源氏名でも大丈夫?「ホスラブ」で水商売の人が誹謗中傷の被害に遭った場合の全知識

  • 2018.06.05
源氏名でも大丈夫?「ホスラブ」で水商売の人が誹謗中傷の被害に遭った場合の全知識

インターネット上の誹謗中傷が社会問題となりつつある現代。
その中でもキャバクラやホストクラブ、風俗店などの水商売へ向けられた誹謗中傷は、性的な嫌がらせも含まれ、酷い内容の書込みが目立ちます。

今回は、水商売への誹謗中傷の書込みが多く見受けられる掲示板「ホスラブ」の削除方法についてご紹介します。

そもそも、「水商売」言葉の意味って?

水商売とは、客の人気やひいきよって収入が大きく左右され、先の見通しが立たない職業を指します。
その多くはキャバレーやバー、キャバクラやホストクラブなど、お酒を扱う夜の職業を指しますが、芸能人やスポーツ選手なども人気によって収入が左右されるため、水商売に含まれる職業です。

では、「水商売」という言葉の語源はどこにあるのでしょうか。諸説は三つあるとされています。

一つ目は、水のように流れる不安定な職業であることが付けられたという説。
二つ目は、江戸時代中期から盛んになった職業の芸姑さんは、華やかな仕事にも思えますが、労働環境や内容は「泥水」のように汚いことから、「泥水稼業」「泥水商売」と言われていたからという説。
三つ目は、江戸時代に街路でお茶やお団子を出して、人々の憩いの場となっていた「水茶屋」からという説。

どれも不正確で、正しい語源は現代でもわかっていないことが現状です。

なぜ、水商売の誹謗中傷が多いのか?

水商売への誹謗中傷が多いのはなぜでしょうか?

最初に、掲示板の利用者は、匿名で書込みができることが理由としてあります。「本名がバレないから何を書いてもかまわない」という気持ちから、マイナスの感情もダイレクトに書いてしまうことが予想されます。
しかし、これは水商売に限りません。例えば、有名どころだと飲食店の口コミサイト「食べログ」も匿名で書き込むことができるため、誹謗中傷する投稿が多く存在します。

誹謗中傷が水商売へ向けられる理由のひとつとして挙げられるのが、「源氏名」で従業員が働いていることが考えられます。誹謗中傷を書く人、書かれる人の両者が匿名であることで、他の業種の口コミサイトよりも悪質な投稿が増える傾向があるようです。

また、ホストなどは色恋を女性に仕掛けて営業を行うケースがあるため、客との関係がこじれるとネット上の誹謗中傷につながりやすくなります。

源氏名とは?

源氏名とは、キャバクラやホストクラブ、風俗店などでスタッフが、店内や客の前で使用する名前のことです。
本名は「花子」なのに、勤務するお店では「マリア」と呼ばれることも…。キャバクラなどの水商売は、異性と接することが多い職業ですから、源氏名を使用することは、セキュリティ上の観点からも必要とされています。

「源氏名」という言葉の由来は、平安時代に紫式部が書いた長編物語「源氏物語」にあるそうで、物語に登場する女性の多くが本名でなかったことが言われています。
その後、源氏物語にちなみ、宮中の女中や武家の奥女中、芸姑らが源氏名を使用するようになったそうです。

<h2源氏名での誹謗中傷は名誉毀損になる?

源氏名は、前述したとおり勤務するお店や客の前だけで通用する名前です。

例えば、「マリア(源氏名)は淫乱!客と枕営業している!」と掲示板に、源氏名で悪口を書かれたと仮定します。こんなことを書かれたら、決していい気分はしないことでしょう。ショックを受けてお店に出勤したくないと思う人もいるかもしれません。

そもそも、誹謗中傷とは?

誹謗中傷とは、徹底的に相手の悪口を言い、非難することです。

日本の憲法上、人々は「表現の自由」を保障されています。つまり、言論の自由があり、人々は何を言っても良いということです。
しかし、他人を傷つけたり、相手の社会的評価を下げるような言動は法律違反になる可能性があります。それは、実社会での言葉のやり取りだけでなく、ネット上でのやり取りも対象になります。

また、誹謗中傷する書込みは、犯罪となり逮捕される可能性もあります。どのような犯罪に触れるのか、引き続きご紹介します。

名誉毀損罪とは?

「名誉毀損」とは、他人の名誉を傷つけ、社会的な評価を下げる言動のことです。
刑法230条では、名誉毀損罪が定められており、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる重い罪です。

脅迫罪とは?

