学校裏サイトにLINE…ネットいじめの実態と対策方法

  • 2018.03.01
学校裏サイトにLINE…ネットいじめの実態と対策方法

 インターネットが普及し、人間の暮らしが便利になった一方で、ネットを利用し人の心を傷つける「いじめ」や「誹謗中傷」が社会問題化しています。

 今回は、中高生の中で深刻化している「ネットいじめ」について、その実態と対策方法をご紹介します。

ネットいじめとは?

 ネットいじめとは、インターネット上で行われるいじめ、嫌がらせのことをいいます。ネットリンチやサイバーリンチという言われ方もします。
 一定の人間関係のある人から、パソコンやスマートフォンなどを経由して一方的に物理的、精神的に苦痛を加えられ、近年では社会的な問題として取り上げられることがあります。

ネットいじめを「会話劇」にした動画が話題

 演劇ユニット「週間パラドックス」が2014年、LINE上でのいじめを描いた会話劇をYouTubeに公開しました。息もつかせぬ15分間の動画は、見終わると心にずっしりと重いものを感じ、言葉の重みを考えさせられる内容です。

 女子バスケットボール部の同期7人で作ったグループLINE「女バス同期」。‘nana‘という女の子が、殺人を犯してしまったと’ウソ‘の告白をするところから物語はスタートします。

その後、会話への参加が遅れた’佐藤‘という女の子をメンバー全員でいじめるという展開へ。そのいじめは、「佐藤は全無視なワケw?」と既読があるにも関わらずコメントを寄せないことを責めることからはじまり、「KY」「消えてくれ」「(試合に)勝つには佐藤がいない方がいいって」などの言葉が飛び交いエスカレートしていきます。

nanaが「消えてくれ」と書き込むと、他のメンバーから「死んで」という言葉が続き、それをメンバー全員が賛成した末、佐藤は学校で飛び降り自殺を図ってしまいます。

 佐藤をかばう心境を見せていた明美は、佐藤が自殺を図ったことをメンバーに知らせますが、誰からも信じてもらえません。「さっき書いたこと」「声に出して言える?」「顔見て言える?」とメンバーに問いかけますが効果はなく、それどころか今度は明美がいじめのターゲットとなってしまうという結末となりました。

 いじめる側のメンバーは、「消えてくれ」「死んで」という言葉を‘ギャグ‘としていて、何の罪の意識がないことがうかがえます。
 相手の表情が見えず、短文で言葉を伝えることのできるツールなだけに、子どもたちの間でこのようないじめが起こってしまうようです。

昔のいじめと現代のいじめ

 現代のいじめの特徴は、過去よりも悪質で陰湿、確実に心を壊すやり方で行われると言えます。
 では、過去と現代のいじめで、どのような特徴の違いがあるのでしょうか。

■昔のいじめ

 ‘昔のいじめ’というと、アニメ「ドラえもん」に登場する「ジャイアンのようないじめっ子」が、「のび太くんのようないじめられっ子」をいじめるという構図がありました。それは、単発的なものであり、常に表面化していることが多かったと言えます。
それに、例えば隣町のいじめっ子が、のび太くんをいじめた時は、ジャイアンが助けるという関係性もありました。

■現代のいじめ

過去に比べると‘現代のいじめ’は、集団でひとりをいじめるため、中心人物がわかりづらく、長期間にわたって行われるケースが多い傾向にあります。また、ネット上で悪口や嫌がらせのメッセージを送るいじめが多く、外部からは見えづらいことがあります。

 現代のいじめが表面化しづらいことに関しては、スマートフォンの普及が一端にあると考えられます。ネット上には匿名で書き込める掲示板やSNSを利用したいじめもあり、いじめられている子供は、誰にいじめられているかわからないケースもあるそうです。

ネットいじめの原因はスマホの低年齢化?

