個人の権利を守りながらインターネットの利用をすることを求められるような時代になってきています。
2016年に医療系キュレーションサイト「WELQ(ウェルク)」をはじめとする株式会社DeNAが運営する複数のサイトが、不正確な情報や著作権を無視した引用を使用した記事を掲載していたことで、サイトの休止へと追い込まれたのが記憶に新しいのではないでしょうか。
この一件により、インターネット上の問題が表面化され、個人の権利を保護しながらサイトを運営することが、運営者により一層求められるようになりました。
ですが、現在でも個人の権利が侵されるケースも珍しくありません。それは、NABER(ネイバー)まとめも例外ではありません。
今回は、NAVERまとめで、権利が侵害される理由と、侵害された場合の削除依頼方法についてお伝えしいたいと思います。
NAVERまとめとは
NAVERまとめでは、ひとつのテーマに関する記事を他のメディアから集めて、情報をまとめて作成した記事が投稿されています。そのような記事は、通称「まとめ記事」と呼ばれています。
ゴシップニュースから料理レシピ、アートまで幅広い記事が投稿されています。
NAVERまとめで権利が侵害される理由
NAVERまとめでは、なぜ権利の侵害が発生するのでしょうか。
NAVERまとめのまとめ記事は、他のメディアから、画像や文章を引用(他人が書いた文章を自分の記事に用いること)して作成されていまうす。そのため、しばしば著作権をはじめとした権利の侵害が発生しやすいのです。
悪質記事に対するNAVERまとめ側の姿勢
とはいえ、NAVERまとめでは悪質な記事を野放しにはしていません。コンテンツの削除について以下の利用規約で規定があります。
当社は、利用者が投稿コンテンツなどに関し法令もしくは本規約に違反しまたは違反するおそれのあると当社が認めた場合、その他業務上の必要性がある場合には、あらかじめ利用者に通知することなく、当社の管理するサーバから投稿コンテンツを削除するなどの方法により、本サービスまたは投稿コンテンツを利用できないようにすることができます。
引用元:https://help.naver.jp/rules/
以上の規約から、法律に違反したまとめ記事については、削除の対象になることがうかがい知れます。
ですので、運営側に法律違反の報告をすれば、削除に応じてくれる可能性があります。
NAVERまとめと権利侵害
では、NAVERまとめではどのような法律に違反する可能性が考えられるのでしょうか。主に、下記表の権利の侵害が挙げられます。
権利侵害 | 定義 | 例 |
名誉毀損 | 不特定多数の状況下で、他人の社会的評価を下げる行為 | ・○○というお店はヤクザが経営している
・この店は腐った食材を客に平気で出してくる |
侮辱 | 具体的な事実を避け、おおやけの場で社会的評価を下げる行為 | ・○○というお店は接客が酷い
・全従業員が頭おかしい |
プライバシーの侵害 | 公共の場で、公開を望んでいない個人情報や私生活の情報を暴露する行為 | ・〇〇(フルネーム)という店員に騙された
・このマンションには〇〇(フルネーム)が住んでいる |
信用毀損 | 故意に嘘の噂を流したり人を騙したりして、他者の信頼を傷つける行為 | 「〇〇というお店のラーメンにハエが入っていた」という事実無根の口コミによって、客足が少なくなった |
著作権侵害 | 著作物が、権限を有しない第三者によって使用される行為 | ・著作物のコピー
・複製 |
以上に挙げた権利侵害を受けている場合は、NAVERまとめにまとめ記事の削除依頼をすれば応じてくれる可能性があります。
削除依頼の手順
では、どのようにNAVERまとめに削除依頼をすればよいのでしょうか。以下の手順で行いましょう。
【手順①】NAVERまとめアカウントを作成する
削除依頼をするためには、NAVERまとめのアカウントが必要になります。事前に、コチラから用意しておきましょう。
【手順②】問い合わせフォームに移動する
NAVERまとめのアカウントが用意出来たら、まとめ記事のタイトル下に表示されている「この記事に関するお問い合わせ」をクリックして、問い合わせフォームに移動します。
【手順③】問い合わせフォームに必要事項を入力する
問い合わせフォームを入力する際の注意点について、項目ごとに見ていきましょう。
■お問い合わせの種類
「種類」は、権利の侵害を受けている場合は「権利侵害申告」を選択してください。
■お客様の情報
削除結果等の重要な連絡のやり取りをする際に必要になるので、メールアドレスは間違えないように入力してください。
■お問い合わせ内容
「内容」には、何の権利の侵害を受けているのかを記入します。運営者は、それを基に削除の可否を決定します。ですので、詳細な内容を明記しましょう。
下記が例文なので、参考にしてみてください。
お世話になります。〇〇と申します。
