インターネットと“権利”侵害

  • 2017.09.21
インターネットと“権利”侵害

インターネット上でトラブルが起きやすいのが、『権利侵害』です。しかし、それは法律で定められた権利のうち、どのような権利に該当するのでしょうか。
ここでは、インターネットの世界の中で侵害され得る権利を、法的性質に基づきご説明いたします。

01.名誉権

名誉というと、有名な人、偉い人に関わる権利だと思われがちですが、それは正しくはありません。名誉は、すべての私人が平等に持つ権利なのです。

名誉とは

ここでいう名誉とは、社会生活の中で、周囲からどのように見られるのか、評価されているのかを指します。そして名誉が社会的評価である限り、私人はもちろん、法人も守られるべき権利なのです。

名誉権の侵害

ある人が誹謗中傷を受けた時、それが事実無根であれば名誉権の侵害ですが、それが真実だった場合は、社会的に役立つ情報です。この2つの見極めとしては、

○公共の利害に関する事実に関わること
○それが公益を図る目的であること
○要点をかいつまんだ事実が真実であること
(かいつまれた要点の事実が事実であると信じるについて相当な理由があること)

という条件を満たせば、名誉権の侵害だとはならないと定められています。

パソコンとハードカバー

02,プライバシー権

“プライバシー”は耳にすることが多いですが、こちらは、

○私生活上の事実、または事実らしく受け取られるおそれがある事柄であること
○一般人の感受性を基準に公開してほしくない事柄であること
○一般にいまだに知られていない事柄であること

と、満たすべき3つの要件を定めた判決があります。

“プライバシー”の範囲

例えばリベンジポルノであれば、まさにプライバシー権の侵害です。
ところでここで分かりにくいものに、“氏名”や“住所”等が挙げられます。“氏名”、“住所”は、(郵便配達等の)第三者のために掲げられた情報です。
そのような、氏名や住所を掲げた“表札”は、一見プライバシーがないもののように思われます。しかし2002年の判決により、自分が嫌だと思う人に対する情報は、プライバシー権の範囲内であると考えられるようになりました。

03.肖像権

まず、肖像権の定義がこちらです。

○みだりに撮影されない権利(撮影の拒絶)
○撮影された写真等をみだりに公表されない権利(公表の拒絶)
○肖像の利用に対する本人の財産的利益を保護する権利(パブリシティ権)

そして、肖像権の侵害にならない取り決めがこちらです。

○被写体の同意がある
○人物の特定が出来ない
○公の場所・公の行動
○被写体となる人の社会生活のマイナス要因にならない

このように、写真に関する取り決めがされた肖像権は、しばしば写真が作品である「著作権」と問題になります。詳しくは後述の「著作権」でお伝えいたします。

パソコン業務
☆写真入れる:working

知的財産権

人間の知的活動によって生み出されたアイディアや創作物等には、財産的な価値を持つものがあります。そうしたものを総称して、『知的財産』と呼びます。本記事では、以下の4つの知的財産権を見ていきます。
知的財産権
産業財産権 著作権等
① 商標権(マーク)
② 意匠権(デザイン)等 ③ 著作権
④ 不正競争の防止等

①商標権

『商標』とは、事業者が自社の商品・サービスを他社のものと区別するために使用するマークです。商標は、事業者が消費者の信用を積み重ねることにより、「このマークなら信頼がおける」といったもの言わぬセールスマンとして、商品やサービスの場として重要な役割を担っています。そのセールスマンが、『商標権』です。

②意匠権

商品のデザインは、魅力的であるほど真似をされることが多くあります。その商品のデザインを、財産として守ってくれるのが、『意匠権』です。
また、意匠制度は、新しく創作した意匠を保護する一方、その利用も図り、意匠の創作を奨励、産業の発達に寄与しようというものです。

③著作権

文芸、学術、美術、音楽といった著作物を保護するための権利が著作権です。「肖像権」で述べた“有名芸術作品の写真の使用”は、写真そのものが作品であるとされ、著作権が発生するのです。
著作物の「私的使用」や「引用」は、著作権の侵害とはなりません。しかし、インターネットで晒すようなことをすると、世界中からアクセスが出来るため、「私的使用」の範囲を逸脱しているので、かなりの注意が必要です。

著作権と引用

「引用」は、

① 公表された著作物であること
② 公正な慣行に合致すること
・引用の必要性があること
・どの著作から引用されたものなのか明示されていること
・著作者の意に反する改変をしていないこと
・その分野の慣行に従っていること
③ 目的が正当な範囲にあること
・引用された部分が明確であること
・引用する側が「主」で、引用される側が「従」といえる関係にあること

ということが満たされていれば、利用可能です。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

クリエイティブ・コモンズは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)を提供している国際的非営利組織とそのプロジェクトの総称です。
CCライセンスとは、インターネット時代のための新しい著作権ルールで、作者が条件を付した範囲内であれば、その作品を自由に使うことが出来る、という、意思表示のためのツールなのです。
11.
例えばこのマークだと、「原作者のクレジット(=氏名・作品名等)を表示することを主な条件とし、改変はもちろん、営利目的での二次利用も許可される」という、CCライセンスの中でも最も自由度が高いものです。

④不正競争の防止

不正競争防止法は、営業秘密を不正な方法で取得したり、第三者に開示、利用するといった行為を禁止しています。その営業秘密として保護されるには、

○秘密として管理されていること(秘密管理性)
○事業活動に有用な技術または営業上の情報であること(有用性)
○公然と知られていないこと(非公知性)

この条件を満たさなければなりません。

名誉感情と名誉毀損

最後に、誰にでも持たれる「A.名誉感情」と、誰にでも起こり得る「B.名誉毀損」を考えます。

A.名誉感情

まず、最も気になるのが「名誉」と「名誉感情」の違いではないでしょうか。「名誉」という場合、通常は社会的評価を言いますが、「名誉感情」というのは、プライドや自尊心のことを言います。
つまり、「名誉」は客観的であるのに対し、「名誉感情」は主観的である、という解釈が出来ます。
但し、「名誉感情」の侵害を主張することは簡単ではありません。侵害に対する相当の数の侵害立証といった専門性が必要になるので、弁護士に相談することをおすすめします。

B.名誉毀損

名誉毀損とは、他人の名誉を傷つける(=毀損する)、不法行為や犯罪のことです。また、根も葉もない嘘や噂の場合にも、名誉毀損は成立します。
そんな名誉毀損ですが、侵害が認められれば、慰謝料を請求することも出来ます。芸能人はさておき、一般人が被害者となる名誉毀損事案の場合の慰謝料の相場は、10万円~100万円の間であることが多いです。こちらもトラブルの際は弁護士を頼りましょう。

スマホをいじっている光景

終わりに

意図していれば当然のことですが、インターネット上では、無意識に見知らぬ第三者の権利を侵害し得るということをご理解いただけたでしょうか。
言葉の暴力は長い間忌み嫌われていたものですが、昨今のスマートフォンの普及により、特に画像や動画が非常に身近なものになりました。
そういった時代の潮流の中で、インターネット社会における権利侵害は見過ごすことが出来ないものへと昇華しました。本記事における個人の『権利』を参考に、インターネットの被害者にも加害者にもならずにいただければ幸いです。