 文部科学省は2015年の調査で、「いじめの実態」の区分で「パソコンや携帯電話での誹謗中傷や嫌なことをされる」の件数は8,788件あり、そのうちいじめの認知件数は185,803件で占める割合は4.7%と発表しています。
参考URL:http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/ikusei/taisaku/taisakumd/__icsFiles/afieldfile/2015/10/30/1356344_004_1.pdf

 また、神奈川県教育委員会が28年1月、「携帯電話及びパソコンにおけるインターネットの利用状況等に関するアンケート調査結果」を発表しました。
 その中で児童、生徒の携帯電話の所有率では、小学生が60.2%、中学生79.8%、高校生96.0%でした。そのうちスマートフォンを所有している小学生は23.0%、中学生は70.5%、高校生は90.0%です。
参考URL:http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/802672.pdf

 スマートフォンの利用方法についてMMD研究所が、インテルセキュリティと共同調査した結果、高校生のスマートフォン使用率は93.0%だとわかりました。
 この調査は、2016年8月26日~8月31日に、高校生921人を対象に実施。所有率のほか、スマートフォンの普段の利用方法として、「LINE(92.1%)」「インターネット検索(88.8%)」「音楽を聴く(77.7%)」が上位を占めています。
参考URL:https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1605.html

 上記のように、スマートフォンの所有率は小学生で約2割、中学生になると約7割に急増し、高校生で約9割となっています。
 また、高校生がスマートフォンでの一番多い利用方法はLINEとあります。
 
 この結果からしても、現代の多くの中高生がスマートフォンを利用し、ネットを通じて友達と交流を持っていることがわかり、ネット上でのいじめの背景にはスマートフォン所有の低年齢化もあるようにも考えられます。

学校裏サイトでのいじめ

 学校裏サイトとは、学校が設置している公式サイトとは異なり、一部の生徒が電子掲示板「2ちゃんねる」などに開設している学校の非公式サイトです。

 学校内での出来事などについて、生徒同士が意見を交わし、学年やクラスを問わず交流できる場であれば問題はないのですが、特定の人物の悪口や嫌がらせを行う場にもなっているのが現状です。
そのため‘いじめの温床’となっているケースが多く、社会的な問題としてニュースになることもしばしばあります。

サイトを見つけることすら困難

 サイトのタイトルに隠語を使用していることが多く、教師や保護者からは発見することすら難しい問題点があります。例えば、「山田高校」であれば、「Y田高校」のように名前を伏せているケースが多く見られます。

 また、携帯電話しかアクセスができない、パスワードの入力が必要など、外部から入れない設定にしている場合もあるため、サイト内でのいじめがエスカレートする傾向があります。

ネットいじめは罪に問われる可能性がある

 お伝えした通り、学校裏サイトはいじめの温床になりやすい環境です。
 したがって、特定の子供に、誹謗中傷の言葉を書き込むいじめもあります。その場合、名誉毀損罪や侮辱罪、脅迫罪などの刑法に触れる可能性があります。

 誹謗中傷とは、他人の徹底的に他人の悪口を言い、非難することです。つまり、いじめの一環ということです。その場合、どのような罪に問われる可能性があるのか具体的にご紹介します。
 
■「名誉毀損罪」(刑法230条)

「名誉毀損」(めいよきそん)とは、内容の真意にかかわらず、不特定多数の人が知ることができる状況下で、他人に対する社会的評価(名誉)を下げるような言動を行うことです。

  相手が個人か、法人かは関係ありません。また、その情報が本当か、嘘かも問われることはありません。

そして、不特定多数といっても、例えば、最初は少数の人に対して行った言動が、「#拡散希望」などで人から人へ広まった場合も、大勢に知れ渡ったことに該当します。

 刑法で「3年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金に処する。」と定められており、裁判で有罪となると懲役刑が下される可能性もある重い罪です。

■「侮辱罪」(刑法231条)

