You Tubeの削除依頼方法:名誉毀損・肖像権侵害等による風評被害を防ごう

 現在、You Tubeの全世界の月間利用者数は『20億人』(『https://www.live-commerce.com/ecommerce-blog/youtube/#.XoKvAIj7TIU』)です。多くの方が利用しているため、You Tubeに投稿されている動画の影響力は大きいです。

 その反面、You Tubeの動画をきっかけに、思わぬ風評被害を受けるケースは少なくありません。本記事では、You Tubeで風評被害を受けている方に向けた削除依頼方法についてお伝えいたします。

 

You Tubeの削除基準

 You Tubeでは削除基準が設けられています。そのため、全ての削除依頼に応じるとは限りません。
 You Tubeの親会社であるグーグルが定めた基準に沿って、削除の可否を判断します。

 ではグーグルはどのような削除基準を設けているのでしょうか。具体的に、「禁止および制限されているコンテンツ」「法律に違反するコンテンツ」の2つの削除基準を定めています。
 1つずつ見ていきましょう。

【削除基準①】禁止および制限されているコンテンツ

 グーグルは以下に該当する情報を、「禁止および制限されているコンテンツ」として削除対象に定めています。

⑴スパム

 スパムとは、無差別かつ大量にパラまかれるメッセージのことを指します。例えば、同じ動画を複数回投稿する等がスパム行為に該当する可能性があります。

⑵虚偽

 情報は、実体験に基づいたものでなければならないと考えられます。そのため、事実とは異なる内容の動画は虚偽に該当する可能性が考えられます。

⑶制限のある商品・サービスの販売促進

 アルコールやタバコ等の年齢制限がされている商品や、銃やギャンブル等の地域によって規制がある商品・サービスの販売を促進する動画は削除対象になります。
 不特定多数の目に触れるYou Tubeの動画で、制限のある商品・サービスの販売が促される行為は適さないと考えられているためです。

 また、制限のある商品・サービスを購入するためのページリンク、あるいはメールアドレスや電話番号等の連絡先が含まれている場合も、販売促進していると判断され削除される可能性があります。

⑸テロリスト関連

 テロリスト行為を助長したり称賛したりする動画は、削除の対象になります。もちろん、テロリストの組織がYou Tubeに動画を投稿することは一切認められていません。

⑹露骨な性的表現

 露骨な性表現が含まれた動画は削除の対象になります。例えば、露骨なアダルト描写がされていたり、卑猥なワードが使われたりする動画等が該当します。
 また、性的虐待が連想されたり、児童が性的に表現されていたりする動画も削除の対象です。

⑺差別

 差別をするような口コミも削除対象になります。例えば、性別や人種に関する悪意ある表現がされた動画は差別に該当するでしょう。

⑻なりすまし

 グーグルは他人を欺くような、なりすましを許していません。
 なりすましとは、投稿者が他者を演じて口コミや動画等を投稿する行為のことをいいます。例えば、従業員が客を演じて高評価な動画を投稿した場合は、なりすましに該当するでしょう。
 なりすましと見なされた動画は、削除の対象になります。

⑼利害がある

 グーグルは、自社が提供するサービスで公開された情報については公平であるべきと考えています。そのため、利害が生じる可能性がある動画は削除される可能性があります。例えば、以下に列記したものは利害が生じる動画と言えるでしょう。

■経営者が自社を称賛するような動画
■過去に働いていた職場について述べられた動画
■競合他社が提供する商品・サービスを評価した動画

【削除基準②】法律に違反するコンテンツ

 法律に違反する動画も削除の対象になります。You Tubeの動画で違反する可能性がある法律は以下が挙げられます。

法律 定義
名誉毀損罪 不特定多数の状況下で、他人の社会的評価を下げる行為 ・○○というお店はヤクザが経営している
・この店は腐った食材を客に平気で出してくる
侮辱罪 具体的な事実を避け、おおやけの場で社会的評価を下げる行為 ・○○というお店は接客が酷い
・全従業員が頭おかしい
プライバシーの侵害 公共の場で、公開を望んでいない個人情報や私生活の情報を暴露する行為 個人を特定される以下の情報が、動画で無断公開される

