のファンサイトで、タレントの写真や動画を使用しないことはもちろん、他に違反しているサイトがあれば、自ら削除を求める連絡を入れることもあるといいます。
肖像権や著作権の侵害を訴えられたサイト側は、ほとんどが削除に応じるとのことです。

このように熱心なファンの働きもあって、ジャニーズ事務所のタレントの肖像権や著作権は守られているようです。

違反掲載…削除してくれない場合

前述したとおり、アートバンクや熱心なファンが肖像権や著作権違反をしているサイトに削除依頼をしても、無断でタレントの写真や動画をネット腕に掲載する行為は後を絶たないのが現状です。
その中には、削除依頼を受けても実行しない例も少なからずあることでしょう。その場合、弁護士に依頼して削除を求めるという手段もあります。

肖像権と著作権は他人事ではない!

この記事では、ジャニーズ事務所所属のタレントの肖像権と著作権についてご紹介しました。これは芸能人だけではなく、誰にでもその権利を侵害される可能性はあります。

著名人には、その人自体に商品価値があり、それを本人が独占できるためにパブリシティ権の側面があると前述しました。芸能人のように有名ではなくても肖像権、プライバシー権は保障されています。

例えば、リベンジポルノのように自分の性的な部分を晒されることはプライバシー権の侵害にあたります。

もしも、ネット上に自分の肖像、プライバシーを侵害する行為を見つけた場合は、早急にネット上のトラブルに強い弁護士に相談して、削除を依頼することが可能です。

開示請求

弁護士に削除依頼の相談をすると、「開示請求」という選択肢を提示される場合が考えられます。

開示請求とは、コンテンツプロバイダ(サイト運営者)へ投稿者のIPアドレス、問題の書き込みがされたタイムスタンプ(日時)などを提示させ、インターネットプロバイダにその情報を照会して投稿者を特定する手続です。
インターネットプロバイダに照会する際、問題の書き込みのアクセスログ(コンピューターの接続履歴)の保存を求めておくことが重要です。

インターネットと“権利”侵害

先手必勝!誹謗中傷発信者に迫る『証拠』保存の方法

もしも、肖像権や著作権の侵害が他人事ではなくなることは、誰にでも突然訪れる可能性があります。
その際は、冷静にネットに強い弁護士に相談を持ちかけましょう。

ネット上での写真掲載を一部解禁

 ジャニーズ事務所は2018年1月31日、ネット上でのタレントの写真掲載を一部解禁しました。

 この日、関ジャニ∞の錦戸亮さんが、映画「羊の木」(2月3日公開)の日本外国特派員協会の記者会見に出席。所属事務所がネット上での写真掲載を一部解禁したことを受けて、会場に駆け付けたマスコミの写真撮影に応じました。

 この記事でお伝えしたように、これまでジャニーズ事務所は、肖像権保護の観点からタレントのネット上での写真掲載を禁止していました。
 今後は、記者会見や囲み取材、舞台挨拶で撮影した写真について、ネット上での掲載を認める方針を示しました。