匿名の犯人が特定できる!「発信者情報開示請求書」の書き方

  • 2018.07.13
匿名の犯人が特定できる!「発信者情報開示請求書」の書き方

相次ぐネット上での誹謗中傷トラブル。匿名性の高い掲示板やSNSで、他人を誹謗中傷する行為が後を絶たず、人々にとって身近な問題となっています。

その被害に苦しむ人の中には、自らで解決を図ろうとする人も多いようです。解決方法のひとつとして、「発信者情報開示請求書」を活用する方法があります。

この記事では、発信者情報開示請求書の書き方についてお伝えします。

発信者情報開示請求書とは?

「発信者情報開示請求書」の「発信者」とは、匿名の掲示板やSNSに投稿をした人物を指します。また、「開示請求」とは、相手が持っている情報を提供させることを言います。

つまり、「発信者情報開示請求書」とは、例えば匿名の掲示板やSNS上で誹謗中傷トラブルが発生した場合、誹謗中傷の書込みをした犯人の探し出すための書類です。

この書類を用いて、誹謗中傷の犯人を突き止める方法は、プロバイダ責任法で定められています。

「開示請求」の具体的な流れについてはコチラをご覧ください

プロバイダ責任法とは?

プロバイダ責任法とは、2002年5月に施行された比較的に新しい法律です。ネットが普及し、それに伴うトラブルも増えたことから制定されました。

例えば、ネット上での誹謗中傷、著作権侵害などのトラブルが発生した場合、問題の情報の削除や発信者情報の提示を求めることを定めた法律です。

ネット上のトラブル発生に役立つ「プロバイダ責任制限法」とは?

「発信者情報開示請求書」は誰が、誰に宛てる書類か?

「発信者情報開示請求書」は誰が誰に宛てて送ることができる書類なのでしょうか。

■ 誰が

前述したとおり、発信者情報開示請求書は、プロバイダ責任法という法律で定められている法的手続きです。

この書類を使用して、発信者できる人は、トラブルの被害に遭った本人または代理人(弁護士)です。

■ 誰に

発信者情報開示請求書を送る相手は、「サイト管理者」と「ネット回線会社」の両者です。

発信者情報の開示を求める相手は、プロバイダ責任法によると「プロバイダ等」です。 プロバイダと聞くと、ネット回線会社の「インターネットプロバイダ」を指すことが多いですが、プロバイダ責任法ではサイト運営者も「プロバイダ」に含まれています。

サイト運営者は、コンテンツプロバイダとも呼ばれており、インターネットプロバイダと呼称の区別を図ることができます。

【発信者情報開示の流れ】

発信者情報開示請求の流れ

 

書類はどこで入手できる?

発信者情報開示請求書の書式は、ネット上でダウンロードが可能です。
例えば、ネット上のトラブルに強い弁護士が所属する法律事務所のホームページなどから、書式を入手できます。

ネットで調べ物

発信者情報開示請求書の書き方

実際に、発信者情報開示請求書を自らで書こうとした時、どのように書けば良いのでしょうか。
下記の書式に基づいて、書き方をご紹介します。

【発信者情報開示請求書 書式】

発信者情報開示請求書-1

発信者情報開示請求書-2

 

書類の宛先となるのは、「管理者」と「ネット回線会社」があり、記載内容がそれぞれ異なるため、それぞれのパターンでお伝えします。

「サイト管理者」宛て

はじめに、サイト管理者(コンテンツプロバイダ)宛ての記載例をご紹介します。

■ 「[貴社・貴殿]が管理する特定電気通信設備等」

問題の書込みされているページのURLを記載する項目です。
また、匿名掲示板で問題の書込みされた場合、スレッド番号やレス番号を示すと、さらに明確になります。

■ 「掲載された情報」

問題の書込みと考える書込みの内容を記載する項目です。
該当する書込みが複数ある場合、長文の場合は印刷して、別紙添付での送付も可能です。

■ 「侵害された権利」

「名誉権」(※)や「プライバシー権」(※)など侵害された権利を示す項目です。

(※注釈)
「名誉権」とは、人間の人格。他人から名誉を侵害されない権利。
「プライバシー権」とは、他人から私生活を勝手に公開されない権利。

■ 「権利が明らかに侵害されたとする理由」

前項で示した「侵害された権利」の理由を明記する項目です。

例えば、「私が自宅マンションに毎日のように愛人を連れ込んでいる」との書込みがありますが、私自身は現在、アメリカへ単身赴任で行っており、自宅に戻るのは月に一度程度です。
そのため、私が愛人を毎日のように自宅に連れ込むことは信憑性が薄いと考えられます。」