■画像
■音声
■財務情報
■連絡先

信用毀損罪 故意に嘘の噂を流したり人を騙したりして、他者の信頼を傷つける行為 「〇〇というお店のラーメンにハエが入っていた」という事実無根の口コミによって、客足が少なくなった
脅迫罪 他人を脅かす目的で危害を与える行為 ○月○日までに店を撤退しなければ放火してやる
肖像権侵害 自身の画像や動画等が、他人にみだりに利用されている行為 自身がアップした動画が、他のYou Tubeチャンネルで無断転載されている

 以上で紹介した、削除依頼①~②に該当する動画は、You Tubeに削除依頼をすれば対応してくれる可能性があります。

 

削除依頼方法

 それでは本題であるYou Tubeの削除依頼方法についてご説明させていただきます。YouTubeの削除依頼は以下の2通りが挙げられます。

・You Tubeに削除依頼
・動画の投稿者に削除依頼

【方法】You Tubeに削除依頼

 You Tubeに削除依頼をする場合は、動画がどんな違反をしているかのよって、削除依頼方法が異なります。具体的に以下のように分けられます。

・著作権を侵害されている場合
・プライバシーを侵害されている場合
・その他

 それぞれの削除依頼の手順をご説明させていただきます。

著作権を侵害されている場合の削除依頼

 著作権を侵害されている場合は、こちらのページから、問題の動画の情報等を伝えて著作権侵害の申立を行いましょう。その情報を基に法的手続が開始させるため、入力情報の誤り等がないように注意してください。

プライバシーを侵害されている場合の削除依頼

 プライバシーを侵害された場合は、こちらのページから削除依頼をしてください。ステップを踏んで進めていくと申請フォームが表示されます。必要事項を記入して削除依頼を行いましょう。

その他

 ここからは著作権・プライバーの侵害以外を理由にした削除依頼方法をお伝えします。その場合の削除依頼は、動画閲覧ページから行います。
 パソコンの場合は下記画像の丸印で囲った「」をクリックし、「報告」から削除依頼が可能です。

 スマホの場合は、下記画像を見ての通り、動画の下部にある「報告」から削除依頼をしましょう。

 すると、下記画像のようにガイドラインのどの項目に違反しているのかについての選択画面に移ります。該当する項目にチェックを入れると、「上で選択した項目は、動画の説明内のリンクに該当している」という一文が表示されます。チェックを入れ「次へ」をクリックしましょう。

 すると、下記画像のように動画内容に関して詳細な報告を記述出来る画面に移ります。

 「選択したタイムスタンプ」では、問題がある部分のスタート時間を記入しましょう。
 「詳細を入力」の欄では、どのようなシーンで何が問題なのかを明記しましょう。それを基に運営者は動画を確認すると考えられます。運営者が内容をより把握出来るよう詳細に記載するのがベターでしょう。記載が完了したら「報告」をクリックして削除依頼は完了です。

【方法】動画の投稿者に削除依頼

 YouTube(ユーチューブ)側が削除をしない決定をする可能性も考えられます。そういった場合には、動画をアップした者に直接、削除依頼をしましょう。

 動画投稿者は、仕事の依頼が来る場合に備え、チャンネル概要欄にメールアドレスやSNSアカウントへのリンクを掲載しているケースが少なくありません。削除依頼をする際は、まずチャンネル概要欄を見て連絡をとれるかどうかを確認してみましょう。

 パソコンからYou Tubeを利用している場合は、動画チャンネルのホームから、下記画像のように赤丸で印をつけた箇所をクリックするとチャンネル概要欄を見ることが出来ます。

