IP開示請求とは:簡単に解説

IP開示請求とは:簡単に解説

 本記事では、誹謗中傷している人を特定するために行う「IP開示請求」について簡単に説明させていただきます。

 

IP開示請求と発信者情報開示請求

 IP開示請求は、誹謗中傷をしている人を特定するための手続である「発信者情報開示請求」の中の1つの行程です。
 発信者情報開示請求は以下の手順で行います。

①サイト運営者にIP開示請求
仮処分(裁判をせずに勝訴時と同じ状態を確保する手続) ※サイト運営者が開示に応じなかった場合
③プロバイダへ投稿者の個人情報開示請求
④裁判 ※プロバイダが開示に応じなかった場合
⑤投稿者が特定される

 上記の通り、IP開示請求は、3つ目の行程になります。
 なお、サイト運営者とプロバイダは個人情報の守秘義務があるため、開示に応じない場合が多いです。そのため、仮処分や裁判を行わなければならないケースが多いです。必要性は高くなります。

 

IP開示請求とは

 では、IP開示請求とは具体的にどのような手続のことを指すのでしょうか。
 IP開示請求とは、IPアドレス(ネット上の住所)とタイムスタンプ(IPアドレスが使用された日時)の情報の開示を求める手続のことをいいます。

 IPアドレスとタイムスタンプの情報は、サイト運営者が保管しています。
 それらから特定出来る情報は、「国・地域単位でのおおまかな位置」「投稿者が利用したプロバイダ」「ISP・回線情報」等です。
 ですので、IP開示請求では、投稿者の名前や住所等の個人情報の特定までには到りません。

 

IP開示請求が出来る条件

 サイト運営者の多くは、「名誉毀損や著作権侵害等の権利侵害に該当し、投稿に問題があると判断した場合は、IPアドレス情報の開示に応じる」という名目の下でサイト運営を行っています。

 しかし、既述の通り、サイト運営者には個人情報の守秘義務があります。そのため、IP情報開示請求には応じないケースが多いのです。

 

IP開示請求にかかる期間

 前述の通り、IP開示請求は、仮処分で行うケースが多いです。仮処分でIP開示請求にかかる期間は、1~2ヶ月です。
 但し、開示請求を行うサイトによって異なります。

 

IP開示請求は弁護士への依頼がオススメ

 前出の通り、IP開示請求を行っても、サイト運営者が応じないケースがあるため、仮処分を行うのが通例です。

 仮処分は、法的知識が必要になります。ですので、自身で仮処分を行うのは困難と言えます。昨今、誹謗中傷に強い弁護士が台頭を現わしています。そのような弁護士に相談することが良策と言えるでしょう。

 また、IP開示請求の仮処分にかかるおおよその弁護士費用は、着手金(依頼時に発生する費用)が約20万円、報奨金(IP開示に成功した際にかかる費用)が約15万円、総額、約35万円です。

 開示請求にかかった弁護士費用の一部は、投稿者に請求した損害賠償でまかなうことが可能です。