■ 「発信者情報の開示を受けるべき正当理由 (複数選択可)」

発信者情報を知りたい理由に該当する箇所に○を付けます。

■ 「開示を請求する発信者情報(複数選択可)」

発信者について知りたい内容の該当箇所に○を付けます。

サイト管理者宛ての場合は、下記の4,5、6に○を付けます。

4発信者が侵害情報を流通させた際の、当該発信者の IP アド レス、
5.侵害情報に係る携帯電話端末等からのインターネット接続サービス利用者識別符号、
6.侵害情報に係るSIMカード識別番号のうち、携帯電話端末等からのインターネット接続サービスにより送信されたもの

■ 「証拠」

例えば、誹謗中傷被害の場合、問題の書込み内容がウソである証拠を示す項目です。
上記、例で示した「現在、アメリカに単身赴任中で、愛人を自宅に連れて来られない状況」という内容ならば、「アメリカに単身赴任中」の証拠を示さなければなりません。
この場合、パスポートの写しなどで対応できるでしょう。

また、証拠の提出は、添付資料での送付がほとんどです。そのため、「発信者情報開示請求書」には、「別紙添付」と記載すると良いでしょう。

「ネット回線会社」宛て

続いて、ネット回線会社(インターネットプロバイダ)宛ての記載例です。

■ 「[貴社・貴殿]が管理する特定電気通信設備等」

サイト管理者から提示された「IPアドレス」を記載します。

■ 「掲載された情報」

問題の書込みと考える書込みの内容を記載する項目です。
該当する書込みが複数ある場合、長文の場合は印刷して、別紙添付での送付も可能です。

■ 「侵害された権利」

「名誉権」(※)や「プライバシー権」(※)など侵害された権利を示す項目です。

(※注釈)
「名誉権」とは、人間の人格。他人から名誉を侵害されない権利。
「プライバシー権」とは、他人から私生活を勝手に公開されない権利。

■ 「権利が明らかに侵害されたとする理由」

前項で示した「侵害された権利」の理由を明記する項目です。

例えば、「私が自宅マンションに毎日のように愛人を連れ込んでいる」との書込みがありますが、私自身は現在、アメリカへ単身赴任で行っており、自宅に戻るのは月に一度程度です。
そのため、私が愛人を毎日のように自宅に連れ込むことは信憑性が薄いと考えられます。」

■ 「発信者情報の開示を受けるべき正当理由 (複数選択可)」

発信者情報を知りたい理由に該当する箇所に○を付けます。

■ 「開示を請求する発信者情報(複数選択可)」

発信者について知りたい情報の該当箇所に○を付けます。

ネット回線会社の場合、1、2、3が該当します。

1.発信者の氏名又は名称
2.発信者の住所
3.発信者の電子メールアドレス

■ 「証拠」

例えば、誹謗中傷被害の場合、問題の書込み内容がウソである証拠を示す項目です。
上記、例で示した「現在、アメリカに単身赴任中で、愛人を自宅に連れて来られない状況」という内容ならば、「アメリカに単身赴任中」の証拠を示さなければなりません。
この場合、パスポートの写しなどで対応できるでしょう。

また、証拠の提出は、添付資料での送付がほとんどです。そのため、「発信者情報開示請求書」には、「別紙添付」と記載すると良いでしょう。

補足

「発信者情報開示請求書」の宛名は、「サイト管理者」の場合、問題の情報が掲載されているサイト内に記載されている「会社概要」で調べることが可能です。

「発信者情報開示請求書」をプロバイダに送付した後はどうなる?

「発信者情報開示請求書」が、「ネット回線会社」へ届くと、発信者の元へ「発信者情報開示に係る意見照会書」と題された書類が届く可能性があります。

「発信者情報開示に係る意見照会書」とは、第三者から情報の開示を求められた場合、発信者に情報を提示しても良いかと訪ねるための照会書です。

ネット回線会社にとっては、顧客の個人情報のため、勝手に提供することは原則ありません。したがって、発信者本人に情報の提供の有無を問う必要があります。

発信者情報開示に係る意見照会書の詳細は、下記のリンクをクリックしてご覧ください。
発信者情報開示に係る意見照会書が届いた場合の対処法

最後に

匿名サイト上で他人を誹謗中傷する人は、「匿名だから他人の悪口を書いても、自分の本名はバレない」という心理が働いているようです。

しかし、「発信者情報開示請求書」を活用することで、書込みの人物を特定できる可能性があります。
つまり、ネット上に匿名は存在しないとも言えます。

今、ネット上において、顔も名前も知らない相手とトラブルになっている場合、相手が特定できることで解決への道は開けます。

また、発信者が特定できれば、損害賠償(慰謝料)請求などを行うことも検討できます。そのため、法的な書類である「発信者情報開示請求書」を送付する段階から、ネット上のトラブルに強い弁護士に相談しながら事を進めることも、ひとつの有効的な解決手段です。