 「侮辱」(ぶじょく)とは相手を軽視してはずかしめたり、名誉を傷つける言動をいいます。
 具体的な内容を挙げずに、ぼんやりとした表現で相手の社会的評価を傷つけることで、例えば、「バカ」「アホ」「カス」「ブス」などが該当する場合があります。

刑法で拘留または科料に処される可能性があります。

■脅迫罪(刑法222条)

 「脅迫」(きょうはく)とは、相手を脅し、恐怖を与えることです。
例えば、「お前を殺すぞ」と命を脅かすような言葉を、一言口にしただけで罪に問われる場合があります。これは本人のみならず、親族への告知も含まれます(第2項)。

 「生命、身体、自由、名誉または財産に対して害を加える旨を告知」(第1項)と条文には記載されています。これを一つひとつ例に上げると下記になります。
 生命…「お前を殺すぞ!」「娘を殺すぞ!」
 身体…「殴るぞ!」
 自由…「娘を誘拐するぞ!」「閉じ込めてやる!」
 名誉…「世間に公表するぞ!」
 財産…「家に火をつけるぞ!」「ペットを殺すぞ!」
 
 脅迫罪は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が定められています。

■「プライバシー権」

 「プライバシー権」とは、私生活上のことがらをみだりに公開されない権利とされています。つまり、プライバシーの侵害をさせない権利です。
 名誉毀損罪、侮辱罪が「他人からの評価」であることに対して、プライバシー権は「自分の情報の権利」という自分を守るための権利です。

 例えば、近年社会問題視されているリベンジポルノは、勝手に自分の性的な部分を写真などで公開されとことになりプライバシー権に該当します。

学校裏サイトを見つける方法

 前述したとおり、見つけ出すことが困難な学校裏サイトですが、その問題を支援するための「学校裏サイトチェッカー」というサイトが存在します。

 利用者からの情報提供によって学校裏サイトが集められ、都道府県ごとに探すことができます。
 現在は多くの学校裏サイトが監視の対象や閉鎖されています。ネット上のいじめを防止するために注目されています。

学校裏サイトチェッカー

LINEいじめ

 LINEいじめとは、LINEを使用して行われるいじめ行為です。

 LINEは2011年にサービスが開始されて以降、現在では世界中で4億人を超える人が利用している無料メッセージ・通話アプリです。短文で相手と会話をするように利用でき、無料ということもあってスマートフォンを所有する中高生の多くもLINEを利用しています。

 人とのコミュニケーションツールとして普及しているLINE。中高生にとっては、校外でも友達と交流することができる便利なアプリですが、一方で「いじめ」の舞台となることがあり、深刻化していることが社会問題にもなっています。

LINEいじめの4つのパターン

 LINE上で行われるいじめには、4つのパターンがあります。

①グループ外し(仲間はずれ)

 グループ外しとは、LINEは複数の人でグループを作り、会話をすることができる機能があります。
 その機能を用いたグループの中で、いじめのターゲットに退会をさせたり、ひとりだけを残して他のメンバーが退会し、「仲間はずれ」にするいじめです。

②集団いじめ

 前述同様にグループの中で行われるいじめのひとつで、ひとりのターゲットに悪口や嫌がらせの言葉を集団で行う行為です。 
 LINEいじめの中で最も攻撃的ないじめとも言えます。

③無視

 LINEは、自分が送ったメッセージを相手が見ると「既読」というマークがつきます。グループ内でいじめのターゲットがメッセージを送っても、だれからも返事をせず、しかし他のメンバーがメッセージを書き込むと、返事をするといういじめです。

④画像・動画の共有

 特定の人物が嫌がる写真や動画をグループ内に晒し、共有する行為です。

「ブレーキの無い車」14歳の少女がネットいじめ撲滅のため考えたこと

 「若者の脳はまるでブレーキのついて無い車のようだ。ハイスピードで止まることは無い。何も考えない。何も思いやらない。」

 動画でこのように述べたのは、当時14歳の米国・イリノイ州のトリーシャ・プラブさん。ある日、彼女はSNSでの誹謗中傷に傷つき、自殺を図った少年少女のニュースを知り、とてもショックを受けたと言います。
 そして、プラブさんはネット上でのいじめを根本的になくそうと立ち上がります。

