転職会議で誹謗中傷被害ら…口コミの削除依頼の方法と注意点

  • 2018.03.08
転職会議で誹謗中傷被害ら…口コミの削除依頼の方法と注意点

 企業の労働環境の実態が書き込まれる転職口コミサイト。求職者の入社前の企業研究として役立つサイトですが、多く寄せられる口コミの中には、企業への誹謗中傷の書込みも後を絶ちません。

 今回は、転職口コミサイトの「転職会議」に誹謗中傷する書込みをされた場合、どのように対処すれば良いのかをご紹介します。

転職会議とは?

 転職会議とは、求職者がその企業の情報を口コミによって事前に調べることのできるサイトです。サイトは、株式会社リブセンスが運営しています。
 「食べログ」という飲食店の口コミサイトがありますが、その企業版といえるでしょう。

 口コミは、評判や社風、年収など入社後を想像しやすい項目で書込みがされています。

 会員登録は無料で、登録することで口コミを見ることができますが、全文を見られるのは10件まで。例えば、ひとつの企業の口コミが100件あった場合、その全件を全文で見たい場合は、口コミを1件書き込むか、若しくは980円をサイトに支払うかのどちらかを選択しなければなりません。

どんな人が書き込んでいるのか?

 転職口コミサイトに書き込むユーザーは、現役の従業員や元従業員などで、実際にその企業で勤務していた人が投稿しているとされています。
 したがって、現場の労働環境の実態を知ることができるサイトとして人気を集めています。

 しかし、そのユーザーは、転職を考えている、若しくは転職を希望している人ともいえます。つまり、その企業に不平不満を持っている人が書いている書込みという考え方ができます。

誹謗中傷の書込み

 日々、多くの書込みがされる転職会議ですが、その中には企業を誹謗中傷する書込みも少なくありません。

 例えば、「サービス残業が月に50時間あります」などと書き込まれ、ブラック企業呼ばわりされるケースなどがあります。このような書込みを放置していると、思わぬ風評被害に遭うこともあります。

誹謗中傷の風評被害

 会社の悪評を書き込まれた場合、それがウソの情報であっても、閲覧者の中には信じてしまう人もいることでしょう。
 ウソだからといって悪評の書込みを放っておくと、以下のような風評被害に遭うケースがあります。

■求人への応募が集まらない

■内定を出しても辞退されてしまう

このようなことが続くと、企業にとっては大きな問題となります。そこで企業側は、誹謗中傷する書込みの削除をサイト運営者に申立てることができます。

誹謗中傷で問われる罪

ネット上に、個人や法人問わず相手を誹謗中傷する書込みをすると、刑事罰や損害賠償請求を受ける可能性があります。
 どのような法律に違反する場合があるのか、一部をご紹介します。

■「名誉毀損罪」(刑法230条)

「名誉毀損」(めいよきそん)とは、内容が本当かウソかは関係なく、不特定多数の人が知ることができる状況で、他人に対する社会的評価を下げるような言動を行う行為です。

  刑法で「3年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金に処する。」と定められており、裁判で有罪となると懲役刑が下される可能性もある重い罪です。

■脅迫罪(刑法222条)

 「脅迫」(きょうはく)とは、相手を脅し、恐怖を与える言動です。例えば、「お前を殺すぞ」と一言口にしただけで脅迫罪に該当します。これは相手の家族への告知も含まれます(第2項)。

 「生命、身体、自由、名誉または財産に対して害を加える旨を告知」(第1項)と条文には記載されています。これを一つひとつ例に上げると下記になります。

 生命…「お前を殺すぞ!」「娘を殺すぞ!」
 身体…「殴るぞ!」
 自由…「娘を誘拐するぞ!」「閉じ込めてやる!」
 名誉…「世間に公表するぞ!」
 財産…「家に火をつけるぞ!」「ペットを殺すぞ!」
 
 脅迫罪は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が定められています。

■業務妨害罪(刑法233条)

 業務妨害罪とは、①偽計業務妨害罪と②威力業務妨害罪の2つに大きく分かれます。

①偽計業務妨害罪とは、ウソの噂話しを流して人を騙し、業務を妨害することです。
 例えば、飲食店に3ヶ月にわたり、約1000件の無言電話を書けた場合などが該当します。

②威力業務妨害とは、相手に圧倒的な力を利用する方法を用いて、業務を妨害することです。
 例えば、「市役所に爆弾をしかけたぞ!」と脅し、市役所の業務を妨げる行為などです。

偽計業務妨害、威力業務妨害の法定刑は、3年以下の懲役50万円以下の罰金です。

■損害賠償請求(民法709条)

