インターネット上の誹謗中傷が社会問題となりつつある現代。キャバクラやホストクラブ、風俗店などの水商売へ向けられた誹謗中傷は、性的な嫌がらせも含まれ、酷い内容の書込みが目立ちます。
今回は、水商売への誹謗中傷の書込みが多く見受けられる掲示板「ホスラブ(ホストラブ)」の削除方法についてご紹介します。
ホスラブとは
現在、「ホスラブ」という略称で親しまれているホストラブは、2001年にスタートした口コミサイトです。サービス開始当初は、ホストクラブに特化したサイトでしたが、その後にキャバクラなどの水商売、風俗業界にも拡大し、2014年に47都道府県全ての地域の掲示板が設立されました。
ホスラブと誹謗中傷
そんなホスラブでは、誹謗中傷が絶えません。
その理由の1つ目は、掲示板の利用者は、匿名で書込みが出来るということです。「誰が投稿したのかバレないから何を書いてもかまわない」という気持ちから、マイナスの感情もダイレクトに書いてしまうことが予想されます。
2つ目の理由は、従業員が「源氏名」で働いていることが考えられます。誹謗中傷を書く人、書かれる人の両者が匿名であることで、他の業種の口コミサイトよりも悪質な投稿が増える傾向があるようです。
また、ホストなどは色恋を女性に仕掛けて営業を行うケースがあるため、客との関係がこじれるとネット上の誹謗中傷に繋がりやすくなります。
削除基準
以上のような事情があるため、ホスラブでは書き込みに対し削除基準を設けています。削除基準は、「削除ガイドライン」と「利用規約内の禁止行為」で定められています。
【削除基準①】削除ガイドライン
削除ガイドラインでは、下記の5つを基に削除基準が設けられています。
Ⅰ.誹謗中傷
Ⅱ.個人名・住所・所属
Ⅲ.電話番号
Ⅳ.メールアドレス・ホスト情報
Ⅴ.私生活情報
それぞれ解説が必要な部分をピックアップして説明していきます。
Ⅰ.誹謗中傷
誹謗中傷の書き込みについては、削除基準を以下のように定めています。
誹謗中傷について
①公益性が有り(多くの人に役立ち)板の趣旨に則した事象・直接の関係者や被害者による事実関係の記述・等が含まれたものは削除しません。
②個人(ホストを含めた有名人を除く)を特定する情報を伴っているものは全て削除対象です。
引用元:http://news.hostlove.com/delete/index.cgi?a=kanto&file=guid2
①では、多くの人に役立つ情報は誹謗中傷に当たらないと見なし、削除の対象外にしています。例えば、「○○が電車で痴漢を行った」という内容は、事実であれば人の役に立つ情報なので、削除の対象外でしょう。
つまり、多くの人の役立たないような悪口等は誹謗中傷と見なし、削除の対象になる可能性があると言えます。
また、②は、源氏名や「ミ〇ビ」といったような伏せ字で誹謗中傷が行われている場合も削除の対象になると考えられます。
というのも、誹謗中傷に関しては、「自分のことを知っている人が、誰について書かれているか分かる程度の特定でよい」と判断された判例があるためです。
【関連記事】イニシャルや伏せ字での誹謗中傷は名誉毀損になるか?
Ⅱ.個人名・住所・所属
次いで、個人名・住所・所属に関する削除基準を以下のように定めています。
個人名・住所・所属について
①公開されているもの・情報価値があるもの・公益性が有るもの・等は削除しません。
②公開されたインターネットサイト・全国的マスメディア・電話帳で確認できる・等、隠されていない情報については削除しません。
③趣旨説明(目的の説明)も公益性も無い(多くの人に役立たない)・誹謗中傷の個人特定が目的である・等の場合は削除対象になります。
参考元:http://news.hostlove.com/delete/index.cgi?a=kanto&file=guid2
③は「○○で働く○○は最低だから死ね」「○○の住所はここだ。誰か襲え」といったように、誹謗中傷を目的に個人名・住所・所属が公開されている場合のことを指しています。
Ⅲ.電話番号
3つ目は、電話番号を晒された際の削除基準です。
電話番号について
電話番号は、一部伏字・それを示唆するような文字列・等でも、確認方法が確立していない為に原則として全て削除対象です。
ただし、投稿者の自己責任があるものは削除されないことがあります。
明らかに公的な物・投稿者のハンドルキャップやホスト情報つき・文意によって本人が公開したと判断できるもの・リンク先で確認できるもの・等です。
引用元:http://news.hostlove.com/delete/index.cgi?a=kanto&file=guid2
電話番号に関して削除出来るケースは、公に知らせていないにも関わらず、晒された場合に限られると言えるでしょう。
Ⅳ.メールアドレス・ホスト情報
4つ目は、メールアドレスとホスト情報に関する削除基準です。
メールアドレス・ホスト情報について
騙り(人をだまして金品を巻き上げること)の可能性や悪意が明らかで攻撃を目的としている・趣旨説明(目的の説明)が無く衆目(多くの人の目)に晒すことを目的としている・等の場合のみ削除対象になります。
メール欄に書かれていても同様です。判断は文意によります。
参考元:http://news.hostlove.com/delete/index.cgi?a=kanto&file=guid2
上記を要約すると、特定の個人を攻撃する目的で公開されたメールアドレス・ホスト情報は削除対象になります。
例えば下記のような書き込みは削除の対象になるでしょう。
・○○というバカなホストのメールアドレスは「○○〇@×××」
・○○のメールアドレス「○○〇@×××」に迷惑メールを送れ!
