ネットの匿名は身元がわかる!名誉毀損で訴えた時の慰謝料の相場は?

  • 2018.12.04
ネットの匿名は身元がわかる!名誉毀損で訴えた時の慰謝料の相場は?

インターネットに他人の悪口を書き込むと慰謝料(損害賠償)を請求される可能性があることをご存知でしょうか?
SNSやブログ、掲示板に他人の悪口を書き込むと、名誉毀損で訴えられるケースがあります。

 この記事では、ネット上で他人を名誉毀損した場合、被害者から請求される慰謝料の相場をお伝えします。

名誉毀損とは?

 「名誉毀損」とは、不特定多数の人が知り得る状況下で、他人の社会的な評価を下げるような言動を行うことです。これは名誉毀損罪(刑法230条)で規定され、違反すると3年以下の懲役または50万円以下の罰金と定められています。

 事例として、元大阪市長の橋下徹氏が、性接待を受けたことがあると、週刊誌「週刊文春」が報じたことがあります。橋下氏は名誉を傷つけられたとして発売元の文藝春秋に対して1,100万円の損害賠償を求める裁判を起こしました。
 裁判所は、報道の内容が名誉毀損であると認め、橋下氏の政治家としての評価も下げたとして文藝春秋に220万円の支払を命じています。

 この事例をもとに名誉毀損を噛み砕いて説明すると、週刊誌に記事が掲載されるということは、不特定多数の人が知り得る状況になります。
そして、報道の内容は、当時政治家であった橋下氏が、性接待を受けていたことがあるという社会一般的に見て嫌悪感を抱くようなものでした。したがって、橋下氏の名誉を損なわせるものと裁判所は認めています。

名誉毀損を訴える3のポイント

 名誉毀損で訴える場合、以下の3つの要素が必要になります

①公共の利益を図る目的があること(公共性)
②公共の利害に関する事実であること(公益性)
③真実であると証明されるか、または真実であると信じるに相当の理由があること(真実性)

 つまり、上記の2例は、①世間に公表することで、人々のためになり、②世間に公表しなければ、人々の損益になりかねないものであり、③内容が真実であり、真実であることを証明できることが、名誉毀損で訴えることができるか否かのポイントになります。

ネット上の名誉毀損

 前述の「週刊誌」同様に、「ネット」は不特定多数の人が見ることができる場所です。そして、ネットの普及により「名誉毀損」はとても身近な犯罪となってきています。

 ツイッターなどの「SNS」、アメブロなどの「ブログ」、5ちゃんねるなどの「掲示板」。これらはネットがつながる環境があれば、誰もが自由に書込みを行うことができます。また、匿名で利用できることもあり、他人への誹謗中傷の舞台になりやすいことが現状です。

 では、ネット上で行われる名誉毀損とは、具体的にどのような事例があるのでしょうか。

■例1
「〇〇会社の〇〇社長は、暴力団と深いつながりがある!」

■例2
「〇〇ラーメン店の店主は過去に逮捕歴がある!」

例1の場合、暴力団(反社会勢力)と事情の契約や金銭の貸し借りを禁じる「暴力団排除条例」に反しているとも捉えかねないため悪質と言えます。暴力団との関わりなないことが証明できれば、名誉毀損で訴えることができる可能性があります。

例2の場合は、前述した3つのポイントのうち「公共の利益」「公共の利害に関する事実」があるかどうかが訴えることができるか否かの判断基準となると考えられます。
つまり、店主の逮捕歴を世間に公表することが、世間の人々にとって得となるか、損となるかの判断となります・

プロバイダ責任制限法を駆使して解決しよう!

