著作権侵害について簡単に分かるように解説していきたいと思います。
著作物と著作権
著作権侵害の説明に入るまえに、著作物と著作権についてご説明させていただきます。
著作物とは
著作物とは、「製作者の思想や感情が、製作者の個性で言葉や文字、形、色、音楽等で表現されたもの」のことを指します。
例えば、以下のようなものが著作物の対象になります。
◆言語による著作物…論文、小説、脚本、俳句、講演
◆音楽による著作物…楽曲、歌詞
◆舞踏又は無言劇の著作物…踊りの振り付け(日本舞踊、バレエ、ダンス、パントマイム等)
◆美術による著作物…絵画、版画、彫刻、美術工芸品(壺、茶碗、刀剣等)、漫画、劇画、書、舞台装置
◆建築による著作物…芸術的な建造物(寺院、橋、庭園等
◆図形の著作物…地図、学術的な性質を有する図面、図表、模型、設計図
◆映画による著作物…劇場用映画、テレビドラマ、CM、ネット配信動画、ビデオソフト、ゲームソフト、ホームビデオ映像
◆写真による著作物…写真、グラビア
◆プログラムの著作物…コンピュータプログラム
【詳細記事】著作物とは:簡単に分かりやすく解説
著作権とは
著作権とは、著作物を創作した著作者が保護期間内(原則、創作時から著作者の死後70年を経過するまでの期間)で、独占的に使用出来る権利のことを指します。
なお、著作権と一口に言っても、以下に挙げる通り、○○通りの権利に分類することが出来ます。
①複製権
著作物を印刷、写真、複写、録音、録画等の方法によって再製する権利のことをいいます。
②上演・演奏権
音楽の演奏、演劇の上演等、著作物を多くの人に直接聴かせたり、見せたりする権利のことを指します。
音楽著作物が収録されたレコード・CD等を多くの人々に効かせる権利も含まれています。
③上映権
フィルム・DVD等に収録されている、映画や写真、絵画等の著作物を多くの人に見せるために、スクリーン・ディスプレイ画面で上演出来る権利のことを指します。
④公衆送信権
著作物をテレビやラジオ、有線放送、インターネットを利用して送信できる権利のことをいいます。
⑤公の伝達権
著作物をテレビやラジオ、有線放送、インターネットを利用して伝達する権利のことをいいます。
⑥口述権
言語の著作物を公に口述する行為言語の著作物を朗読等の方法で、公の場で伝える行為のことを指します。
⑦展示権
美術や写真の書作物を多くの人にみてもらうために展示出来る権利のことをいいます。
⑧頒布(はんぷ)権
多くの人に見せるために作られた著作物(劇場映画等)を、販売したり貸したりする権利のことをいいます。
➈譲渡権
著作物やその複製物を、多くの人に販売する権利のことを指します。
➉貸与権
著作物やその複製物を、多くの人に貸し出し出来る権利のことをいいます。
⑪翻訳・翻案権
著作物を翻訳、編曲、映画化等する権利のことを指さします
⑫二次著作物の利用権
二次著作物(例:翻訳したもの、小説を映画化した作品)が利用される際、原著作者と同様の著作権を有することが出来る権利のことをいいます。
以上の規定により、著作物は、あらゆる方法で無断に使用されないように保護されているのです。
著作権侵害とは
お待たせしました。本題である著作権侵害について説明させていただきます。
著作権侵害とは、著作権で保護された著作物を、著作者の許諾を得ず無断で使用することを指します。
以上で挙げた①~⑫の権利を侵害した場合に、著作権侵害に当たる可能性が考えられます。
著作権侵害になる身近な例
それでは著作権侵害になる身近な例についてお伝えします。
著作物を以下のように無断使用をすると著作権侵害になる可能性が考えられます
◆映画のDVDのコピーガードを外して複製
◆学校の授業で使う補助教材としてコピーして全生徒に配布
◆人気歌手のミュージックビデオ(PV)をYouTubeに掲載
◆人気マンガを動画ファイルにして、無断でYouTubeに掲載
◆飲食店で録画した番組をテレビやプロジェクターで流す
◆アダルトビデオを無断でFC2に載せた
◆多くの人に聴かせる朗読劇
◆公の場で音楽著作物を演奏
◆ブログで著作物内の文章をパクる
◆WEB上に掲載されている他人の写真を自社サイトで使用
◆音楽や歌詞、CDジャケットをコピーして、自身の作品として販売
◆音楽著作物をコピー演奏し、動画サイトに公開
◆楽譜を購入後、歌の練習のためにコピーして合唱部のメンバーに配布
著作権侵害にならない
対して以下のものは、著作物侵害になりません。
◇小説を一人で音読したり、親が子供に絵本を読み聞かせしたりする行為
◇個人あるいは家族内で楽しむ目的で、著作物をコピー
◇著作物を学校の授業で使う補助教材として無断コピーをしてクラスに配布