ネットにおけるコンプライアンス違反の事例

  • 2019.05.07
ネットにおけるコンプライアンス違反の事例

「コンプライアンス」という言葉を社会人ならば、一度は聞いたことがあることでしょう。企業は営利目的だけを追求するのではなく、社会的な責任も大きく求められています。

 この記事では、「ネットにおけるコンプライアンス」についてお伝えします。

「コンプライアンス」とは?

 「コンプライアンス」(compliance)とは、日本語に訳すと「法令遵守」という意味です。ここ数十年で知られるようになった比較的に新しい言葉と言えます。
この言葉が使われるようになった背景には、食品偽装やリコール隠しなど、近年、企業の不祥事が相次いで発覚したことがあります。企業が法令を守り、社会的通念や倫理を遵守することで、「社会的責任」を果たすことも求められています。

【事例】企業の不祥事

 過去に、企業が起こした不祥事は、以下のようなものがあります。

三菱リコール隠し

 自動車メーカーの三菱自動車が2000年代、同社の乗用車部門、トラックやバスの「三菱ふそう」による大規模なリコール隠しを行っていたことが相次いで発覚しました。

 「エンジンに関するクランクシャフトに欠陥がありエンジンが停止する」「燃料タンクのフタが破損して、燃料が漏れる」などのリコールの内容がありましたが、管轄する運輸省(現・国土国交省)へ報告せず、内部告発などによって明るみになりました。

 一連のリコール隠しでは、2件の事故を引き起こし、2名が犠牲になっています。

船場吉兆の食品偽装

 「船場吉兆」とは、大阪市内で営業していた高級料亭で、現在は廃業しています。

 老舗の料亭として親しまれていた船場吉兆は、2007年に食品を偽造して客に提供していたことが発覚しました。
 賞味期限切れ、産地の偽装、食べ残しの再提供などを行っていたことが明るみとなり、そのずさんな食品衛生管理で批判を浴びました。

 騒動を受けて、船場吉兆の女将と取締役である長男が出席する謝罪会見が開かれました。そこで、女将が長男にコソコソと発言内容を指示していたことが注目されることに。会見後、「ささやき女将」という言葉が誕生するなど、違う側面からも注目されることになりました。

DeNAのまとめサイト問題

 IT企業のDeNAが2016年、医療系サイトの「ウェルク」など複数のサイトで不正確や著作権を無視した内容の記事を掲載していたことが相次いで明るみになりました。

 「サプリメントが癌に効く」、「肩こりは幽霊の仕業」など、医学的に根拠のない記事を掲載したり、医師のブログを盗用したりした内容が非難されました。
 問題発覚後、DeNAは謝罪会見を開き、「ウェルク」などメディア全てを休止しています。

 また、この騒動を受けて、サイバーエージェントが運営するサイト「スポットライト」なども記事の正確性を確認するためメディアの休止を発表し、波紋が広がりました。

簡単に告発できる時代!?ネットとコンプライアンス

 ネットが普及したことで人々の生活はガラリと変わりました。さまざまな情報が無料で簡単に入手できるようになり、人のコミュニケーションは無料通信アプリのLINEやメールで行うことが多くなりました。

ビジネスにおいてもネットは、欠かせない存在となっています。企業は公式サイトやSNSで情報発信をしたり、ネット上に広告を配信したりしてプロモーション活動を行うツールとして利用されています。

 そして、ネットが存在することによって企業が隠蔽していた不祥事が発覚するケースがあります。
 ネットは、誰もが自由に匿名で書き込みができます。そのため、ネット上に企業や行政の不祥事を書き込んで告発するケースあります。つまり、ネット上は企業のコンプライアンス違反を簡単に世間に晒すことができる場所としても利用されています。

SNSにおけるコンプライアンス

 
 社員の中には、SNSのプロフィール欄や投稿内容からどこの企業に勤務しているのか、わかるようにしている場合があります。
 そのような状況で、例えば「企業秘密」「上司や同僚の悪口」など不適切な内容を投稿してしまうケースがあります。

 「企業秘密」をネット上に投稿すれば、「守秘義務」になる可能性があります。また、「上司や同僚の悪口」を投稿すると、「名誉毀損」(注釈1)に当たることも考えられます。つまり、このような行為はコンプライアンス違反になる場合があります。

インターネット告発

 「インターネット告発」(ネット告発)とは、ネットに告発手段のことです。裁判のようにお金がかからず、マスコミに頼らなくても自分で告発できる方法です。

 電機メーカーの東芝に対して1999年、家電製品を購入した消費者が修理を依頼したところ、たらい回しにされた上に同社従業員から暴言を吐かれたことをネット上で公表。直後は、東芝への批判が高まり、大きいな話題となりました。この告発が、ネット告発の先駆けと言われています。

 また、海上保安官が尖閣諸島での中国漁船との衝突した映像をネット上に公開した事件があります。
 
 一方で、不特定多数の人が見ることができるネット上での告発は、「名誉毀損」(注釈1)で訴えられるなどの危険性もあります。

(注釈1)名誉毀損とは?

 「名誉毀損」とは、不特定多数の人が見ることのできる場所で、他人の社会的評価を下げるような言動をとると刑法230条の「名誉毀損罪」に該当する可能性があり、3年以下の懲役または50万円以下の罰金と定められています。

コンプライアンス違反を防ぐ対策

 コンプライアンス違反が行われるとネットの告発などで、簡単に世間に公表される可能性がある現代。どのようにすれば、コンプライアンスの違反を防ぐことができるのでしょうか。

ガイドラインの作成

 コンプライアンスを保持するためのルールを定めることが必要です。

 社内内部で発生しやすいリスク洗い出して対策を明確に示し、徹底的に従業員に周知することが重要です。
 ガイドラインは、従業員全員がすぐに確認できるように保管しましょう。

専門の委員会の設置

 コンプライアンス専門の委員会(チーム)を設置することも必要です。

 外部から弁護士に招くことが好ましいですが、不可能な場合はコンプライアンスに関する研修を社員に受講させましょう。

 日頃からコンプライアンス厳守を従業員に呼びかけ、トラブルが発生した際には、問題解決に動けるように体制を整えていることが重要です。

違反をさせない雰囲気作り

社内にコンプライアンスを厳守する雰囲気をつくることも大切です。
例えば、役員や管理職などがコンプライアンスを徹底する姿勢は、従業員にも伝わります。反社会的なことをやってはいけないと意識付けるようにしましょう。

ネットに強い弁護士に相談

 前項でお伝えしたガイドラインの制作、コンプライアンス専門委員会の設置などは、弁護士の力を借りなければならないケースがあります。

 また、SNSやブログ、掲示板など誰もが自由に書き込みができる場所で、企業の秘密情報が漏れたり、従業員が不適切な言動をしたりすることで炎上するケースがあります。
 このようにネットでコンプライアンス違反が行われた場合、ネットに強い弁護士に相談することをオススメします。

 ネットに関するトラブルを解決するためには、ネットワークの仕組みなどIT知識が必要です。そのため、ネットに精通した弁護士に依頼することでスムーズに解決へ向かうことが予想されます。