 民法に定められている不法行為によって損害賠償請求をすることが可能な場合があります。

ノートパソコン

転職会議の削除方法

 転職会議に誹謗中傷する記事を掲載された場合、その内容が企業の権利を害する場合は削除を申立てることができます。
 

メールで削除の方法

転職会議を運営するリブセンスへ、企業側から直接に連絡をして、相手の任意で書込みの削除を求める方法があります。

 サイトの一番下にある「お問い合わせフォーム」に、氏名、メールアドレス、問い合わせ内容を入力します。
 問い合わせ内容には、どのように権利の侵害をされているかを具体的に記すことが重要です。

 その内容を見て、運営者側は削除をするか否かの判断をします。あくまで任意の削除依頼となりますので、運営者側が認めなければ削除はされません。

 そして、転職会議はこのような方法で削除に至ったケースは、全体の0.2%ともいわれ、ほとんど成功していないことが実態のようです。

■「転職会議」お問い合わせフォーム

転職会議 お問合せフォーム

裁判所での仮処分

 前述したとおり、転職会議は、企業からの直接の削除依頼ではなかなか応じてくれないことが現状のようです。そこで、裁判所に記事削除の申し立てを行い、仮処分を下してもらう方法があります。

 仮処分を申し立てると、問題となっている誹謗中傷の内容、申立人の権利を侵害しているかを裁判所が確認します。
 サイト運営側にも詳しく話しを聞き(審尋)、これらの結果で書込み削除の命令を下すか否かの判断が下されます。

 記事削除の仮処分の申立ては、裁判の手続きになるわけですから、一般的には本人が弁護士に相談をして行うことになります。

開示請求

 誹謗中傷に風評被害に遭った場合など悪質なケース、再発防止などの理由で、「開示請求」によって書込みをした相手を特定することも可能です。

 開示請求とは、コンテンツプロバイダ(サイト運営者)へ投稿者のIPアドレス(インターネット上の住所)、問題の書き込みがされたタイムスタンプ(日時)などを提示させ、インターネットプロバイダにその情報を照会して投稿者を特定する手続です。
 インターネットプロバイダに照会する際、問題の書き込みのアクセスログ(コンピューターの接続履歴)の保存を求めておくことが重要です。

発信者情報開示請求の手続きの流れ

開示請求の具体的な流れ

 例えば転職会議で、個人や法人を誹謗中傷する書込みがされたと仮定します。

その場合の開示請求の手順として、まずはコンテンツプロバイダ(サイト運営側:転職会議)に「発信者情報開示請求書」と題した書類を送ります。これによってコンテンツプロバイダへ、投稿者のIPアドレス、タイムスタンプなどの提示を求めます。もし、情報の開示を拒まれた場合は、裁判所の簡易的な裁判により仮処分を下してもらう必要があります。

次に、インターネットプロバイダ(ネット回線会社:例・docomo、KDDIなど)に利用者の氏名、住所、連絡先などの個人情報の開示を要求します。
インターネットプロバイダにとっては顧客の個人情報を提供することになるため、「発信者情報開示請求訴訟」の裁判を起こし、裁判所から情報開示の命令を下してもらう必要となる可能性が高いです。

また、インターネットプロバイダへ事前に、アクセスログ(パソコンへのアクセス記録)の保存を求めておきます。アクセスログの保存期間は通常3ヶ月程度とされています。期限切れになると消去され、IPアドレスとの照会ができなくなる可能性があるので注意が必要です。

開示請求で問題の書込みをした人物を特定するには、場合によっては3回ほどの裁判を起こす必要があるため、労力と時間を費やすことになります。
 この場合は、本人がネット上でのトラブルに強い弁護士に依頼することが一般的です。

注意点

 転職会議では、削除依頼を受けて、問題のある一部分の言葉をアスタリスク(*)で隠す場合があります。
例えば、「社内では*******して、社員は会社の**です。」のように問題の言葉をアスタリスクで隠すような処置で、運営側はなるべく書込みを残そうとします。

 しかし、このような対処では前後の言葉から、内容は推測することが可能です。また、全体的に悪い印象を持ちかねません。

 これは、削除依頼の交渉を上手く進めることができなかった可能性があるようです。
 書込みの一部分ではなく、その投稿全体が問題であることを主張して、記事そのものの削除を求める必要があります。

弁護士に相談することが解決への一番の近道!

 前述したとおり、転職会議の口コミで誹謗中傷する書込みを見つけた場合、下記2つの解決策をご紹介しました。

■運営側にお問い合わせフォームから削除依頼の連絡を直接入れる
■裁判所で記事削除の仮処分の申立てを行う

 前者の運営側に直接連絡をした場合、運営側は問題の言葉のみをアスタリスク(*)で隠すなどして、なるべく書込みを残そうとする傾向があります。
後者の仮処分の申立てをした場合は、裁判所が命令を下すと、運営側はそれに応じなくてはなりません。
 したがって、問題の解決への一番の近道は弁護士に相談のうえ、裁判所での仮処分の申立てと考えられます。
 裁判となると、足踏みする人も多いとは思いますが、弁護士の中にはネット上のトラブルに強い専門家も存在します。まずは相談を持ちかけてみることをおすすめします。