 スマホでYou Tubeを利用している方は、動画チャンネルのホーム画面から下記画像のように、「」から「概要」をクリックするとチャンネル概要欄を閲覧出来ます。

 しかし、チャンネル概要欄から連絡がとれないケースも少なくありません。ですので、投稿者に直接、削除依頼をする手段は、限定的な方法なのです。

投稿者への削除依頼文の例

 投稿者へどのように削除依頼をすればよいのか分からない方もいるでしょう。そこで下記に例文を紹介します。

お世話になります。
〇〇(法人の場合)の〇〇と申します。

今回は〇〇という動画(要URL)の動画内に私の個人情報が含まれており、動画を「該当箇所の差し替え」または「動画の削除」をお願いしたくご連絡申し上げました。

この動画の〇分〇秒~〇分〇秒には、私の「〇〇(動画内に含まれる個人情報の説明)」という個人情報が含まれており、プライバシーが侵害されている状態となっております。

このような侵害行為はYouTubeの利用規約「個人情報の保護」並びに「YouTubeプライバシーガイドライン」に違反する行為となります。

また、弁護士に依頼した法的な措置も検討しておりますので、念のため申し添えます。

動画の削除のご検討の程何卒よろしくお願い申し上げます。

引用元:https://sakujo.or.jp/youtube-sakujo-tokutei/#toc2

 上記の例文では、文末で弁護士への依頼も検討している旨が記載されています。そうすることにより、投稿者が投稿に応じてくれる可能性はグッと高くなるでしょう。

 

You Tubeに削除依頼をする場合の注意点

 You Tubeに削除依頼をする場合の注意点は以下が挙げられます。

【注意①】著作権者名は本名でなくてもいい

 You Tubeに削除依頼する際は、著作権者名を入力する欄があります。著作権者名はYou Tubeユーザー名、あるいは本名を入力しなければなりません。

 ただ、ここで記入した著作権者名は、削除された動画に表示されます。下記のように表示されます。

これは、著作権の侵害に関する第三者通報が、以下の申立人から寄せられたため削除しました。
○〇〇〇〇(著作権者名)

 本名を明かされたくない方は、著作権者名はYou Tubeユーザー名を入力するようにしましょう。

【注意②】You Tubeからのメールを受け取れるようにしておく

 削除依頼に対する返答等が「support@youtube.com」から届く場合がります。メールを受け取れるよう、事前に受信設定を確認しておきましょう。

【注意③】何度も削除依頼しない

 動画の削除には一定の時間を要します。そのため、依頼後に何度も削除の申請をしないようにしてください。削除依頼を繰り返すとスパム行為を見なされ処罰の対象になるおそれも考えらえます。くれぐれも、何度も削除依頼をしないでください。

 

削除出来ない場合

 本記事では「You Tubeへの削除依頼」「投稿者への削除依頼」の2通りの方法を紹介しました。しかし、削除依頼に応じてもらえない可能性も考えられます。その場合は、泣き寝入りするしかないのでしょうか。
 実は、他の対策方法があるのです。次の3つの方法が考えられます。

【別の方法①】検索結果の削除申請

 検索エンジンに引っかからないように削除申請をするという方法があります。記事自体は削除されないので根本的な解決にはなりませんが、閲覧者の目に触れる機会を減らす効果が期待出来ます。
 グーグル等の検索エンジンに申し立てをすることで検索結果の削除申請が可能になります。

【別の方法②】仮処分

 仮処分とは、裁判をせずに勝訴(裁判で勝つこと)時と同じ状態を確保する手続きのことをいいます。
 判決が下されるまでに1年前後あるいはそれ以上の期間を要する裁判に対して、仮処分は数日から数週間で判決が下されます。

 裁判で判決が下されるのを待っていては問題のある口コミが拡散される恐れがあります。スピーディーな解決が望まれるインターネット上のトラブルは、裁判より短期で判決が下される仮処分の方がよいと言えるでしょう。

【関連記事】仮処分とは?わかりやすく解説

【別の方法③】発信者情報開示請求

 発信者情報開示請求とは、プロバイダに対し、発信者の情報(住所・氏名・登録された電話番号等)の開示を求めることをいいます。

 発信者情報開示請求は、投稿者を突き止めて、本人に削除してもらうこと等を目的に行います。

 

弁護士に相談するのも一案

 上記のものは法的手続になるため、法律に関する専門知識が必要になります。自身で手続きを進めていくことは非常に難しいです。近年では、ネットが普及したことに伴い、ネット上のトラブル解決を得意分野とする弁護士も現れています。

 ですので、ネット上のトラブルに強い弁護士に相談をするのも一案です。そのよう弁護士であれば、それぞれの問題に対し的確に応じてくれるでしょう。