誹謗中傷被害を食い止める「送信防止措置依頼書(テレサ書式)」の書き方

誹謗中傷被害を食い止める「送信防止措置依頼書(テレサ書式)」の書き方

 SNSや掲示板、ブログなどで他人からの誹謗中傷は、近年とても身近な問題となっています。
 いつ、誰が被害に遭うか、または加害者になるかわからない現状と言えるでしょう。

 この記事では、被害者になった場合、問題の書込みの削除を求める法的な書類「送信防止措置依頼書(テレサ書式)」の書き方についてお伝えします。

 

送信防止措置依頼とは

 はじめに、送信防止措置について説明させていただきます。

 送信防止措置とは、インターネット上で誹謗中傷された場合に、サイト管理者あるいはプロバイダに問題の書込みの削除を求める手続のことをいいます。
 送信防止措置は、プロバイダ責任制限法に則って依頼の手続を行います。その際に使用するのが送信防止措置依頼書なのです。

 

侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書とテレサ書式

 送信防止措置依頼書は、所定のフォーマットが用意されている場合を除いて、基本的にはテレコムサービス協会(ケーブル会社や回線業者等、通信に関わる事業者が集まった業界団体)から用意されている書式「侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書」を利用します。

 この「侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書」は、通称「テレサ書式」と呼ばれています。テレサ書式はコチラからダウンロード可能です。

 

送信防止措置依頼書(テレサ書式)の書き方

テレサ書式 送信防止措置依頼書

 本記事では、よく利用される上記画像のテレサ書式の書き方についてお伝えします。上から順を追って、項目ごとに書き方をご説明します。

【書き方①】特定電気通信役務提供者の名称

 書式の左上の「特定電気通信役務提供者の名称」欄には、削除を依頼する相手を記入します。サイトの管理会社名あるいはプロバイダ会社名を記入しましょう。

【書き方②】権利を侵害されたと主張する者

 「権利を侵害されたと主張する者」には、自身の住所・氏名・連絡先を記入します。
 弁護士に送信防止措置依頼の代行をお願いしている場合は、住所・氏名に自身の情報、連絡先には弁護士の情報を記入しましょう。

 また、送信防止措置依頼書を提出する際は、印鑑証明書の同封を指定されるケースが多いです。そのため、氏名の隣に押す印鑑は、印鑑登録を行っているハンコを使用するのがベターです。

【書き方③】掲載されている場所

 「掲載されている場所」欄には、問題のあるページのURLを記入します。
 但し、それが掲示板の場合は、URLだけでは問題のある書き込みがどれなのかが伝わりません。そのため、掲示板の場合は、スレッド名やレス番号、投稿日時等の具体的な情報も併せて記入してください。

【書き方④】掲載されている情報

 「掲載されている情報」欄には、実際にどんな内容のことが掲載されているのかを記載します。コピー&ペーストでも構いません

 件数が多かったり、欄内に書ききれかったりする場合は、問題のある書き込みをスクリーンショットしたものを、添付資料として同封し、「添付資料の通り」と記載しましょう。

【書き方⑤】侵害されたとする権利

 「侵害されたとする権利」欄には、権利の侵害内容を記入します。誹謗中傷で主に挙げられる侵害内容は以下の8つが挙げられます。

名誉毀損…他人の社会的評価を下げる行為
侮辱…他人を軽んじてはずかしめたり、見下して名誉を傷つけたりする行為
脅迫…相手の生命や身体、自由、名誉、財産等に害を加える行為
信用毀損…嘘の情報を流したり人を騙したりして、他社の信用を侵害する行為
業務妨害…嘘の情報を流したり人を騙したりして、他人の業務を妨害する行為
プライバシーの侵害…他人に知られたくないその人固有の秘密をみだりに第三者に公開する行為
著作権侵害…著作権で保護された著作物を、著作者の許諾を得ず無断で使用する
肖像権侵害…本人の許可なく顔や身体を、撮影・公表されない権利を侵害する行為

 以上から、該当するものを記入しましょう。

【書き方⑤】権利が侵害されたとする理由

 「権利が侵害されたとする理由」では、権利が侵害された理由について記入します。
 その際は、「○○という表現が○○で○○だから、○○が成立する」といったように、主張する権利侵害の成立要件に沿って記入しましょう。

 例えば、主張する権利侵害が名誉毀損の場合、『「絶対浮気をしている」という箇所が、他人からの社会的評価を下げるので名誉毀損が成立する』と記入するとよいでしょう。

 なお、既出のテレサ書式の画像に書き込まれている例文のように、第三者が見ても分かるような文章も参考になります。

【書き方⑥】発信者に氏名開示するかどうか

 テレサ書式の最下部では、発信者に氏名を開示するかどうかを問われます。発信者とは、ここの場合、誹謗中傷の書き込みをした人のことを指します。

 発信者に自身の名前を開示して問題ない場合は、左欄に丸印を記入してください。開示を拒否する場合は、左欄は空欄でOKです。

 

修正液の使用はNG

 送信防止措置依頼書の記入に際して、訂正をしたいこともあるでしょう。送信防止措置依頼書は、正式な書類なので修正液の使用はNGです。
 
訂正したい場所は、該当の文字を二重線で引き、その上から押印するのがベターでしょう。

 

送信防止措置依頼書の提出方法

 送信防止措置依頼書の提出方法は、削除依頼先のサイト管理者・プロバイダによって異なります。基本的には、郵送で受付しています。しかし、問い合わせフォームや専用メールアドレスから受付してケースも少なくありません。

 送信防止措置依頼書を提出する際は、削除依頼先がどのような方法で送信防止措置依頼を受け付けているのか必ず確認しましょう。

 

必ず削除されるとは限らない

 送信防止措置依頼書を送付しても、必ず削除されるとは限りません。
 
以下2つの条件を満たしている必要があります。

①他人の権利が侵害されていると信じるに足る相当の理由があったとき
②削除請求があったことを投稿者に連絡してから7日以内に,削除に同意しない旨の連絡がなかったとき

 そのため、送信防止措置依頼書に書かれた内容や、投稿者の反応によっては削除されない可能性があるのです。

 

弁護士への依頼もオススメ

 では削除してもらえる可能性を高めるためには、どのようにすればよいのでしょうか。「権利が侵害されたとする理由」を的確に法律に則って記入することが重要です。そのためには、一定の法律の知識が欠かせません。

 昨今は、インターネットネット上のトラブル解決を得意分野とする弁護士が頭角を現しています。ですので、インターネット上のトラブルに強い弁護士に相談をすることも良策と言えるでしょう。インターネット上のトラブルに関する豊富なノウハウと法的知識を生かして、弁護士が解決に導いてくれるでしょう。