犯人を探して訴えてやる!誹謗中傷の被害者が弁護士に相談するメリットとは?

  • 2018.06.25
犯人を探して訴えてやる!誹謗中傷の被害者が弁護士に相談するメリットとは?

インターネットが普及した現代。パソコンやスマートフォンは、人々の生活に欠かせない存在となっている中で、ネット上のトラブルも頻発しています。
トラブルの中でも多いのは、「誹謗中傷」問題です。ネット上で他人の悪口を書込み、それが原因でトラブルになる事例が多発しています。

今回の記事では、ネット上で誹謗中傷の被害者になってしまい、弁護士にトラブル解決を依頼した場合、どのような対処法があるのかをご紹介します。

誹謗中傷がたくさん

現在、インターネット上には、匿名で書込みができる掲示板が複数あります。代表的なサイトでは、「5ちゃんねる」(旧2ちゃんねる)が有名です。ネットを利用する人であれば、一度は耳にしたことのあるサイト名ではないでしょうか。

他にも、「爆サイ」「したらば」など5ちゃんねると類似の匿名掲示板、「ホスラブ」など水商売に特化した掲示板が存在します。
また、飲食店の口コミサイト「食べログ」、求職者を対象にした企業の口コミサイト「転職会議」など店舗や企業の評価を書き込む匿名性の高いサイトもあり、誹謗中傷の温床となりやすい場となっていることが現状です。

どのような内容の誹謗中傷があるか

実際にどのような内容の誹謗中傷がネット上に飛び交っているのでしょうか。
例えば、以下のような言葉は、ネット上で見受けられる誹謗中傷の言葉です。

■「○○会社の○○さんは、社内で不倫している」

■「○○さんは、前の会社で横領してクビになった」

■「○○さんは、もとキャバ嬢です」

■「○○会社の社長は、女子社員にセクハラをしている」

■「○○定食屋は、ご飯に異物が入っていた」

このような言葉を、名指しで書き込まれた場合、仕事や生活に支障をきたす恐れもあります。
誹謗中傷によって具体的にどのような被害が考えられるのか、次項でお伝えします。

誹謗中傷の被害

誹謗中傷する内容を書き込まれた本人は、ネットという不特定多数の人が閲覧できる場所で悪口を書かれているわけですから、精神的なダメージを負うことでしょう。
その他にも、家族にも影響を及ぼしたり、経済的な損失を受けたりすることも考えられます。上記の誹謗中傷の例文をもとに、被害が予想される内容を後述します。

被害の想定①~社内不倫が噂された場合~

例えば、上記の例でも挙げた「○○会社の○○さんは、社内で不倫している」という内容の書込みがされた場合で、どのような被害が想定されるでしょうか。書込みされた本人は、男性の妻子持ちと仮定します。

不倫をしていると聞いて、決して良いイメージは持ちません。特に、女子社員からは嫌悪感を抱かれ、総スカンを食らう可能もあり、周囲からは冷ややかな目で見られ肩身の狭い思いをすることが考えられます。

そして、人事や出世にも影響することが考えられます。不倫はコンプライアンス(法令や規則を守る)違反とされ、さらに職場の規律を乱したとして左遷や降格、減給処分など厳しい処分が下されることが予想できます。

被害の想定②~企業(団体)が受ける被害~

ネット上で誹謗中傷を受けるのは個人だけではありません。企業などの団体組織も誹謗中傷のターゲットになり得ます。

上記の例で挙げた「○○会社の社長は、女子社員にセクハラをしている」とネット上に書き込まれた場合、会社の存続危機に晒される被害を受けることも考えられます。

例文では、「○○会社の社長」と社長個人を標的にしているようにも思えますが、社長は会社の代表であり、顔でもあります。したがって、この場合は企業に対しての誹謗中傷と捉えることができます。

会社への誹謗中傷の被害として、まず真っ先に「企業イメージのダウン」が考えられます。

そして、「求人を出しても人が集まらない」、「内定者が辞退する」など働く人が集まらなくなってしまうことも想定されます。
また、その会社が製造、販売する商品があれば、消費者たちが「不買運動」を起こすケースもあります。

明日は我が身…誰もが被害者になる可能性

お伝えしたように、ネット上で誹謗中傷されると深刻な被害を受けてしまう可能性があります。

そして、ネット上の誹謗中傷のターゲットは、誰もがなる可能性があります。例えば、凶悪事件で逮捕された犯人と名前が似ていることで家族と間違われ、ネット上でいわれなき誹謗中傷に苦しんだ実例もあります。

