勝手に写真載せられた!プライバシー権と肖像権の慰謝料の相場は?

  • 2019.06.25
勝手に写真載せられた!プライバシー権と肖像権の慰謝料の相場は?

SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やブログに誰もが簡単に写真や動画を掲載することができます。
 個人の声を自由に発信でき、多くの情報を得られるツールとして便利な一方で、多くのトラブルも発生していることが現状です。

 この記事では、他人が勝手に自分の容姿をネットに掲載した場合に可能性が生ずるプライバシー権、肖像権の侵害。このトラブルの当事者になった場合の慰謝料の相場をご紹介します。

「プライバシー権」「肖像権」とは?

 「プライバシー権」と「肖像権」と「人格権」のひとつとして認められています。

 「人格権」とは、生命や身体、自由や名誉など個人が生活を営む上で、他人から保護されなければならない権利のことです。憲法13条で保障されています。
 つまり、人々が平穏な生活を送るための「人権」です。

プライバシー権とは?

 「プライバシー権」とは、私事をみだりに他人に公表されない権利です。
 簡単に言うと、他人が勝手に、自分のプライベートな部分を晒されない権利です。

 以下、プライバシー権の侵害の可能性がある事例です。

◆ネット上に氏名や住所、メールアドレスなどの個人情報を公開された

◆ネット上に前科を公表された

◆ネット上に性的な写真を掲載された

肖像権とは?

 「肖像権」とは、自分の顔や姿を勝手に他人から撮影、描写、公表されない権利のことです。
 要するに、勝手に姿を撮影され、それを勝手にネット上に公開されない権利ということです。

以下、肖像権の侵害の可能性がある事例です。

◆人物を単体で撮影し、さらに名前などで人物の特定ができるようにしてネットに掲載された

◆ブログに載せていた顔や姿の写真が、他のサイトに無断で使用された

「プライバシー権」と「肖像権」は似ている!?

 ここまでで、「プライバシー権」と「肖像権」をそれぞれご紹介しましたが、両者は似ているように思える権利です。
 それもそのはず、「肖像権」は、「プライバシー権」の一部として考えられています。

 つまり、一番広い広義に「人格権」があり、次に広い広義に「プライバシー権」があります。その次に「肖像権」が比較的に狭い広義で存在します。

(注釈1)パブリシティ権とは

 芸能人やスポーツ選手などの有名人の場合、その人の容姿によって経済的な効果が見込める場合があります。そのため、第三者に対して顔や姿の写真や名前の使用を禁止することで、経済的な利益を独占することができる権利です。

SNSに顔写真が載ることの危険性

 SNSやブログが普及している今、人の顔や姿は写真や動画で多くネット上に掲載されています。旅行での思い出の写真などは、ついついテンションが上がって投稿する人も多いことでしょう。
 しかし、このように自分の顔や姿の写真をネットに掲載することは、とても危険な側面があることをご存知でしょうか。
 以下のような被害を予想することができます。

個人情報が漏れる可能性

 たった一枚の顔写真から、その人物の氏名や住所、職業(会社名や学校名)など多くの個人情報が他人に伝わる可能性があります。

 大学の入学式で撮影した写真の場合、背景に学校名や校舎が写りこんでいる可能性があります。大学名の判明と同時に、高校卒以上の年齢であることもわかります。

 また、自宅周辺で撮影した写真から、風景をもとにおおよその自宅の住所がわかってしまう可能性があります。

 もし、自宅周辺で撮影した写真、大学で撮影した写真が同じアカウントに掲載されていたら、通学ルートまで他人に知られてしまうことが考えられます。

 特に、女子大学生の場合、例えば全く面識のない他人が自分の通学ルートを把握していたら、恐怖を感じる人も多いことでしょう。
また、小学校や中学校、高校のケースもあり、子供を誘拐などの危険に晒してしまう危険もあります。

空き巣被害に遭う可能性

 現代の空き巣は、SNSの情報をもとに犯行を行う傾向にあることをご存知でしょうか。

旅先から、「〇〇を家族旅行中!!」と写真を添えたSNSへの投稿をよく目にします。家族旅行中ということは、その時は家に誰もいないということになります。
 そのような情報をもとに犯行を行う空き巣が増えていることが現状です。

 また、ネットからは、留守だけでなく自宅周辺の情報もうかがうことが可能です。例えば、Googleマップのストリートビューを下調べのツールとして利用するケーもあり、ネットは空き巣にとって情報の宝庫と言えます。

 空き巣被害を徹底的に防ぐのであれば、旅先からのSNSへの投稿は控えたほうがよいようです。

ネットストーカーに狙われる可能性

 ネットストーカーとは、ネット上で特定の人物につきまとう行為です。
 例えば、SNSやブログのコメント欄に、執拗に嫌がらせメッセージを送るなどの被害があります。
 実社会で全く接点のない人物から被害を受けるケースが多いことが特徴で、そのきっかけはSNSなどのネット上に掲載される顔や姿の写真だとされています。

 前述したようなネット上の写真からターゲットの個人情報を得ることもあり、エスカレートすると実社会での凶悪なストーカー事件に発展する危険性があります。

他人が勝手に写真や動画をネットに掲載した場合の対処法

 本人は、ネット上に写真や動画を投稿することに関して注意を払っていても、他人が勝手に掲載することが考えられます。
 知らぬ間に自分の顔や姿の写真や動画がネット上に掲載されていた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

「プライバシー権」「肖像権」の侵害は訴えることが可能!?