 ネット上で誹謗中傷などの被害を受けた場合、プロバイダ責任制限法という法律を使って解決を図ることができます。

 プロバイダ責任制限法とは、ネット上で誹謗中傷や著作権侵害などのトラブルが発生した場合、インターネットプロバイダやサイト管理者などの「プロバイダ等」に対する責任を定めた法律です。
 プロバイダを保護している法律ですが、被害を受けた人も保護しています。

 では、ネット上で名誉毀損などの被害を受けた人は、プロバイダ責任制限法を以てどのような方法で解決を図れるのでしょうか。

送信防止措置依頼

 「送信防止措置依頼」とは、問題の書込みの削除を依頼することです。

 プロバイダ責任制限法では、ネット上で名誉毀損などの被害に遭った場合、「送信防止措置依頼書」と題した書面を送付することで削除を申立てることを認めています。書類は、サイト管理者に送付します。

 サイト管理者は、書込みの削除が妥当であると判断した時で、さらに書込みを行った人物(発信者)の連絡先を把握している場合、削除依頼が来ている旨を通知します。
 発信者が削除を拒んだとしても、サイト管理者が「削除が妥当」と判断下した場合、発信者からサイト管理者が責任を追求されることはありません。

発信者情報開示請求

 「発信者情報開示請求」とは、SNSやブログ、掲示板などに匿名で書込みを行った人物を特定ができることを言います。
 例えば、掲示板に匿名で誹謗中傷の言葉を投稿した人物の氏名や住所、メールアドレスなどの情報を、インターネットプロバイダなどへ提示を求めることです。提示を求める相手は、インターネットプロバイダです。

 ネット利用者は、使用料金をインターネットプロバイダに支払っているため、氏名や住所などの個人情報を把握しています。

 つまり、「匿名だから、相手の名誉を毀損するようなことを書いても、自分が書いているとはわからないだろう」という考えは通用しません。

 書込みの人物が判明することで、被害者は加害者に対して慰謝料を請求することが可能です。

慰謝料に相場がある!

 ネット上で名誉毀損の被害に遭い、書込みの犯人がわかったことで慰謝料請求行うことになった場合、「いくら請求できるのか?」と気になるところではないでしょうか。

 物の値段には「相場」があります。そして、慰謝料にも「相場」があり、相手に請求する際の参考となります。
 では、ネットで名誉毀損の被害を受け、相手に慰謝料請求する場合の相場はいくらでしょうか。

ネットの名誉毀損、慰謝料の相場は?

 ネット上で名誉毀損された場合の慰謝料の相場は、個人の場合でズバリ!10万円~50万円とされています。
 また、事業主(企業)の場合は、会社の売上などの利益に影響がでる可能性があるため、50万円~100万円と言われています。

 特殊なケースを挙げると、ヌード写真に関わるような性的な要素が含まれた場合は100万円以上とされます。芸能人が被害者の場合も、収益に影響する可能性があるため100万円以上が妥当です。

ネットは高額?だんだんと引き挙がる慰謝料の相場

 名誉毀損は、テレビや新聞、雑誌などのメディアが加害者になるケースがあります。それは、メディアが報じた内容が名誉毀損で定める「不特定多数の人が知り得る状況」に置かれるためと考えられます。
要するに、メディアが発信した情報は、あっという間に日本中に知れ渡ることが考えられます。
 そのため、メディアが加害者の場合、名誉毀損の慰謝料の相場は高いとされています。

 ネットが普及したのは、ここ数十年のうちです。当初は、ネット上の名誉毀損の慰謝料相場は低く設定されていました。ですが、ネットが人々にとって身近な存在となってきたことで、相場は引き上がっていることが現状です。

 現在、ネットの慰謝料相場は、テレビや新聞、雑誌と比べても相場は低いですが、今後はこれらを上回ることが予想されます。なぜならば、テレビや新聞、雑誌は、基本的に国内で放送されたり流通したりしていますが、ネットに掲載される情報は世界中の人が見ることができるからです。
 つまり、「不特定多数の人が知り得る状況」が日本だけではなく、世界中になるということです。

 

最後に

 ネットの急速な普及で、人々はまだまだネットを上手に使いこなせてないとも言えます。既に現代で、ネット上の匿名は存在しなくなっています。

 そして、前項でお伝えした通り、ネット上の名誉毀損の慰謝料相場が引き上がるとなると、一般の個人が被害者の場合でも100万前後になる可能性があります。

 安易な気持ちでネットにネガティブなことを書いてしまう人は、大きなトラブルになる前に今一度、ネットとの付き合い方を見直してみることをオススメします。