グーグルマップの口コミの「削除依頼方法」と「削除基準」

グーグルマップの口コミの「削除依頼方法」と「削除基準」

 今、自分がいる場所の周辺にあるレストランやカフェを探す際、グーグルマップ(Google Map)を参考にする方は多いのではないでしょうか。
 グーグルマップには、地図機能の他に口コミも掲載されているため便利です。

 ただ、便利なグーグルマップには、例えばパン屋であれば「焼きたてパンを下さいと言ったら、散々待たされた挙げ句、持ってきたのは軽く温め直したパサパサのパンだった。最悪」「まずくて高い」等、ネガティブな口コミが書かれているケースがあります。そのような口コミがあると、集客の妨げになり、売り上げに悪影響を及ぼす可能性があります。

 そこで本記事では、グーグルマップの口コミの「削除依頼方法」と「削除基準」についてお伝えします。

 

グーグルマップの口コミとは

 グーグルマップの口コミとは、地図上に表示される飲食店や病院、銀行、学校等の施設についての口コミを、グーグルアカウントを保有しているユーザーが自由に投稿出来る機能のことをいいます。

 観光スポットや飲食店等の目的地に向かうためのルート検索としてグーグルマップが利用されるケースが多いため、それに掲載されている口コミは影響力が大きいのです。高評価な投稿がされれば、お店や企業にとっては追い風になるというメリットがあります。

 

グーグルマップの口コミと風評被害

 しかし、悪評価の口コミが投稿されれば風評被害は計り知れません。例えば以下のような投稿をされると風評被害をうける可能性は否定出来ません。

◆「〇〇中華料理店でラーメンを注文したら、スープに親指を入れて持ってきた」
◆「〇〇病院は、ヤブ医者が多い。待ち時間が長いし、医者や看護師の態度も悪い」
◆「〇○美容院に行って、髪を5センチ切ってほしいと言ったのに10センチも切られた」

 このような口コミがあると、客数減少の原因になるかもしれません。もし、このような投稿を見つけた場合は、グーグルに削除依頼をするのが得策でしょう。

 

グーグルマップの口コミ削除基準

 但し、全ての削除依頼に対応するとは限りません。
 グーグルは「ユーザー作成コンテンツがすべての利用者にとって有益なものとなるように策定を行う」というポリシーを公言しています。換言すると、「口コミは有益な情報でなければならない」と言えます。
 つまり、有益な情報ではない口コミが削除の対象になるのです。

 では、どのような情報が口コミ削除の対象になるのでしょうか。グーグルは、「禁止および制限されているコンテンツ」「法律に違反する口コミ」の2つの削除基準を定めています。
 1つずつ見ていきましょう。

【削除基準①】禁止および制限されているコンテンツ

 グーグルは以下に該当する口コミを、「禁止および制限されているコンテンツ」として削除対象に定めています。

⑴スパム

 スパムとは、無差別かつ大量にパラまかれるメッセージのことを指します。例えば、同じ口コミを複数回投稿する等の行為がスパム行為に該当する可能性があります。

⑵虚偽

 グーグルマップの口コミは、実体験に基づいたものでなければならないと考えられます。そのため、実体験のない口コミは虚偽と見なされ削除の対象になります。
 また、事実とは異なる内容の口コミも虚偽に該当する可能性は否定出来ません。

⑶関連性がない

 グーグルマップが示す場所と関連性がない口コミは削除の対象になります。
 例えば、国会議事堂に政治的な主張がされている口コミがあるとします。国会議事堂は国会等が行われる施設なので、一見、政治的主張は関係があるように見えます。しかし、グーグルマップの口コミは、あくまでも地図に表示された場所の実体験等が投稿されなければなりません。政治的主張をするためのサービスではないため、関連性がないと判断されます。

 他にも、個人的な不満が述べられている口コミも関連性がないと判断される可能性が考えられます。

⑷制限のある商品・サービスの販売促進

 アルコールやタバコ等の年齢制限がされている商品や、銃やギャンブル等の地域によって規制がある商品・サービスの販売を促進するフレーズが含まれる口コミは、削除対象になります。
 不特定多数の目に触れるグーグルマップの口コミに、制限のある商品・サービスの販売が促される行為は適さないと考えられているためです。

 また、制限のある商品・サービスを購入するためのページリンク、あるいはメールアドレスや電話番号等の連絡先が含まれている場合も、販売促進していると判断され削除される可能性があります。