 ネット上でプライバシー権の侵害や肖像権の侵害の被害に遭った場合、「プロバイダ責任制限法」という法律を駆使して、相手を訴えることができる可能性があります。

 「プロバイダ責任制限法」とは、ネット上でトラブルが発生した場合、プロバイダの責任を規定した法律です。
 このまた、法律では被害者保護のため、問題の書き込みの削除を求める手続き(送信防止措置依頼)、匿名の場合は人物特定を求める手続き(発信者情報開示請求)を認めています。

送信防止措置依頼

 送信防止措置依頼とは、ネットに掲載される情報の削除を依頼することです。
例えば他人が勝手にSNS顔写真を投稿された時、肖像権の侵害を理由に写真の削除を求めることができる可能性があります。

発信者情報開示請求

 発信者情報開示請求とは、例えばネットに匿名で書き込みを行った場合でも、投稿者の特定を行うための手続きです。

 投稿者を特定する手順は、以下の通りです。

①サイト管理者(コンテンツプロバイダ)に対して、IPアドレス(インターネット上の住所)とタイムスタンプ(問題の投稿がされた日時)の情報を求めます。

②ネット回線会社(インターネットプロバイダ)に対して、入手したIPアドレスとタイムスタンプを照会して、投稿者の氏名や住所など個人情報を求めます。

 また、投稿者の通信記録(アクセスログ)の保存をインターネットプロバイダに求めることも重要です。各企業のアクセスログの保存期間は、通常3~6ヶ月とされています。

訴えた場合の慰謝料の相場

 プライバシー権の侵害や肖像権の侵害は違法行為です。
 被害に悩んだ末、訴え起こした場合の慰謝料の相場はあるのでしょうか。

 市場に流通している商品には、相場が存在します。それは慰謝料も同様で相場があります。

 違法行為による慰謝料は、精神的な苦痛を強いられたことによる対価です。そのため、状況によって金額は変わります。

 

プライバシー権侵害の慰謝料相場

ネット上でのプライバシー権の侵害の場合、通常の慰謝料相場は10~50万円とされています。例えば、ネットに氏名や住所などの個人情報が掲載れたケースは、これぐらいの金額で慰謝料請求されることが予想されます。

 プライバシー権の侵害の中でも、性的な写真や動画を公表された特殊な場合では、慰謝料の相場は100万円以上が相場です。
 悪質な場合では500万円以上となるケースもあります。

肖像権侵害の慰謝料相場

 ネット上での肖像権の侵害の場合、通常の慰謝料相場は10~20万円とされています。これは、一般の個人に対する相場で、有名人に対する相場は20万円以上です。

 プライバシー権侵害の慰謝料に比べると、低い相場となっています。ですが、過去に作家の妻が無断で写真を撮られ、それが公表された例では100万円を超えたケースがあります。 

 相場と言っても、慰謝料の金額は、その状況によって大きく変わることがあるため、一概にいえないことが実情とも言えます。

将来的に相場はもっと固くなる!?

 プライバシー権や肖像権の慰謝料相場が高くなる状況として、性的なものの他、テレビや新聞などのメディアによる侵害があります。メディアで侵害されることは、一気に国内に知れ渡る恐れがあるからです。

 これに比べて、ネット上でのプライバシー権や肖像権の侵害は低いとされています。しかし、ネットの普及、一度掲載すると半永久的に残ったり、世界中に拡散されたりする可能性などから、慰謝料の相場は年々高くなっていると言われています。
 今後も相場は高くなることが見込まれ、メディアを上回ることが予想されます。

「プライバシー権」「肖像権」の判例

 プライバシー権と肖像権の侵害で争った裁判で、裁判所はいくらの慰謝料を認めているのか、判例をご紹介します。

◆「パブリシティ権の侵害による慰謝料」(平成25年4月26日東京地方裁判所)

(概要)
芸能人が若い頃の写真やエピソードを勝手に雑誌に公表されたことについて、プライバシー権とパブリシティ権が認められた裁判。

(慰謝料額)
20~40万円

◆「プライバシー権の侵害による慰謝料」(平成24年7月12日福岡高等裁判所)

(概要)
看護師が患者の余命を漏らしたことで、患者の母親が、経営する飲食店の客から知らされ、精神的な苦痛を受けたことに対する裁判。

(慰謝料額)
110万円

◆「プライバシー権の侵害による慰謝料」(平成21年3月27日大阪地方裁判所)

(概要)
裸を盗撮され、それをアダルトDVDで大量に流通させたことに対する、精神的な苦痛に対する裁判。

(慰謝料額)

600万円

最後に

 プライバシー権や肖像権の侵害で相手を訴える、または訴えられた場合、弁護士に相談してから行動に移すことをおすすめします。
 なぜならば、この記事でお伝えした送信防止措置依頼や発信者情報開示請求は、法律に則った手続きとなるめ、法的な知識が少なからず必要です。

 そして、ネットが普及し、それに伴うトラブルが増えたことで、ネット上の問題に強い弁護士が存在します。多くのトラブルを解決してきた弁護士に相談することで、スムーズに問題解決へ進むことが予想されます。