ネット上で誹謗中傷された場合の「開示請求」手続きの手順と方法

  • 2018.06.28
ネット上で誹謗中傷された場合の「開示請求」手続きの手順と方法

インターネットの普及で人々の暮らしが豊かになった一方で、ネット上のトラブルも多発しています。
 その多くのトラブルが、他人の悪口を匿名掲示板やSNSに書き込む誹謗中傷です。トラブルの舞台は匿名性の高い掲示板、SNSが多く、書込みをした相手が誰なのかわからないことで問題が複雑化する傾向があります。

 この記事では、匿名性の高いサイトで誹謗中傷を受けた場合、書込みを行った犯人を割り出す手段として用いられる「開示請求」の手続きについて詳しくお伝えします。

誰もが被害に遭う可能性

 ネット上の誹謗中傷は、誰しもが被害者になる可能性を持っています。

 「誹謗中傷」とは、人の悪口を徹底的に言うことです。ネットなど不特定多数の人が見ることができる場所での誹謗中傷は、これまでは芸能人などの著名人がターゲットになりやいとされてきました。

 しかし、現在は飲食店の口コミサイト、求職者を対象にした企業口コミサイト、水商売を中心とした口コミサイトなど、有名人だけでなく一般の人や企業に焦点を当てた匿名掲示板が多く存在します。
 したがって、有名人だけに限らず誰もが誹謗中傷の被害者になってしまう環境がネット上にあります。

 また、凶悪事件の犯人と「名前が似ている」、「住所が違い」、「職業が同業種」など理由で、一般人が凶悪犯の親族と間違えられて執拗な誹謗中傷に遭った事例もあります。

 もしも、ネット上の誹謗中傷の被害になってしまったら、どのようにして解決に向けて行動すれば良いのでしょうか。

誹謗中傷の被害にあったら弁護士に相談

 ネット上でいわれなき誹謗中傷に遭った場合、弁護士に相談することが、問題解決に向けた一番の近道となることでしょう。

 誹謗中傷トラブルは、問題の書込みを裁判によって削除できる可能性があり、さらに加害者側が法に触れている可能性があります。
 現在、ネット上のトラブルに精通した弁護士が存在します。

開示請求とは?

 開示請求とは、一般的には特定の物事の内容、性質などを明らかにするように求めることをいいます。つまり、相手が持っている情報を提示させるための手続きです。

 匿名掲示板で誹謗中傷された場合、この開示請求の手続きを利用して、悪口を書き込んだ相手を特定することが可能です。

 では、具体的にどのような手続きができるのでしょうか。

開示請求の具体的な流れ

 誹謗中傷された場合の、開示請求の流れを、順を追ってご紹介します。

① 誹謗中傷が行われたサイトの管理者(コンテンツプロバイダ)に、問題のある書込みをした人物のIPアドレス、タイムスタンプの提示を求めます。

情報の提示を求める際、「発信者情報開示請求書」と題された書類を送付するか、若しくは裁判所によって「発信者情報開示仮処分」を下してもらう必要があります。

② 入手したIPアドレスとタイムスタンプの情報をもとに、次はインターネットプロバイダ(ネット回線会社)に、問題の書込みをした投稿者の氏名、住所、電話番号などの個人情報の提示を求めす。

 ネットを利用者は全て、いずれかのインターネットプロバイダを利用しています。利用者は、ネット使用料金をインターネットプロバイダに支払っているため、企業は顧客の個人情報を必ず把握しています。

 しかし、ネット回線会社としては、顧客の個人情報を提供するわけですから、要請を受けても慎重な姿勢をとる傾向にあります。

③ インターネットプロバイダに対して、アクセスログの保存を求めておく必要もあります。
 アクセスログとは、パソコンへの接続記録のことで、3~6ヶ月ほどの保存期間とされています。したがって、記録が消される前に保存を求める必要があります。
 これも裁判で仮処分を下してもらう必要があります。

加害者側の視点

 インターネットプロバイダを通じて加害者には、「意見照会回答書」が届き、氏名や住所、電話番号などの個人情報を提示するか否かの判断を仰がれます。

 個人情報を提示しないことを選ぶこともできますが、拒むことによって裁判に至る可能性が高くなります。
 裁判に敗訴すれば個人情報は提供されてしまいます。

犯人が判明したその後…

 開示請求によって書き込みの犯人が特定された場合、その後はどのような行動をとればよいのでしょうか。

 加害者の身元が判明すると、加害者に対して刑事告訴や損害賠償請求を行うことを検討できます。

■刑事告訴

 刑事告訴とは、警察などの捜査機関に、刑法に定められている法律に違反していることを理由に捜査を依頼し、加害者を逮捕してもらうように依頼をすることです。

 開示請求で犯人の身元が判明した場合、刑法である名誉毀損罪や侮辱罪、脅迫罪や業務妨害罪での捜査、逮捕を依頼することが考えられます。

■損害賠償請求

 損害賠償(慰謝料)とは、民法で定められている不法行為によって、相手に金銭を請求することができることです。

 ネット上の誹謗中傷で精神的なダメージを受けた場合、本来ならば前述したように警察に逮捕されるかも知れない内容だが、慰謝料を支払うことによって和解することを検討することができます。

誹謗中傷で問われる罪

最後に

 匿名性の高い掲示板やSNSが身近な存在となっていて、他人を誹謗中傷する書込みが後を絶ちません。

 「匿名で本名がわからないから、他人を傷つけることを書いても平気」
 このような安易な考えで書込みをする人が多いようですが、この記事でお伝えた「開示請求」の手続きを踏むことで、ネットうえに匿名が存在しないことをわかります。

 一時的な感情で他人を傷つけるような言葉を書き込みそうになった場合は、ひとつ深呼吸して、心を落ち着かせて善悪の判断をしてみてはいかがでしょうか。