⑸テロリスト関連

 テロリスト行為を助長したり称賛したりする口コミは、削除の対象になります。それだけでなく、テロリストの組織がグーグルマップの口コミに投稿することは一切認められていません。

⑹露骨な性的表現

 露骨な性表現が含まれた口コミは削除の対象になります。例えば、露骨なアダルト画像や、卑猥なワードを用いた口コミ等が該当します。
 また、性的虐待が連想されたり、児童を性的に表現されたりする口コミも削除の対象です。

⑺差別

 差別をするような口コミも削除対象になります。例えば、性別や人種に関する悪意ある口コミは差別に挙げられます。

⑻なりすまし

 グーグルマップの口コミは他人を欺くような、なりすましは許されません。
 なりすましとは、投稿者が他者を演じて口コミを投稿する行為のことをいいます。例えば、従業員が客を演じて高評価な口コミを投稿した場合は、なりすましに該当するでしょう。
 なりすましと見なされた口コミは、削除の対象になります。

⑼利害がある

 グーグルマップの口コミは、公平であるべきと考えられています。そのため、以下のような行為は、実際よりも過大評価や悪評価になりやすく公平性に欠ける可能性があるため、削除の対象になります。

■経営者が自社の口コミを投稿
■過去に働いていた職場の口コミを投稿
■競合他社が提供する商品・サービスを評価する

【削除基準②】法律に違反する口コミ

 法律に違反する口コミも削除の対象になります。グーグルマップの口コミで可能性がある法律違反は下記が上げられます。

法律定義
名誉毀損罪不特定多数の状況下で、他人の社会的評価を下げる行為・○○というお店はヤクザが経営している

・この店は腐った食材を客に平気で出してくる

侮辱罪具体的な事実を避け、おおやけの場で社会的評価を下げる行為・○○というお店は接客が酷い

・全従業員が頭おかしい

プライバシーの侵害公共の場で、公開を望んでいない個人情報や私生活の情報を暴露する行為・〇〇(フルネーム)という店員に騙された

・このマンションには〇〇(フルネーム)が住んでいる

信用毀損罪故意に嘘の噂を流したり人を騙したりして、他者の信頼を傷つける行為「〇〇というお店のラーメンにハエが入っていた」という事実無根の口コミによって、客足が少なくなった
脅迫罪他人を脅かす目的で危害を与える行為○月○日までに店を撤退しなければ放火してやる

 

削除依頼方法

 お待たせしました。ここからはグーグルマップの口コミの削除依頼方法についてお伝えします。
 依頼方法は、削除依頼者がビジネスオーナーと第三者のどちらに該当するかによって異なります。ビジネスオーナーとは、口コミが投稿されているお店や施設、法人の関係者のことを指します。そうでない場合は、第三者に該当します。

ビジネスオーナーの削除依頼の手順

 ビジネスオーナーが削除依頼をする場合は、グーグルアカウントが必須です。アカウントを持っていない場合は作成しておいてください。

グーグルアカウントはこちらのページから作成出来ます。

 次いで、グーグルマイビジネスに自身のグーグルアカウントを登録します。登録には必要書類の提出等、本人確認が必須です。
 その後は、パソコンとスマホどちらで削除するかによって操作が異なります。それぞれの手順をご紹介します。

パソコン
1. Google マイビジネスにログインします。
2. リスティングが 2 つ以上ある場合は、カード表示 に切り替え、管理するビジネス情報の [ビジネスを管理] をクリックします。
3. メニューの [クチコミ] をクリックします。
4. 報告するクチコミを見つけ、その他メニューをクリックして、[不適切なクチコミとして報告] をクリックします。

モバイル
1. Google マイビジネス アプリを起動します。
2. メニュー (画像:equiv) をタップし、[クチコミ] をタップします。
3. 報告するクチコミを見つけ、その他メニュー をタップして、[不適切なクチコミを報告] をタップします。

引用元:https://support.google.com/contributionpolicy/answer/7445749?hl=ja&ref_topic=7422769

第三者の削除依頼の手順

 第三者が削除依頼をする場合は、ビジネスオーナーのようにグーグルマイビジネスにグーグルアカウントを登録する必要はありません。
 以下の手順で削除依頼を行います。

①対象の店舗・企業等をクリックします。
②下記画像の左側に表示されるカッコつきの数字をクリックします。すると、口コミが表示されます
グーグルマップ 口コミ 削除

③削除を希望する口コミの投稿者名の右側に表示される「 (画像:santenreader)」をクリックします。
➃「違法コンテツを報告」をクリックします。
⑤メールアドレスを記入し、該当する違反の種類を選択します。最後に「送信」ボタンを押して、報告完了です。

