ネットいじめの特徴は「陰湿」:いじめへの対策と相談方法を紹介

  • 2019.10.15
ネットいじめの特徴は「陰湿」:いじめへの対策と相談方法を紹介

インターネットが普及し、人間の暮らしが便利になった一方で、ネットを利用し人の心を傷つける「いじめ」や「誹謗中傷」が社会問題化しています。

今回は、中高生の中で深刻化している「ネットいじめ」について、その実態と対策方法をご紹介します。

ネットいじめとは

ネットいじめとは、インターネット上で行われるいじめ、嫌がらせのことをいいます。ネットリンチやサイバーリンチと呼ばれることもあります。
一定の人間関係のある人から、パソコンやスマートフォン等を経由して一方的に物理的、精神的に苦痛を加えられ、近年では社会的な問題として取り上げられるケースが少なくありません。

現在のネットいじめは、次の3種に分けられます。

SNSでのネットいじめ

現在、ネットいじめはLINE(ライン)やTwitter(ツイッター)、Facebook(フェイスブック)等のSNS (ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を中心に横行しています。
とりわけ、ラインでのネットいじめが多いです。

掲示板・ブログ・プロフでのネットいじめ

SNSでネットいじめが行われる一方で、2ちゃんねるや爆サイ等の掲示板サイトや、アメブロ(アメーバブログ)等のブログサイト、前略プロフィール等のプロフサイト等、匿名性が高いサイトでもネットいじめが横行しています。

メールでのネットいじめ

メールでのネットいじめの方法は、特定の子を誹謗中傷するようなメールを作成し、同じ学校に通う複数の生徒に送信する、といった手口です。複数人に広まったその情報は、学校全体に広まる場合もあるため、メールでのネットいじめは、いじめられている子を退学にまで追い込む悪質な事件に発展する可能性もはらんでいます。

ネットいじめの特徴は「陰湿」

ネットいじめは、従来の学校等の公の場で行われるいじめとは異なり、陰湿な傾向にあるのが特徴です。
なぜネットいじめは陰湿な傾向にあるのでしょうか。それには3つの理由が挙げられます。

【陰湿①】相手を特定しづらい

ネットいじめは、匿名で悪口等が書き込むことが出来るため、いじめている相手を特定しづらいです。
特に、匿名で書き込むことが主流になっている「爆サイ」や「2ちゃんねる」等の掲示板は匿名が困難です。

【陰湿②】外から見えない

ネットいじめは、限定された人しか見られないところで行われるケースもあります。
例えば、ラインのライングループは限定された人が閲覧できる機能です。それ以外の第三者が閲覧することが出来ません。そのような閉ざされたところでネットいじめが起こるケースも多いため、ネットいじめは陰湿化するのです。

【陰湿③】証拠が残らない

証拠が残らないネットいじめの手口もあります。
例えば、フェイスブックやインスタグラムには、投稿から24時間後に自動的に削除される「ストーリー」という機能があります。「ストーリー」に悪口を紛れ込ませ、一定時間が来たら消して、証拠が残らないネットいじめも発生しています。
投稿した証拠を消せる「ストーリー」という機能の登場が、ネットいじめをさらに陰湿なものにしているのです。

ネットいじめの事例

以上に挙げた陰湿ないじめのより自殺に至った事例も珍しくありません。
2019年には、ネットいじめにより群馬県前橋市の県立高校に通う2年生の女子生徒が自殺で命を落としています。
この女子生徒は、「ネットによるいじめ」を訴えるメモを残しています。以下がそれに綴られた悲痛な訴えです。

先生は私の言葉を信じてくれなかった。ネットで悪口を言われているのは本当なのに。証人が覚えてないから、私が助かるためのウソをついたように見えたの?ヒドいよ。

第三者からは見えづらい陰湿なネットいじめが、被害者の叫びを遮り、学校側の対応が遅れたと考えられます。結果、女子生徒は自殺にまで追い込まれてしまったのです。

ネットいじめの件数は増加の一途

総務省が2016年に公表した「インターネット上のいじめ対策の取組状況」内の、「いじめの態様の8区分のうち、『パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる』の認知件数に推移」によると、ネットいじめの件数が増加の一途を辿っていることが分かります。
下記がそのデータになります。

  (単位:件)

区分小学校中学校高等学校特別支援学校
平成25年度1,7124,8352,176658,788
平成26年度1,6074,1342,078797,898
平成27年度2,0754,6442,3651039,187
平成28年度2,6795,7232,23913810,779

引用元:http://www.soumu.go.jp/main_content/000538668.pdf
全ての区分でネットいじめが増加しているのが見て取れます。