 米国だけでも52%の青少年がネット上でのいじめを経験し、そのうちの38%が自殺の傾向を示したとプラブさんは説明しました。

 プラブさんは学校の授業の一環で、‘悪意のある言動に年齢は関係あるのか’との疑問を調べるため、実験を行うことにしました。
 その内容は、世代別にグループを作り、どの世代が一番ネット上で誹謗中傷する行動をしやすいかを調べるものです。その結果は、12~18歳のグループが、他の年齢のグループよりも40%も悪意のある行動をしたそうです。

 その後も調査を進めたプラブさんは、低年齢層がすぐに悪意のある行動をとってしまうのは、「脳の成長」が関係していることに気づきます。

ネットいじめの撲滅は、前頭葉の成長がカギを握る

 人間の脳は、後頭葉、側頭葉、前頂葉、前頭葉の順で、後ろから前へ成長し、一番前方(額)にある前頭葉は、25歳頃にようやく完全に成長します。

 前頭葉は、言葉を話したり、身体を動かしたりする機能を担っており、人が人らしい言動をするために最も重要な部分と言えます。

 また、人間の思想や理性を制御する役割もあります。つまり、やって良いこと、やってはいけないことの区別を判断する脳が前頭葉です。
 人を傷つけるかもしれない言葉をネットに書き込む行為は、理性が働けば防げる可能性があります。プラブさんは、この点に注目し、あるソフトを考案しました。

プラブさんが考案したソフト「Rethink 」とは

 プラブさんは、何も考えずに行動してしまう10代の子供たちに、SNSに悪意のある投稿をする前に考え直す時間を与えたらどうかと考えます。

 そこで、悪質なメッセージを送信する前に「待って!あなたは今、攻撃なメッセージを書き込もうとしています」という言葉が画面に表示されるソフト「Rethink」を作りました。

 このソフトの実験では、警告を受けた子供たちの93%が悪意のあるメッセージの送信を考え直したそうです。

プラブさんの「Rethink」が全世界に広がり、ネット上のいじめに苦しむ子供たちを救うことが望まれます。

ネットいじめは弁護士に相談!

 もしも、学校でいじめに遭っていたら、絶対にひとりで抱え込まないでください。
 親や担任の先生、信頼できる友達に相談することも考えられますし、第3者を頼ることも可能です。

 ネット上のいじめは、誹謗中傷にあたり犯罪になるケースもあります。その場合は弁護士、または最寄りの警察署に相談することも考えられます。
 下記には、国やNPO法人が運営するいじめ相談窓口の一部を記載します。

 

いじめ相談窓口一覧

■「弁護士会(べんごしかい)の子(こ)どもの人権相談(じんけんそうだん)窓口一覧(まどぐちいちらん)」

「24時間(じかん)子供(こども)SOSダイヤル」
電話番号(でんわばんごう):0120-0-78310(なやみいおう)

「法務局(ほうむきょく)・地方法務局(ちほうほうむきょく)子(こ)ども人権(じんけん)110番(ばん)」
電話番号(でんわばんごう):0120-007-110

「都道府県警察(とどうけんけいさつ)の少年相談窓口(しょうねんそうだんまどぐち)」
※リンク先に各都道府県(かくとどうふけん)警察(けいさつ)の電話番号(でんわばんごう)があります。

「厚生労働省(こうせいろうどうしょう)児童相談所(じどうそうだんじょ)全国共通(ぜんこくきょうつう)ダイヤル」
電話番号(でんわばんごう):189(いちはやく)
※3桁(けた)の電話番号(でんわばんごう)です。

「チャイルドライン」(18歳(さい)までの子供(こども)専用窓口(まどぐち))
電話番号(でんわばんごう):0120-99-7777