AV(アダルトビデオ)に出演を強制された場合の対処法…契約取り消しと動画削除の方法

  • 2018.05.29
AV(アダルトビデオ)に出演を強制された場合の対処法…契約取り消しと動画削除の方法

アダルトビデオ(AV)に強制的に出演させられたという被害の訴えが相次いで報じられています。

「タレントにならない?」「モデルにならない?」などと芸能界に夢を持つ女性を、強引にあるいは言葉巧みに女性を誘い、AVに出演させるという手口で10~20代の女性が被害に遭っています。

ここでは、もしもAVなど性的な動画や写真を撮影され、それがネット上で拡散した場合、どのような対処方法があるのかをご紹介します。

AV強制出演について

「AVへの強制出演なんて実際にあるのか?」と思う人もいるかもしれません。

実際にここ最近では、モデルやタレントなどを夢見る女性に対して、芸能プロダクションとの契約と偽り、AVへの出演契約を結ばせたとして、AVプロダクションの経営者らが逮捕されるというニュースが報じられています。

多くのメディアで、AVに強制的に出演されたと被害を訴える女性が存在しているのも現状です。

契約の取消しは可能か?

もしも、AVへの出演契約を結んでしまったら、どのような行動に移せば出演を回避することができるのでしょうか?

「AVへの出演契約を取り消すことができるのか?」

答えは、契約を取り消すことができる可能性があります。

AV出演の旨が記載された契約書にサインしてしまった場合でも、契約そのものが公序良俗違反にあたる可能性があるからです。

公序良俗違反とは?

「公序良俗」とは、公の秩序(社会の一般的な秩序)と善良な風俗(社会の一般的な道徳)のことです。法律行為は社会の一般的秩序または社会の一般的道徳に適合していなければならないという旨が民法90条に記載されています。

つまり、AV出演自体が公序良俗に反し、出演契約は公序良俗違反になる可能性があります。

詐欺や脅迫による契約

契約を結ぶ際、詐欺や脅迫を受けて契約書にサインさせられた場合、それを取り消せる可能性があります。民法第96条により定められています。

錯誤無効による契約

「錯誤」とは、法律上で内心の考えと行動が食い違っていることを本人も知らないことをいいます。例えば、「本当は国語辞典を買いたくて書店に行ったが、間違えて英和辞典を購入して帰宅した」などが該当します。民法95条で定められています。

つまり、契約を結ぶ際、女性に撮影の具体的な内容、完成した後はどのように公開されるのかなどの説明が事実と異なる場合は、契約は無効になる可能性があります。

未成年が契約した場合

契約した本人が、20歳未満の未成年の場合、その契約は取り消すことができます。これは民法第5条で定められています。(ただし、婚姻している場合は、成年とみなされます)

AVへの出演を強引に契約させられた被害者の中には、未成年も多く含まれます。
法律で単独での法律行為は、成年にならなければ行えないと定められています。したがって、未成年者が単独でAV出演の契約を結んだ場合、保護者(法定代理人)の意思で取り消すことが可能です。

AV強制出演で逮捕者続出…何の罪で逮捕されているか?

これまで、AVに女性を強制的に出演させたとして、AVプロダクションの経営者やアダルトビデオ制作会社の経営者などが相次いで逮捕されていますが、どのような罪に問われて逮捕されているのでしょうか?一部をご紹介します。

労働者派遣法違反

「労働者派遣法」とは、派遣労働者の就業条件の整備、労働現場での権利を確保するために定められた法律です 。

これまでに、女性をAVに強制的に出演させたとして逮捕された人の中には、自身が経営するAVプロダクションの女優を強引に撮影現場に出向かせたとして検挙されています。

職業安定法

「職業安定法」とは、これから雇用に入ろうとする労働者に対して、それぞれの能力にふさわしい職業に就く機械を与えることで、社会全体の労働力を確保する目的とする法律です。
仕事を紹介する事業者は、適正な運営をし、ウソの条件や内容を示して労働者を募集することを禁止しています。