もしも、ある日突然、誹謗中傷のターゲットになった場合、どのように解決することが良いのでしょうか。

解決するために

ネット上で誹謗中傷されていることを知ったら、一刻も早く解決へ向けて対応することが重要です。

最初は、「バカ」など抽象的な悪口だったとしても、次第にエスカレートして「殺すぞ」などの脅迫へと発展する可能性もあります。また、ツイッターなどのSNS上での悪口は、リツイート機能で拡散することも考えられます。

ネット上の誹謗中傷は、決して甘く見ることはできないため、書込みが確認された時点で対応を考えることが必要です。

問題解決への一番の近道とは?

ネット上のトラブルを早急に解決したいならば、弁護士に相談することが一番の近道と言えます。

なぜならば、冒頭でもお伝えした通り誹謗中傷は、匿名性の高い掲示板を舞台に行われることが多いため、被害者は加害者が誰かわからないケースがほとんどです。
つまり、誹謗中傷問題は、被害者にとって名前も顔も知らない相手との戦いとなります。

そして、日本は憲法で「表現の自由」を保障しています。匿名掲示板のサイト運営者は、誹謗中傷トラブルで責任を問われると、この権利を盾にしてくる傾向にあります。
つまり、自らが運営・管理する匿名掲示板で、他人を誹謗中傷する悪質な書込みがあったとしても、「その書込みは投稿者(利用者)の表現の自由の範囲内で、削除する必要もないし、自分たちには何の責任もない」と主張することが考えられます。

したがって、誹謗中傷の被害者になった場合、自らで問題を解決することは難しいと予想されます。

弁護士に相談することは、一般的に考えて少し敷居の高いことかもしれません。しかし、 近年のインターネットの普及で、ネット上のトラブルは急増しています。それに伴って、さまざまな経験を積んだネット上のトラブルに強い弁護士が存在します。

弁護士に依頼するメリット

ネット上のトラブルで、弁護士に相談するメリットは、どんなものがあるでしょうか。

まずは、誹謗中傷の書込みを、法的な手続きをとって削除できる可能性が高くなります。弁護士が加入することで、問題の書込みがされたサイト運営側を相手に、裁判所で簡易的な裁判を起こし、削除の仮処分を下してもらうための手続きができます。

そして、匿名掲示板で誹謗中傷した、顔も名前も知らない加害者を特定できも、弁護士に依頼することで犯人を探し出せる可能性も出てきます。

匿名性の高いサイトで、誹謗中傷の書込みをした人物を特定するには、「開示請求」という手続きを行います。次項で詳しくお伝えします。

開示請求とは?

開示請求とは、相手が持っている情報を提示させる手続きです。
今回のようなネット上の誹謗中傷トラブルについて開示請求する目的は、問題の書込みをした人物(犯人)を探し出す手段として行います。

開示請求の具体的な流れ

開示請求の手順としては、まず最初にコンテンツプロバイダ(サイト運営者)へ投稿者のIPアドレス(インターネット上の住所)、タイムスタンプ(投稿がされた日時がわかるもの)などの情報を提示させます。
その後、インターネットプロバイダ(ネット回線会社:例・docomo、KDDIなど)にIPアドレスとタイムスタンプの情報を照会して投稿者の氏名、住所などの個人情報を求めます。
インターネットプロバイダに照会する際、問題の書き込みのアクセスログ(コンピューターの接続履歴)の保存を求めておくことが重要です。

インターネットプロバイダは、利用者からネットの使用料金などを徴収しているため、氏名や住所、電話番号などの個人情報を把握しています。しかし、企業にとって顧客の個人情報は簡単に提示することは難しいことが現状です。したがって、情報を求める弁護士は、インターネットプロバイダに対して情報を開示させる仮処分の裁判を起こす必要があります。

