ネット上で誹謗中傷された!『送信防止措置依頼書』の書き方

  • 2018.07.04
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 SNSや掲示板、ブログなどで他人からの誹謗中傷は、近年とても身近な問題となっています。
 いつ、誰が被害に遭うか、または加害者になるかわからない現状と言えるでしょう。

 この記事では、被害者になった場合、問題の書込みの削除を求める法的な書類「送信防止措置依頼書」の書き方についてお伝えします。

送信防止措置依頼書とは?

 「送信防止措置」とは、掲示板やSNS、ブログなどのネット上において、名誉やプライバシーを侵害など誹謗中傷された場合、問題の書込みの削除を求めることを言います。

 ネット上の書込みの削除依頼は、プロバイダ責任制限法によって定められた手続きで行います。その際に「送信防止措置依頼書」と題された書類を使用します。

プロバイダ責任制限法とは

 プロバイダ責任制限法とは、2002年5月に施行された法律で、ネット上で名誉やプライバシー、著作権などの侵害が発生した場合、被害が広がらないために問題の情報の削除、および発信者の情報開示(投稿者の特定)を請求できることを定めた法律です。

削除を求める相手

 送信防止措置を依頼する相手は、サイト運営者です。
プロバイダ責任法によると、削除を求める相手は「プロバイダ等」と表記されていますが、これはコンテンツプロバイダ(サイト運営者)を指しています。

ですが、一般的に「プロバイダ」という言葉を聞くと、NTTやSo-netなどのインターネットプロバイダ(ネット回線会社)を思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか。
 プロバイダ責任法では、プロバイダはネット回線会社のみを指しているのではなく、サイト運営者も「プロバイダ」に含まれています。
 サイト運営者を「コンテンツプロバイダ」と呼び、ネット回線会社の「プロバイダ」と区別を図っています。

 

誰が削除を求めることができるのか?

 送信防止措置依頼書を使用して、サイト運営者に問題の書込みの削除を求められるのは、本人若しくは代理人(弁護士)です。

 この方法での依頼は、プロバイダ責任法に基づいた法的な手続きとなるため、弁護士以外の人(業者)に金銭を支払って、代理人を依頼することはできません。
 このようなことを行うと、弁護士法72条で禁止されている「非弁行為」に該当する可能性があります。

 ネット上に掲載されている広告の中には、弁護士とは関係のない業者が「格安で誹謗中傷トラブルを解決します!」と謳っている広告を目にすることがあります。
 しかし、これは違法業者の可能性がありますので注意が必要です。

困った男性

「送信防止措置依頼書」の書き方

 では、ここからは実際に「送信防止措置依頼書」の書き方についてお伝えしていきます。

書類はどこで入手するのか?

「送信防止措置依頼書」は、ネット上でダウンロードすることが可能です。
例えば、誹謗中傷のようなネット上のトラブルに強い弁護士所属する法律事務所のホームページから、書式をダウンロードできる場合があります。

また、弁護士に依頼せず、自らで書類を書く場合は、一般社団法人テレコムサービス協会(通称:テレサ協)の書式を使用することをオススメします。テレサ協とは、1994年に設立された通信事業者が集まった業界団体です。

 テレサ協の送信防止措置依頼書は、「テレサ書式」と呼ばれています。要点がまとめられている書式のため、一般の人にも分かりやすい内容と言えます。
 次項で、テレサ書式を例に、書類の書き方をご紹介します。

テレサ書式の書き方

【テレサ書式】

テレサ書式 送信防止措置依頼書

 上記は、テレサ書式です。以下、上から順を追って、項目ごとに書き方をご説明します。

■「貴社が管理する特定電気通信設備等」
 
削除を希望する書込みを具体的に記す項目です。
問題の書込みが掲載されているURLを記入し、掲示板の場合はスレッド名やレス番号などで具体的に、どの書込みかを明記しましょう。
また、投稿日時がわかる場合は、それを記載するとさらに具体的です。