 なお、以上の2つのやり方は、削除のされやすさに違いはありません。
 お店や施設、法人の関係者が第三者としての報告をしたい場合は、前出の「第三者の削除依頼の手順」に沿って削除依頼を行いましょう。

削除依頼する際の注意点

 グーグルマップの削除依頼をする際は、以下の6点を注意してください。

【注意点①】削除依頼の意図が伝えづらい

 グーグルマップの口コミの削除は、文章での依頼ではなく下記画像のように4つの中から当てはまるものを選択する形式の削除依頼になります。

グーグルマップ 口コミ 削除

 そのため、依頼者の削除を希望する本来の意図が伝わりづらい面があります。問題のある口コミが削除されず、放置されるケースも珍しくありません。

【注意点②】削除依頼は一度限り

 依頼して削除されなかった口コミを、再度依頼してもグーグルは対応しない可能性があります。たとえ、選択肢を変えて依頼したとしても対応は変わらないでしょう。
 また、削除依頼を繰り返すとスパム行為と見なされ処罰の対象になる可能性があるため、同じ口コミに対し何度も削除依頼を行うのは避けてください。

【注意点③】口コミがいつ削除されるのかについては公表されていない

 グーグルは、口コミがいつ削除されるのかについては公表していません。グーグルには日々、膨大な削除申請が送られており、1つ1つの依頼に対し、削除するかどうかの判断をしています。
 ですので、依頼直後に削除される可能性は低いと言えます。一定の時間を要することを心積もりしておきましょう。

【注意点➃】削除に関する通知は来ない

 口コミが削除されたとしても、依頼者本人に通知は来ません。手間になりますが、削除されたかどうかは自身で確認する必要があります。

【注意点⑤】星評価のみの口コミ削除は難しい

 星評価のみの口コミは、グーグルの削除基準を満たす要素がありません。ですので、削除するのは難しいのが現状です。

【注意点⑥】管理画面上は確認できないが、グーグルマップ上は消えていない

 ビジネスオーナーとして削除依頼をする場合、削除依頼した口コミが管理画面上は確認できなくても、グーグルマップ上は残っているというケースがあります。
 ただ、それはタイムラグによる現象なので、一定時間を置けばグーグルマップ上でも口コミは削除されます。

削除できない場合

 グーグルに削除基準を満たしていないと判断され、削除できない口コミがある場合は泣き寝入りするしかないのでしょうか。
 実は、他にも方法があります。次の2つの方法が考えられます。

仮処分

 仮処分とは、裁判をせずに勝訴(裁判で勝つこと)時と同じ状態を確保する手続きのことをいいます。
 判決が下されるまでに1年前後あるいはそれ以上の期間を要する裁判に対して、仮処分は数日から数週間で判決が下されます。
 裁判で判決が下されるのを待っていては問題のある口コミが拡散される恐れがあります。スピーディーな解決が望まれるインターネット上のトラブルは、裁判より短期で判決が下される仮処分の方がよいと言えるでしょう。

【関連記事】仮処分とは?わかりやすく解説

仮処分が実行されれば、裁判所がグーグルに対して口コミの削除命令を下します。裁判所の決定によって行われる仮処分は、必ず従わなければなりません。

発信者情報開示請求

 発信者情報開示請求とは、プロバイダに対し、発信者の情報(住所・氏名・登録された電話番号等)の開示を求めることをいいます。
 発信者情報開示請求は、投稿者を突き止めて、本人に削除してもらうこと等を目的に行います。

削除できない場合は弁護士に相談がオススメ

 但し、前項で紹介した「仮処分」「発信者情報開示請求」は、法的手続になるため、自身で進めていくには難易度が高いです。ですので、仮処分や発信者情報開示請求を行う場合は、法律に詳しい弁護士に相談することをオススメします。
 弁護士に相談をすれば、どのように進めていけばスムーズに事が進むのかを助言してくれるでしょう。

最後に

 グーグルマップの口コミは、匿名で投稿できるため他人を傷つけるような口コミが多いのが現状です。
 ただ、グーグルは口コミの削除について基準を設けているため、全ての削除依頼者の要望が叶うとは限りません。客数が減少する等の風評被害をうける口コミだとしても、削除されないケースも珍しくありません。

 その場合は、弁護士に相談をすることをオススメします。弁護士に相談をすれば仮処分や情報開示等の方法を駆使して、一人ひとりに合った解決方法を導き出してくれるでしょう。