Ⅴ.私生活情報
最後は、私生活情報に関する削除基準です。
私生活情報について
公益性の無い(人の役に立たない)私生活情報・第三者の確認できないプライベート情報は、個人(ホストを含めた有名人)が完全に特定されなくても中傷が伴わなくても、一律削除対象とします。
参考元:http://news.hostlove.com/delete/index.cgi?a=kanto&file=guid2
上記では、SNS等で公開されていない私生活情報に関しては削除の対象と定めています。但し、例えば「○○事件の犯人は、○○と毎日15時頃に○○スーパーに現れ、毎週火曜日に○○ジムで身体を鍛えている」という情報は、防犯効果があるため削除の対象外になるでしょう。
【削除基準②】利用規約内の禁止行為
利用規約内の禁止行為では以下について定められています。
本サイトにおいて以下の行為を禁止します。
1:著作権などの第三者の知的財産権を侵害し、または侵害を助長する行為
2:虚偽または故意に誤解を与える発言
3:民族的・人種的差別につながる発言、倫理的観点から問題のある発言
4:特定の政党もしくは政治団体のための活動、宗教活動または専ら営利を目的とした発言、その他勧誘、宣伝、広告を目的とした行為
5:本サイトまたは本サイトに接続しているサーバーもしくはネットワークを妨害したり、混
6:乱させたりする行為
7:本サイトの目的及び開設されたテーマとは無関係な発言
8:本サイトが禁止を明示した発言または削除した発言と同一または類似する内容の発言
9:本サイトの運営を妨害する行為または当該行為を誘引・助長させる行為
10:第三者の本サイト利用を妨害する行為
11:第三者の個人情報を無断で収集、開示する行為
12:第三者に対する誹謗中傷または名誉き損、もしくは他者に対して不利益または不快感を与えるおそれのある発言
13:自分以外の人物を名乗ったり、代表権や代理権がないにもかかわらず文化団体などの組織を名乗る発言、または他の人物や組織と提携、協力関係にあると偽ったりする発言
公序良俗に反する行為
14:その他本サイトが不適切と判断した全ての行為
上記で挙げられている行為に違反している場合は、削除の対象になる可能性があります。
削除依頼方法
問題のある書き込みを削除ガイドラインと利用規約内の禁止行為に照らし合わせてみて、削除の対象になる場合は、ホスラブに削除依頼を行いましょう。
削除依頼は、削除依頼フォームから行ってください。地域によって削除依頼フォームのURLは異なります。下記の該当地域からアクセスしてください。
・関東
・北海道
・東北
・東海
・北陸/信越
・関西
・中国
・九州
・沖縄
それぞれの削除依頼フォームでは、共通して下記の入力項目があります。
1⃣スレッド番号
2⃣レス番号
3⃣削除理由
4⃣お名前
5⃣メールアドレス
そのうち、重要である1⃣~3⃣について説明していきます。
1⃣スレッド番号
スレッド番号は、スレッドのURLに表示されます。
ホスラブのスレッドのURLは、「http://kanto.hostlove.com/××××/12345678910123/1」といったように表示されます。そのうち、赤文字にした14桁の数字がスレッド番号になります。
スマホ(iPhone)の場合は、下図の赤枠の部分をタップすると、スレッドのURLが見ることが出来ます。URLの後方にあるスレッド番号をコピーして貼り付けましょう。
引用元:https://itbengo-pro.com/columns/89/#toc_anchor-1-1-1
2⃣レス番号
レス番号は、上記画像の赤丸で囲った書き込みの左上に表示される数字のことを指します。削除したい書き込みが複数ある場合は「11,45.79,105」といったように、半角カンマで区切ってください。
また、数字を入力する際も、半角数字で入力してください。
スレッド削除を希望する場合のレス番号
ホスラブでは、基本的にレスの削除しか受け付けていません。しかし、イレギュラーでスレッドの削除に対応する可能性もあります。
スレッドの削除を依頼する場合は、スレッドを作成した人の投稿のレス番号である「000番」を記入してください。
3⃣削除理由
削除理由は、ホスラブの削除ガイドライン、あるいは利用規約内の禁止行為のどの部分に該当するのかを明記しましょう。なお、削除理由文は500文字以内に収めてください。
削除理由文の例
削除理由を入力する際は、以下の例文を参考にしてみてください。