■「掲載された情報」

 どのような内容の書込みがされているのかを示す項目です。
 対象の書込みページを印刷して、書面で添付すると良いでしょう。

■「侵害された権利」

 「名誉権」(※)や「プライバシー権」(※)など侵害された権利を示す項目です。
 示した権利が侵害された理由は、次項で記載します。

(※注釈)
「名誉権」とは、人間の人格。他人から名誉を侵害されない権利。
「プライバシー権」とは、他人から私生活を勝手に公開されない権利。

■「権利が明らかに侵害されたとする理由」

 権利が侵害された理由を具体的に記載する項目です。

 問題の書込みの中で、「自分のことを指しているとわかる言葉」、「内容は本当であるかウソであるか」など第三者が読んでもわかるように記載する必要があります。

※補足

 宛名の記載は、問題のサイトを管理している企業です。サイト内に掲載されている「会社概要」などから情報を得ることができます。

また、書面の一番下方に、「上記の内容は、事実に相違なく、発信者にそのまま通知されることになることに同意いたします。」と記載されています。
これは、問題の書込みを行った人物を、サイト管理者が把握している場合、その人物に「送信防止措置依頼書」が届いたことを知らせても良いかと訪ねています。

 知らせることに同意する場合は、指定の場所に「○」を付けてください。同意しない場合は、空欄で書類を送付します。

 以下、テレサ書式の記入例です。

 
【テレサ書式 記入例】

テレサ書式 送信防止措置依頼書

添付書類

 送信防止措置依頼書を送付する際、被害者本人の身分確認証(運転免許証、パスポートなど)の添付が必要です。

郵送方法

 書類が全て揃い、郵送する場合、普通郵便ではなく、「内容証明」で郵送します。

 いつ、いかなる内容の書面を、誰から誰あてに差し出したかを、郵便局が謄本によって証明する制度です。

 郵送方法としては、郵便ポストではなく、郵便局に持っていきます。ですが、郵便居ならばどこでも良いわけではなく、指定された郵便局のみで内容証明を受け付けています。(詳細は下部のリンクをご覧ください)。

 そして、次のものを郵便局に提出します。

1、内容文書2通(受け取り人用、謄本用で2通)

2,差出人、受取人の住所・氏名を記載した封筒

3、内容証明の郵便料金

※念の為、差出人の印鑑を持っていくことをオススメします。

 内容証明についての詳細は、下記をクリックしてご覧ください。
日本郵便局株式会社公式サイト「内容証明」

「発信防止措置依頼書」がサイト管理者に届いた、その後

 ここまでは、ネット上で誹謗中傷などの被害を受け、「送信防止措置依頼書」を送付するまでをご紹介しました。
 では、書類がサイト管理者に届いた後は、どのような流れになるのでしょうか。

 以下、サイト管理者が「①削除と判断した場合」、「②削除の判断が困難な場合」、「③削除しない」と判断した場合の3パターンをご紹介します。

■ ①削除と判断した場合 

 サイト管理者が、「削除する」と判断すると依頼した書込み部分が削除されます。
 そして、書込みを行った人物(発信者)に対して、発信防止措置依頼書(削除要請)が届いたことを知らせます。

■ ②削除の判断が困難な場合

削除要請の内容を確認し、削除するか否かの判断が難しい場合、発信者に対しいて削除をなどの対応を行っても良いかと照会します。
 その後、再検討し、削除するか否かの判断を行います。

■ ③削除しないと判断した場合

 削除要請の内容を確認し、検討した結果、削除を行わないと判断する場合もあります。

さいごに

 誹謗中傷などネット上のトラブルが増えている中、自分で「送信防止措置依頼書」を書いて、問題の書込み削除を申立てる人も多いようです。

 しかし、サイト管理者が必ず削除に応じてくれるとは限りません。また、発信者に削除を依頼したことが知られる場合もあり、さらなるトラブルへと繋がる可能性もあります。

 もし、ご自身で対応しきれない事態に発展した場合は、ネット上のトラブルに強い弁護士に相談することをオススメします。