ネット上の違法削除業者に依頼しちゃダメ!非弁行為との関係を解説

  • 2018.07.17
ネット上の違法削除業者に依頼しちゃダメ!非弁行為との関係を解説

インターネットが普及したことで、ネット上のトラブルも増えています。
例えば、匿名掲示板やSNSで誹謗中傷などの被害を受けて悩んでいる人も多いことでしょう。
問題を解決しようとする人の中には、‘違法業者’に依頼をしてしまう人もいるかも知れません。

この記事では、弁護士法72条の「非弁行為」とネット上のトラブルについてお伝えします。

弁護士法72条「非弁行為」とは?

「非弁行為」とは、弁護士法72条で定められている違法行為です。
その内容は、弁護士以外の人が、報酬を得ることを目的に、訴訟や示談など法律に関わる行為をしてはいけないという旨が定められています。

例えば、交通事故の示談や離婚の交渉、債権の回収なども法律行為であり、報酬目的で弁護士以外の人が行うことは禁じられています。

違反すると2年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられます。

嵐・櫻井翔主演のドラマ「特上カバチ!!」で見る非弁行為

「非弁行為」という言葉は、たびたびニュースにも登場します。

2010年に放送されたテレビドラマ「特上カバチ!!」(TBS系)の内容の一部で、非弁行為と疑われる表現があり、大阪弁護士会が放送局のTBSに猛抗議したというニュースがありました。

このドラマは、原作・田島隆氏/漫画・東風孝広氏の漫画「カバチタレ!」を実写ドラマ化したもので、身近な法律問題を取り上げ、それを主人公の行政事務所に勤務する補助者
・田村勝弘と、行政書士の有資格者・住吉美寿々が解決していくストーリーです。

大阪弁護士会は、ドラマの内容に対して「行政書士が法律で定められた業務範囲を明らかに超えた法律相談を行っている」と抗議。「文書作成料名目であれば、実質的には交渉の報酬であっても行政書士が受けとってもよいと誤解を生む内容になっている」などの指摘をしました。

そもそも、行政書士とは?

そもそも、ドラマに登場する「行政書士」とは、建設業の許可申請や風俗営業許可申請、定款など官公署に提出する書類を、他人から報酬を得て作成する職業を指します。
つまり、法律が絡む難しい書類を代わりに作成するという「代書屋」の役割を担っています。

したがって、行政書士は法律の知識を要する職業です。しかし、弁護士のように依頼者と一緒に裁判に出廷したりすることはなく、依頼者の代わりに交通事故の示談交渉や離婚の交渉などを、報酬を得て行うことはできません。

「大阪弁護士会」VS「TBS」両者の主張でわかる非弁行為のポイント

大阪弁護士会は、ドラマの中で弁護士ではない行政書士とその補助者が、依頼者から得た書類作成料の中で、示談交渉などの弁護士業務を行っていると主張。これは弁護士法72条で定める非弁行為に該当するとしています。

ですが、「行政書士の活躍を描いたドラマ」という設定上、主人公がひたすらデスクに向かって書類を書くだけのドラマでは、作品として成り立たないことでしょう
そのため、ドラマ制作側としては、「書類作成以外の部分は、お金をもらっていない」という理論で描いていると予想されます。

つまり、大阪弁護士会側は「交渉などの弁護士業務を、書類作成料に含めてもらっていると誤解しやすい!」と主張し、TBS側は「書類作成料しかもらってないという設定だから問題ない!」と主張しています。

ここでわかることは、弁護士法72条の非弁行為は、「お金をもらっているか否か」ということで、「お金をもらったらアウト!」「お金をもらっていなければセーフ!」ということになります。

「ネット上のトラブル」と「非弁行為」

 ここからは、「ネット上トラブル」と「非弁行為」についてお伝えします。

 現在、ネット上では他人を徹底的に批判する「誹謗中傷」行為が横行しています。
 この現状を受けて、「格安で誹謗中傷トラブルを解決します!」などの言葉で被害者に近づく違法業者が存在します。

違法業者…何が「違法」なのか?

