LINEのやりとりをスクショした画像を勝手に晒すと法律違反になる

 LINEのやりとりをスクショ(スクリーンショット)して、その画像を第三者あるいは、5ch(旧2ch)やツイッター等のネット上に勝手に晒す行為は法律に違反する可能性があります。

 本記事ではどのような法律に違反するのかについてお伝えします。

 

LINEのスクショ晒しで問われる罪

 LINEのやりとりは、「どのような人と交流を持っているのか」や「いつどのようなやりとりをしていたのか」等、私生活の一部を構成するものと言えます。決して誰にでも見せたい内容ではないでしょう。

 そのため、LINEのやりとりをスクショした画像を晒す行為は、プライバシーの侵害や名誉棄損罪に問われる可能性が考えられます。

プライバシーの侵害

 過去の判例等から、以下の4項目を満たした事柄がプライバシーの侵害であると認められています。

①私生活上の事実または、それらしく受け取られるおそれのある事柄であること
②公開された立場に立ってみて、公開を望まないと認められる事柄であること
③一般の人々に未だ知られていない事柄であること
④公開された人が、不快・不安感を覚える

 以上4つを要約すると、プライバシーの侵害は「当事者が望んでいないにも関わらず、私生活の情報を公開され、不快感や不安を抱く事柄」に対して、成立すると言えるでしょう。

【詳細記事】プライバシーの侵害とは?具体的にどんなことを指すのか簡単に解説

名誉棄損罪

 名誉棄損罪とは、不特定多数の人に伝達する可能性がある場で、社会的評価を低下させるような具体的な事柄を伝えた者に対して、成立する罪のことをいいます。
 具体的な事柄の真偽は問われません。嘘の情報の場合でも名誉棄損罪は成立します。

【詳細記事】法律上の名誉棄損とは?わかりやすく解説

 

違法性のあるLINEスクショ晒し

 ただ、全てのLINEのスクショ晒しがプライバシーの侵害や名誉棄損に該当するとは限りません。ではどのようなスクショだったら違法になる可能性があるのでしょうか。

【違法①】個人情報が含まれた内容

 LINEは1対1の個人トークや、限定された人たちでのクローズドトークになるため自然と個人情報が話題になる傾向にあります。個人情報が含まれたスクショがネット上に晒された場合は、プライバシーの侵害に当たる「当事者が望んでいないにも関わらず、公開していない私生活の情報を暴露され、不快感や不安を抱く事柄」の可能性が考えられます。

 そのため、プライバシーの侵害が成立するかもしれません。

【違法②】社会的評価を下げられるような内容

 LINEのやりとりのスクショを晒したうえで、「犯罪者」「低脳」等といった投稿文とともにネット上に投稿された場合、晒された人は社会的評価を下げられる可能性があります。
 そのため、名誉棄損罪が成立する可能性があります。

 

違法性に問われないLINEスクショ晒し

 対して、次に挙げるLINEスクショ晒しは違法性に問われない可能性が考えられます。

【違法ではない①】特定の人にだけ晒す

 ネットを介さず、特定の誰かにLINEスクショ晒しを行った場合は、違法に問われない可能性があります。

 というのも、プライバシーの侵害は「当事者が望んでいないにも関わらず、私生活の情報を公開された場合」という条件を満たした場合に成立します。その条件に含まれる「公開」とは、公衆に開放することをいいます。特定に誰かにのみ晒した場合は、「公開」に当たりません。

 そのため、プライバシーの侵害には該当しないでしょう。

 また、名誉棄損罪は、「不特定多数の人に伝達する可能性がある場で、社会的評価を低下させるような具体的な事柄を伝えた者」に対して成立する条件です。<特定の誰かに晒す行為は、「不特定多数の人に伝達する可能性がある場」に該当しません。

 そのため、名誉棄損罪も該当しないでしょう。

 但し、「この人に入れ知恵をしておけば、きっとネット上に晒すだろう」等といった確信の下で、特定の人に晒した場合は、プライバシーの侵害あるいは名誉棄損罪に問われる可能性は否定出来ません。

【違法ではない②】芸能人のLINE流出報道

 2016年にタレントのベッキーさんが、音楽バンド「ゲスの極み乙女。」の川谷絵音さんと不倫をしていると一部週刊誌で伝えられた際、その証拠としてLINEでのやりとりが流出しました。この事件以降、芸能人のLINEのやりとりが報道で晒されるケースは少なくありません。

 このような芸能人のLINEのやりとりが晒される報道は、違法に問われないのでしょうか。

 実は、報道には、「報道の自由」や「報道内容の価値」が尊重される向きがあります。そのため、<span class=”fw-bold”>報道によって公開されたLINEのやりとりが事実であれば、違法に問われない可能性が考えられます。</span>

 また、芸能人は職業の性質上、一定の情報が周囲に知らされることが前提となっている側面があります。その性質が違法にならない理由になっているとも考えられます。

 

ネット上で晒された場合の対処方法

 では違法性のあるLINEスクショ晒しの被害に遭った場合はどのような対処方法があるのでしょうか。
 以下の3つの方法が考えらえます。

【対処①】晒した人に削除依頼

 晒した人が誰なのか判明している場合は、その人に削除依頼をしましょう。その際は、法律に違反している可能性があることを説明すると、削除に応じてくれる可能性は高くなるでしょう。

【対処②】サイト運営者に削除依頼

 晒した人に削除依頼しても、応じてくれないケースも考えられます。その場合の次の手はサイト運営者への削除依頼が考えられます。サイト運営者は、プライバシーの侵害や名誉棄損罪に該当する行為は削除対象にしている傾向があります。
 ですので、サイト運営者に削除依頼をするのがベターです。

【対処③】弁護士に相談をするのも一手

 昨今は、インターネットネット上のトラブル解決を得意分野とする弁護士が存在います。ですので、インターネット上のトラブルに強い弁護士に相談をすることもオススメです。弁護士に相談をすれば、LINEのスクショ晒しに対し、スムーズに解決に導いてくれるでしょう。