「脅迫」とは、例えば「お前を殺すぞ!」など相手を脅し、恐怖を与える言動を指します。
刑法222条では、脅迫罪が定められており、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。

条文では、「生命、身体、自由、名誉または財産に対して害を加える旨を告知」と記載されており、これを噛み砕いて説明すると、以下のようになります。

生命…「お前を殺すぞ!」「娘を殺すぞ!」
身体…「殴るぞ!」
自由…「娘を誘拐するぞ!」「閉じ込めてやる!」
名誉…「世間に公表するぞ!」
財産…「家に火をつけるぞ!」「ペットを殺すぞ!」

業務妨害とは?

業務妨害とは、①偽計業務妨害と②威力業務妨害の2つに大きく分かれます。

①偽計業務妨害とは、ウソの噂話しを流して人を惑わし、業務を妨害することです。
事例として、旅行会社に勤務する社員の男性が、高校の遠足バスを手配することを忘れたことで、生徒を装って自殺をほのめかす手紙を学校に送りつけ、遠足を中止させようとした事件がありました。これは、バスの手配を忘れたミスを隠すためにした行為で、旅行会社社員は偽計業務妨害罪で逮捕されました。

②威力業務妨害とは、相手を圧倒的な力で押さえつけるような方法を用いて、業務を妨害することです。
例えば、「市役所に爆弾をしかけたぞ!」と脅し、市役所の業務を妨げる行為が挙げられます。

①②の業務妨害罪は、刑法233条で定められており、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。

損害賠償請求とは?

損害賠償請求とは、民法に定められている不法行為によって損害賠償請求をすることが可能な場合があります。

水商売の掲示板「ホスラブ」で誹謗中傷されたら…?

キャバクラやホストクラブ、風俗店など水商売を中心にした掲示板「ホストラブ(ホスラブ)」がネット上に存在します。

このサイトには、日々多くの書込みがされ、その中にはキャバ嬢やホスト、風俗嬢を批判する書込みも多く見受けられます。
さらに、批判する書込みの多くは性的な嫌がらせとも受け取れる言葉も入っていることが現状で、悪質な誹謗中傷が行われています。

ホスラブとは?

2001年にサービスが開始され、現在では月間で200万人が利用する人気サイトへ成長しています。

サービス開始当初は、ホストクラブに特化したサイトでしたが、その後にキャバクラなどの水商売、風俗業にも拡大し、2014年に47都道府県全ての地域の掲示板が設立されました。

法的手続を行わず削除依頼する場合

ホスラブに書き込まれた誹謗中傷は、地域別のトップ画面から削除を依頼することができます。これは、書き込まれた本人が、法的な手続をとらずに自らサイト運営者へ削除を依頼する方法です。

「削除依頼フォーム」に必要事項し入力し、送信することで依頼ができます。
どの書込みかを示すために、スレッド番号とレス番号を入力し、削除したい理由を具体的に示す必要があります。
最後に名前とメールアドレスを入力して、「依頼する」をクリックと送信され、削除依頼完了です。

1スレッド番号
スレッド番号とは各スレッドを指すURLの14桁の数字。(例:20031010121516)
レス番号
レス番号は半角数字で入力。複数の場合は半角カンマで区切る。(例:12,35,167,456)
削除理由
削除理由と共にレス番号を必ず明記して下さい。
注意:レス番号が表記されていない依頼に関しては基本的に受付かねます。予めご了承下さい。
また、削除理由には、削除を請求するにあたっての正当な理由(法的根拠を含む)を示してください。これが確認できない削除請求には応じることはできません。(裁判所の仮処分決定がある場合は不要です)
スレッドごとの削除
スレッドごとの削除は削除人が判断しますが、最低一つ以上のレス番号を指定して下さい。
注意:レス番号が無いと削除作業が困難なため、削除が遅れたり、削除されないことがあります

削除は「削除人」が行う

削除は、「削除人」と呼ばれるボランティアによって行われます。削除人は、サイトの「削除ガイドライン」にしたがって削除を行います。

削除人は、サイト側が決めたルールに沿って削除を行うため、依頼したもの全てを削除するとは限りません。
実際、公開されている削除履歴を見ると、実際に削除されている投稿は少ないことが現状です。