この度は「〇〇(まとめ記事のタイトル)」(〇〇(URL必須))で、記事の作成者(〇〇(作成者名))による誹謗中傷的な発言が見受けられるので、記事の削除を依頼したくご連絡申し上げました。
この作成者は「〇〇(誹謗中傷と思しき内容)」として、NAVER利用規約「第3条(禁止事項)」の(2)や(3)(どの規約に違反しているかは適宜選択) に違反している行為です。
利用規約の法律で保護されている私の権利(名誉権やプライバシー権、企業の経済的自由権など適宜)が侵害されており、法律に違反している行為となります。
実際に、〇〇(売上の減少、精神的苦痛など)など、被害を受けているので早急なご対処の程よろしくお願い申し上げます。
引用元:https://sakujo.or.jp/navermatome-sakujoirai/#toc7
上記のように、利用規約を交えながら説明すると、削除に応じる可能性は高くなるかもしれません。
また、「内容」に既に入力されているURLは、あなたが削除したいまとめ記事のURLです。消すと、どの記事に対しての削除依頼なのかが運営者に伝わらないので、消さないようにしてください。
さらに、権利を侵害されている事実が分かる参考画像・写メがある方は、「ファイルの添付」をしましょう。例えば、著作権侵害された場合は著作権者本人である証拠、個人情報が漏らされた場合は運転免許証等の公的身分証明証等の添付が必要かもしれません。
削除できない場合
以上で紹介した方法で削除依頼をしても、削除できない可能性も考えられます。その場合は、泣き寝入りするしかないのでしょうか。
実は、他にも方法があります。次の2つの方法が挙げられます。
【方法①】仮処分
仮処分とは、裁判をせずに勝訴(裁判で勝つこと)時と同じ状態を確保する手続きのことをいいます。
判決が下されるまでに1年前後あるいはそれ以上の期間を要する裁判に対して、仮処分は数日から数週間で判決が下されます。
裁判で判決が下されるのを待っていては問題のあるまとめ記事が拡散される恐れがあります。スピーディーな解決が望まれるインターネット上のトラブルは、裁判より短期で判決が下される仮処分の方がよいと言えるでしょう。
【方法②】発信者情報開示請求
発信者情報開示請求とは、プロバイダに対し、発信者の情報(住所・氏名・登録された電話番号等)の開示を求めることをいいます。
発信者情報開示請求は、投稿者を突き止めて、本人に削除してもらうこと等を目的に行います。
弁護士に相談をするのがオススメ
以上の「仮処分」「発信者情報開示請求」は法的手続になるため、法律に関する専門知識が必要になります。自身で手続きを進めていくことは非常に難しいです。
昨今は、インターネットネット上のトラブル解決を得意分野とする弁護士が現れています。ですので、インターネット上のトラブルに強い弁護士に相談をすることをオススメします。弁護士に相談をすれば、それぞれの問題に対し的確に応じてくれるでしょう。
無断転載ツイートの削除依頼方法
NAVERまとめには、ツイートが引用されているケースも多いです。ただ、その多くは無断で転載されている可能性が考えられます。
ですので、無断で掲載されたツイートを削除したいと考えている方も少なくないのではないでしょうか。
NAVERまとめに無断転載されたツイートの削除依頼は簡単です。以下の5ステップで削除依頼が完了します。なお、ツイートの削除依頼には、ツイッターアカウントが必須です。ツイッターアカウントをお持ちでない方は事前に用意しておきましょう。
【ツイート削除①】ゴミ箱アイコンをクリックする
無断掲載されているツイートにカーソルを合わせると下記画像のように、右上にゴミ箱のアイコンが表示されます。
ゴミ箱のアイコンをクリックすると、ツイッター認証に関するポップアップが表示されます。
「Twitterで認証」をクリックし、ツイッター認証作業に移ります。
【ツイート削除②】ツイッター認証を行う
上記の画面に移るので、お持ちのツイッターアカウントの「ユーザー名、またはメール」「パスワード」を入力して、「連携アプリを認証」をクリックしてください。
すると、ツイッター認証が完了します。
【ツイート削除③】削除する
認証後、「削除を行ったことがまとめ作成者に通達されます。また、元に戻すことはできません。このツイートを削除しますか?」と確認されます。
これまで、まとめ作成者に通知されてトラブルが発生したという事案は起きていません。ですので、「削除」を選択しましょう。
以上で無断掲載ツイートは、NABERまとめの記事から削除されます。
終わりに
NABERまとめでは、記事の削除依頼方法と無断転載されたツイートの削除依頼方法は異なります。
記事の削除依頼については法律や規約に基づいて削除したい理由を述べなければならないため、簡単ではありません。
ですので、もし依頼に応じてもらえなかった場合は、法律の知識を持っている弁護士に相談すとをオススメします。