女性労働者にたいして強制的にAV撮影を強いることは、この法律に違反し逮捕者が続出しています。

淫行勧誘罪

「淫行勧誘罪」(刑法182条)とは、淫行の常習性のない女性を勧誘して意思に反した肉体関係させた者は3年以下の懲役30万円以下の罰金に処されると定められています。

警視庁は2018年1月、出演経験のない女性をAVに強制出演させたなどとして、AV制作会社の経営者らを淫行勧誘罪で逮捕しました。
この法律が適用されたのは、82年ぶりとも伝えられています。

撮影された作品が出回ってしまった場合の削除方法

現在、AV女優として活動されている人の中には、辞めたいけど辞められず、やむを得なく続けている人も多く存在すると言われています。

ビデオ販売差し止め

すでにビデオが販売されている場合は、販売差し止めは可能でしょうか。

そもそも、「差し止め」とは、他人の違法な行動により権利や利益を侵害される場合、侵害の停止や予防をすることができます。

ビデオの内容が公序良俗違反の場合や、契約時に詐欺や脅迫、錯誤があった場合、被害に遭った女性が未成年だった時など、契約そのものが違法なわけですから、すでに販売されているビデオ(販売前も含む)を差し止められる可能性があります。

ネットの削除方法

ネット上にAV動画が掲載されてしまった場合、削除はできるのでしょうか。

この場合も前項でご説明した通り、契約時に詐欺や脅迫、錯誤があった場合、被害に遭った女性が未成年だった時など、契約そのものが違法なので、ネット上に掲載された動画の削除が可能と考えられます。

ネットに掲載された動画の削除方法

AVへの出演経験を持つ女性の中には、強制的に出演した人のほか、経済的な理由で自ら希望して出演した人もいます。
希望してAV女優になった人の中にも、現在は全く別の職業に就き、ネットに掲載されている過去の出演動画を消したいと願う人も存在します。

ネット上に掲載されているAV動画を削除したい場合の方法を後述します。

削除依頼の方法

ほとんどのウエブサイトは、トップ画面に「お問い合わせ」があります。そこからサイト運営者と連絡をとることが可能です。

連絡する際、どのサイトでも最低限入力が必要な情報は以下の通りです。

■氏名
■連絡先(メールアドレスなど)
■削除したい投稿
■削除したい理由と根拠(※)

※「削除したい理由と根拠」とは、どのように記述すればよいのでしょうか。

例えば、「AV出演の契約をする際、脅迫を受けて契約書にサインし、本意でない撮影をされたため削除を依頼します。」

上記の例の場合は、「脅迫を受けて契約書にサインし、本意でない撮影をさせられた」ということが理由で、「脅迫」が法律違反となります。

必要事項を記載し、サイト運営者へ連絡を入れ、削除されるか否かの判断を待つことになります。

削除を依頼する際のポイントとして、削除したい根拠をはっきりと示すことが重要です。
契約時、違法な方法を受けて契約させられた場合は、明確にその状況を明記する必要があります。

注意点

削除依頼する際の注意点として、「削除するか否かは、サイト運営者の判断になる」ということです。
お問い合わせ欄から削除依頼する場合は、「絶対に削除して欲しい!」と願っても、必ず削除してもらえるとは限りません。つまり、この方法だと「強制力」がないことを忘れてはいけません。

弁護士に削除依頼するメリット

前述の削除方法だと、強制力がないことをお伝えしましたが、弁護士に相談することで法的な知識を持って削除依頼することができます。

状況に応じてどのような行動をとればよいのかなど、正しい判断ができると考えられますし、ケースによって適切な対処を検討することが可能です。

また、AVに強制的に出演させられた場合、依頼者の精神的苦痛は計り知れません。弁護士に削除を任せることによって、その苦痛を軽減できることが予想されます。
万が一、AV製作会社などとトラブルになったとしても、弁護士が介入していれば代わりに対応してくれます。

現在、ネット上の動画削除などネット上のトラブルに強い弁護士が存在します。そのような専門家に依頼すると、問題解決への一番の近道とも言えることでしょう。

相談窓口一覧

AV強制出演の被害に遭い、悩んでいる場合は以下で相談を受け付けています。ひとりで悩まず、まずは誰かに相談してみることが解決への第一歩です。

■内閣府が相談窓口をまとめています。
内閣府男女共同参画局

■国際人権NGO
ヒューマンライツ・ナウ

■NPO法人 人身取引被害者サポートセンター
ライトハウス