ホスラブが公開している削除ガイドラインは以下の通りです。

1個人名・住所・所属について
公開されているもの・情報価値があるもの・公益性が有るもの・等は削除しません。
公開されたインターネットサイト・全国的マスメディア・電話帳で確認できる・等、隠されていない情報については削除しません。
趣旨説明も公益性も無い・誹謗中傷の個人特定が目的である・等の場合は削除対象になります。
2電話番号について
電話番号は、一部伏字・それを示唆するような文字列・等でも、確認方法が確立していない為に原則として全て削除対象です。
ただし、投稿者の自己責任があるものは削除されないことがあります。
明らかに公的な物・投稿者のハンドルキャップやホスト情報つき・文意によって本人が公開したと判断できるもの・リンク先で確認できるもの・等です。
3メールアドレス・ホスト情報について

騙りの可能性や悪意が明らかで攻撃を目的としている・趣旨説明が無く衆目に晒すことを目的としている・等の場合のみ削除対象になります。
メール欄に書かれていても同様です。判断は文意によります。
4誹謗中傷について
公益性が有り板の趣旨に則した事象・直接の関係者や被害者による事実関係の記述・等が含まれたものは削除しません。
個人(ホストを含めた有名人を除く)を特定する情報を伴っているものは全て削除対象です。
5私生活情報について
公益性の無い私生活情報・第三者の確認できないプライベート情報は、個人(ホストを含めた有名人)が完全に特定されなくても中傷が伴わなくても、一律削除対象とします。

注意点

本人が、自らホスラブに削除依頼をする場合、注意しておきたいポイントがあります。

前述した方法で、ホスラブに削除を依頼すると、サイトの「削除履歴」として内容が公開されます。つまり、誹謗中傷する書込みを行った犯人は、自分が書いた書込みが削除依頼されているかを確認することができます。

他人を誹謗中傷するということは、少なくとも相手に対してマイナスの感情を持っていることが考えられます。相手が書込みを見つけ、不快に思っていることを知ることで、例えば面白がって誹謗中傷がエスカレートする可能性も否定できません。

削除を自ら行う場合は、よく考えて行動に移すことをオススメします。

法的手続を行い削除依頼する方法

ホスラブの削除フォームから依頼をした場合、削除されるかの判断は、削除人に委ねられます。
依頼を受けた削除人が、ガイドラインに記されている規定に問題の書込みが該当しないと判断したら、削除は行われません。

また、日本国憲法で人々は、「表現の自由」が保障されています。人々は、どのような言動も自由に行うことができるという観点から、サイト運営者はこれを盾にして削除を拒むケースも多くあります。
つまり、削除フォームからの依頼方法だと、強制力がないため 、削除されない可能性があります。

悪質な書込みに悩まされ、どうしても削除したい場合、ネット上のトラブルに強い弁護士に相談して、裁判所を通じて削除を依頼することが可能です。

裁判所からサイト運営側へ、書込み削除の仮処分を下してもらうことが一番有効的な手段となるでしょう。この場合は、裁判を起こす必要があるので、弁護士に依頼することでスムーズに手続きをとることができます。

さらに、弁護士に相談することで、匿名で書き込まれたものでも、その犯人を探し出せる可能性も高くなります。

弁護士に依頼すると書込みの犯人がわかる!?

ホスラブのように匿名性の高い掲示板での書込みで、誹謗中傷の犯人をどのように探すのかをご紹介します。

まずは、ホスラブを運営する管理者(コンテンツプロバイダ)に「発信者情報開示請求書」と題された書類に必要事項を記入して送り、問題の書込みを行った人物のIPアドレス(インターネット上の住所)とタイムスタンプ(書込みされた日時) などの情報を求めます。
もしも、サイト運営者に情報の提示を拒まれた場合は、簡易的な裁判により仮処分を下してもらう必要があります。

次に、IPアドレスとタイムスタンプを、ネット回線会社(インターネットプロバイダ)
に照会を行い、投稿者の氏名・住所などの個人情報を要求します。
ネット回線会社にとっては、顧客の個人情報を提示することになるので、「発信者情報開示請求訴訟」の裁判を起こし、裁判所から情報開示の命令を下してもらう必要となる可能性が高いです。

また、事前にネット回線会社にはアクセスログ(パソコンへの接続記録)の保存を求めておくことが必要です。アクセスログは、通常3ヶ月ほどで消去され、保存期間が過ぎると情報の開示ができない場合があるので要注意です。

法的な手続で書込みの犯人を特定し、削除依頼を行うと、その効力は強くなります。ですが、お伝えしたように3回ほどの裁判が必要になり、時間と労力を使うことになります。

インターネットが普及した現代、ネット上の誹謗中傷トラブルを専門に扱う弁護士が存在します。法的手続きで書込みを削除したい場合は、そのような弁護士に依頼すると良いでしょう。