また、開示請求で問題の書込みをした人物を特定するには、場合によっては3回ほどの裁判を起こす必要があるため、労力と時間を費やすことになります。

犯人特定でできること

開示請求を経て、誹謗中傷した犯人を特定できた後は、どのような行動をとることができるのでしょうか。

■警察に誹謗中傷した犯人を逮捕してもらう

■誹謗中傷の犯人に損害賠償請求をする

誹謗中傷をした犯人にたいして、上記2つのことができると考えられます。

では、「警察に逮捕してもらう」とは、犯人はどのような罪に問われる可能性があるのでしょうか。

名誉毀損罪

「名誉毀損」とは、他人の社会的評価を下げる言動を言います。内容が本当か嘘か、相手が個人か企業などの団体かは問われません。

不特定多数の人が知り得る状況下で、他人の品性や能力を社会的に下げるような言動は、刑法230条で定める「名誉毀損罪」に問われる可能性があります。
3年以下の懲役50万円以下の罰金と定められています。

侮辱罪

「侮辱」とは、相手を軽視して、抽象的な言葉で名誉を下げる言動を指します。
例えば、「バカ」「アホ」「カス」「クズ」「ブス」など具体的には言わずに、漠然とした表現で相手の社会的評価を下げると、刑法231条で定める「侮辱罪」にあたる場合があります。
罪に問われると、拘留または科料に処される可能性があります。

脅迫罪

「脅迫」(きょうはく)とは、相手を脅し、恐怖を与える行為です。
例えば、「お前を殺すぞ」と相手の命を脅かす言葉を、一言口だけでも発しただけで脅迫罪に該当します。これは本人のみならず、親族への告知も含まれます(第2項) 。

「生命、身体、自由、名誉または財産に対して害を加える旨を告知」(第1項)と条文には記載されています。これを一つひとつ例に上げると下記になります。
生命…「お前を殺すぞ!」「娘を殺すぞ!」
身体…「殴るぞ!」
自由…「娘を誘拐するぞ!」「閉じ込めてやる!」
名誉…「世間に公表するぞ!」
財産…「家に火をつけるぞ!」「ペットを殺すぞ!」

脅迫罪は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が定められています。

業務妨害罪

業務妨害罪とは、①偽計業務妨害罪と②威力業務妨害罪の2つに大きく分かれます。

①偽計業務妨害罪とは、ウソの噂話しを流して人を欺き、業務を妨害することです。なお、この方法で人の社会的信用を損なわせることも同罪となります。

この罪は、範囲が広く故意に行った行為が仕事中の人に迷惑を書けた場合、それが悪質と判断されると犯罪が成立します。

事例として、旅行会社に勤務する社員の男性が、高校の遠足バスを手配することを忘れたことで、生徒を装って自殺をほのめかす手紙を学校に送りつけ、遠足を中止させようとした事件がありました。これは、バスの手配を忘れたミスを隠すためにした行為で、旅行会社社員は偽計業務妨害罪で逮捕されました。

このように、「バスに爆弾をしかけたぞ!」などの直接的な脅迫ではなく、「自殺をほのめかす」という遠回りの方法で学校の業務を妨げたことも罪に問われることになりました。

②威力業務妨害とは、相手を圧倒的な力で押さえつけるような方法を用いて、業務を妨害することです。
例えば、「市役所に爆弾をしかけたぞ!」と脅し、市役所の業務を妨げる行為などです。

過去にはこのような事例もあります。スーパーマーケットにゴキブリ数十匹をばら撒いたとして、女性が威力業務妨害で逮捕されました。
この行為は、ゴキブリを巻き散らかすという直接的で有効的な方法で、スーパーの業務を妨げたため、犯罪が成立しました。

偽計業務妨害、威力業務妨害の法定刑は、3年以下の懲役50万円以下の罰金です。

損害賠償請求も可能

上記でお伝えしたように、誹謗中傷した犯人が警察に逮捕され、裁判で有罪となると相手には前科が付きます。

その他にも、民法709条の不法行為に沿っての相手に損害賠償請求(慰謝料)を請求する可能性もあります。
いわれなき誹謗中傷によって、心身ともに傷ついた被害者は、金銭によって解決することも考えられます。

この場合も弁護士が入ることで、加害者側との詳細な交渉などがスムーズに運べる可能性が高くなります。また、裁判で慰謝料を請求することになっても手続きを弁護士に任せることができます。

最後に

インターネットが人々の身近な存在になったことで、顔の見えない相手とのトラブルが後を絶ちません。
トラブルを抱えると人間は不安な気持ちで押しつぶされそうになることもあるでしょう。そのようなとき、多くのトラブル解決の経験をもつ弁護士を味方につけることで、心強くなります。