スレッド番号:29191125000000 レス番号:13,35,89 削除理由:個人を特定できる情報と誹謗中傷が書き込まれており、この投稿は名誉毀損に該当します。早急に削除をお願い致します。 |
引用元:https://itbengo-pro.com/columns/89/#toc_anchor-1-1-1
例文のように、スレッド番号とスレ番号も忘れずに記入してください。
削除理由文は、削除対応されると「削除依頼履歴」に公開されます。このページは、誰でも閲覧出来るため、削除依頼文は個人の特定に繋がるような表現は避けましょう。
また、削除依頼文を記入する際に、削除依頼履歴を参考にするのも一手です。
削除依頼をする際の注意点
削除依頼をする際は、以下の点に注意してください。
【注意①】削除は96時間以内に行われる
削除作業はホスラブの運営者から依頼されている「削除人」と呼ばれるボランティアの人が行っています。削除人は、運営会社に寄せられた削除依頼を96時間以内を目安に削除作業を行います。
但し、ホスラブの運営者が法人のため、削除人は土日祝日に削除作業を行っていない可能性が考えられています。休日を挟む場合は、1週間程度待たなければならないかもしれません。
また、何度も同じ削除依頼をすると、運営側からブラックリスト登録される場合もあるので、注意してください。
【注意②】エラー表示されることがある
削除依頼を行うと、レス番号が間違っていないにも関わらず「レス番号が間違っています」と表示され、先に進めないケースが少なくありません。
このケースは、ホスラブ側の不具合でエラー表示されると考えられています。もし、削除依頼を行ってエラー表示された場合は、時間を置いてもう一度トライしましょう。
削除されない場合の対処法
削除依頼を行っても、必ず対応されるとは限りません。もし、削除されない場合はどのように対処すればよいのでしょうか。以下の方法を採ってみてださい。
【対処①】仮処分による削除
仮処分とは、裁判をせずに勝訴(裁判で勝つこと)時と同じ状態を確保する手続きのことをいいます。仮処分が成立すると、裁判所からホスラブの運営者に対し、問題のある投稿の削除が命じられます。運営者は、その命令に従わなければなりません。
拡散される危険があるインターネット上のトラブルは、スピーディーな解決が望まれます。ですので、裁判より短期で判決が下される仮処分が行われるのが通例なのです。
【詳細記事】仮処分とは?わかりやすく解説
【対処②】発信者情報開示請求
発信者情報開示請求とは、プロバイダ責任制限法に基づいてインターネット上で他者を誹謗中傷するような表現を行った者の情報(住所・氏名・登録された電話番号等)の開示を求める手続のことをいいます。
例えば、サイト運営者にIPアドレス(インターネット上の住所)の開示を求めることや、プロバイダに投稿者の情報の開示を求めること等が、発信情報開示請求に当たります。
発信者情報開示請求で投稿者を突き止めることで、これまでの投稿の削除や損害賠償を通じて被害を救済し、将来生じる被害の防止を期待出来ます。
【関連記事】発信者情報開示請求をするための「条件」「流れ」「期間」を解説
弁護士に相談をすることも良策
以上の「仮処分による削除」「発信者情報開示請求」は法的知識が必要になるため、自身で行うのは非常に難しいです。
昨今は、インターネットネット上のトラブル解決を得意分野とする弁護士が頭角を現しています。ですので、インターネット上のトラブルに強い弁護士に相談をすることも良策と言えるでしょう。弁護士に相談をすれば、削除依頼フォームを利用した削除から仮処分・発信者情報開示請求までを代行してくれます。
インターネット上のトラブルに関する豊富なノウハウと法的知識を生かして、弁護士が解決に導いてくれることが期待されます。
削除代行業者は違法
なお、弁護士以外に削除代行を請け負っている業者が存在います。しかし、弁護士以外が削除を代行する行為は、弁護士法違反になります。そのような業者に依頼する人も違法に問われる可能性があります。
ですので、絶対に削除代行業者に削除依頼をしないでください。
警察は民事不介入
ホスラブで誹謗中傷を受けた方の中には、警察に通報することを考える人もいるかもしれません。しかし、警察は民事不介入(個人同士の争いには介入しない)の原則に従っており、刑事事件に発展していない限り介入しません。
・刑事事件とは 傷害や窃盗、痴漢等、犯罪行為をしたと疑われる者について、捜査を行い刑罰を科すかどうかの必要性を問う事件のことをいいます。 |
そのため、誹謗中傷を受けたことを警察に通報しても、対応してくれない可能性が考えらえます。