 誹謗中傷トラブルの多くは、5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)などの匿名掲示板やツイッターなどのSNS上で発生します。

 被害を受けた場合、大きく分けて2つの解決策があります。

①誹謗中傷の書込みがされたサイトの管理者に、問題の投稿の削除求める。

②誹謗中傷の書込みをした犯人を特定し、損害賠償請求を求める。

 上記の2つの方法は、プロバイダ責任法(注釈1)で定められている手続きを以て、相手に要求することができる法的手続きです。
 つまり、本来この手続きは本人若しくは代理人(弁護士)のみが行うことができるものです。(対象となる訴訟が140万円以下の場合、司法書士でも可)

 これを弁護士が何ら関わっていない業者が行うと、前述した「非弁行為」とみなされ、「違法」となる可能性があります。

○注釈1
 プロバイダ責任法とは、ネット上でトラブルに巻き込まれた場合、サイト管理者やネット回線会社のプロバイダが負う責任の範囲、被害者がプロバイダに対して情報の提供を求めることが可能なことを定めた法律。

違法業者がネット上に蔓延る理由

 ネット上でのトラブルは、違法業者が介入しやすい状況と言えます。
 その理由として、例えば交通事故の示談交渉や借金(債権)の取り立ては、相手と対面若しくは電話などで、直接言葉を交わしてやり取りを行います。

 しかし、前述した2つの誹謗中傷トラブルの解決策は、相手と直接対面することなく、書面でのやり取りで事を進めることが可能な状況です。
 そのため、本来ならば本人若しくは弁護士が行う手続きを、本人でも弁護士でもない第三者が行いやすく、違法業者が蔓延りやすい環境と言えます。

違法業者から受ける被害

 ネット上の誹謗中傷被害に遭った場合、精神的に追い詰められ、正当な判断ができずに違法業者に削除を求めてしまうケースがあります。

 また、違法業者は、「格安!最短!誹謗中傷を削除します!!」などと言葉巧みに被害者に近づきます。その中には、自らは「弁護士」であると偽るという、さらに悪質なケースもあります。

 では、違法業者に誹謗中傷の削除を依頼した場合、どのような被害が想定できるのでしょうか。

■「費用を支払ったのに削除されない」

■「サイト運営者が違法業者からの削除依頼と見破り、非弁行為だとサイトに掲載」

 違法業者に削除を依頼すると、上記のような誹謗中傷の2次被害に遭う可能性があります。
 このような被害を防ぐため、次項では違法業者を見破るポイントをご紹介します。

違法業者だと見破るポイント

 前述したように、ネット上で誹謗中傷された場合、問題の書込みの削除を求める法的手続きは、本人若しくは弁護士が行うことができます。
 したがって、削除を他人に依頼する場合は、弁護士に依頼をすることになります。

 しかし、違法業者の中には、実在する弁護士の名前を語って近づいている業者がいます。その場合、どの部分を見て「違法業者」と見破れば良いのでしょうか。

■①「弁護士であれば、通常、依頼者と対面しないで引き受けることはない!」

■②「所属する弁護士会に問い合わせる」

 上記①は、通常であれば弁護士は、相談を受けた後、依頼を引き受ける場合、必ず依頼者と対面して話しを聞きます。

 弁護士と偽る違法業者の多くは、依頼者との対面を拒むため、そのような対応をする業者は「違法業者」と疑っても良いでしょう。

 ②は、弁護士と名乗り近づいてきた業者に、所属する弁護士会を訪ねることもひとつの手段でしょう。
 少しでも疑わしい箇所がある業者は、所属する弁護士会に問い合わせ、弁護士会から弁護士本人に連絡をとってもらうことも可能です。

最後に

 何かしらのトラブルに巻き込まれ、精神的に追い詰められた人に対して、善良な仮面をかぶって近づく悪徳業者は、いつの時代も、どこの世界にも存在します。
 
 万が一、ネット上でトラブルに巻き込まれた場合、まずは冷静になることが大切です。そして、落ち着いて一つひとつ判断することで、例え違法業者が近づいてきても回避できることでしょう。

 もしも、違法業者かもしれない少しでも疑った場合、この記事を思い出して頂けると幸いです。