ネットいじめが増加している原因

なぜネットいじめは増加しているのでしょうか。その原因について、いじめを研究している某教授はこのような見解を示しています。

「スマートフォンが普及して以降、SNS等のアプリを子供が日常的に使い、友達同士のコミュニケーションが増えた。そうした中(ネット)いじめも増えているのが現状。なかなか発見しにくい」

引用元:https://www9.nhk.or.jp/nw9/digest/2018/10/1026.html

実際、スマートフォンを保有する学生の割合は増えています。神奈川県教育委員会が平成28年1月に発表した「携帯電話及びパソコンにおけるインターネットの利用状況等に関するアンケート調査結果」によると、『スマートフォンを所有している小学生は23.0%、中学生は70.5%、高校生は90.0%』(参考URL:http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/802672.pdf
)というデータが出ています。

特にネットいじめが多い中・高校生のスマートフォンの保有率が高いことがうかがえます。

ネットいじめ対策

ネットいじめに遭わないためにはどのようにすればよいのでしょうか。ここでは、主に子供がネットいじめにあった際に、学校の先生や親がどのような対策をとればよいか、をみていきましょう。

【対策①】子供の異変の早期発見

学校の先生や親は子供の変化に気づくことが大切です。
ネットいじめに遭うと、誰にも打ち明けられず、1人で抱え込む子供が多いです。すると子供は次のような変化を起こします。

■笑顔が減る
■浮かない顔をしている時が多くなった
■学校に行きたがらない
■スマホを触ることを怖がる
■スマホのネット接続を切っている
■メールの着信音を消している
■友達と遊ばなくなる

もし当てはまることがあれば、子供は何か悩みを抱えているかもしれません。
学校で何かあったのか本人に尋ねてみましょう。但し、誘導尋問のように無理に聞き出すのではなく、子供が抱えている悩みを打ち明けやすいような雰囲気づくりを心がけましょう。それには、「自分はあなたの味方であり、状況はかえられる」ということを伝えるのがコツです。

【対策②】ネットツールの使い方を再教育する

SNS等のネットツールの使い方を改めて教えることも、ネットいじめの対策になります。特に以下の2点を伝えましょう。

■他人を傷つけるようなことはしない
■送信者不明のメールが来た場合は親に報告する

子供のスマホに、一定の基準を満たさないサイトを表示させないフィルタリング機能を利用するのも効果的です。

ネットいじめに関する相談先

いざ子供がネットいじめに遭うと、親はどのように対処すればよいか戸惑うのではないでしょうか。
ネットいじめは広まるのが速いので、早めの相談が大切です。相談先は主に2つ挙げられます。

警察

文部科学省は、ネットいじめは警察に通報するに値する問題としています。
各都道府県教育委員会教育長、各指定都市教育委員会教育長等宛てに、文部科学省は「犯罪行為として取り扱われるべきと認められるいじめ事案に関する警察への相談・通報について」という通達を出しています。

それには次の2点を明記しています。

・早期に警察に相談し、連携した対応を取ることが重要である
・いじめられている児童生徒の生命または身体の安全が脅かされているような場合には、直ちに警察に通報することが必要

また、同通達には「パソコンや携帯電話等で誹謗中傷や嫌なことをされることは脅迫(刑法第222条)、名誉棄損・侮辱(刑法第230条、231条)の刑罰法規に当てはまる」と明記されています。

・名誉毀損罪
名誉毀損罪とは、内容の真意にかかわらず、不特定多数の人が知ることができる状況下で、他人に対する社会的評価(名誉)を下げるような言動に対する罪のことをいいます。

・侮辱罪とは
侮辱罪とは、相手を軽視してはずかしめたり等、名誉を傷つける言動に対して問われる罪のことをいいます。

・脅迫罪とは
脅迫罪とは、相手を脅し、恐怖を与えることに対して問われる罪のことをいいます。

総じて、ネットいじめは警察に通報すべき案件である、といった内容になっています。つまり、警察にネットいじめについて相談するのも手段になるのです。

弁護士

近年、増加傾向にあるネットいじめに対し人権を保護する法整備が進められています。犯人を突き止め損害賠償をするだけでなく問題行為を止めさせることも可能です。
そこで法律に詳しい弁護士に相談することで、投稿削除と発信者の特定を行ってもらうえる可能性があります。

下記の被害に当てはまる方は弁護士に相談することをおすすめします。

●匿名掲示板に個人情報、名誉棄損の書き込みされた
●SNSやブログ等で誹謗中傷をされた
●問題のある投稿をした発信者の特定をしたい
●名誉毀損の慰謝料請求、損害賠償請求を依頼したい。