リベンジポルノの相談先:1人で悩まず相談機関を利用しよう

2019年11月に亡くなったKARAの元メンバーのク・ハラさんをめぐって、交際相手の男が傷害や脅迫等の罪で起訴され、懲役1年の実刑判決が確定しました。
一方で、いわゆるリベンジポルノを撮影したこと自体は、無罪とされたのです。

この一例を取ってみても、現代社会ではリベンジポルノが軽視される傾向にあります。
しかし、リベンジポルノの被害を受けた本人は、事が事だけに周りに相談出来ず、人知れず大きな苦痛を強いられるケースが少なくありません。

リベンジポルノの被害に遭った場合、相談する機関等はあるのでしょうか。本記事では、リベンジポルノの相談先についてお伝えしたいと思います。

 

リベンジポルノとは

リベンジポルノとは、元配偶者や元恋人が、フラれる等、相手から拒否されたことで恨みを持ち、復讐のために裸などの性的な写真や動画をインターネット上に無断で掲載する嫌がらせ行為のことをいいます。
写真や動画の公開先は、SNSやブログ、掲示板などのインターネット上の他、印刷してポスティングでバラまくケース等が挙げられます。

 

リベンジポルノ防止法

そんなリベンジポルノを規制する法律が2014年11月26日に制定されました。それが、リベンジポルノ防止法(私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律)です。
それにより、他人の性的な写真や動画を無断でインターネット上に掲載することは犯罪と見なされるようになりました。

リベンジポルノ防止法に違反すると、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に科せられます。

リベンジポルノに該当する画像・動画

リベンジポルノ防止法では、リベンジポルノに該当する画像・動画を以下のように定められています。

■性交渉や性交類似行為の最中の写真・動画(挿入だけでなく、口や手での行為も含む)
■性器等に触れている写真・動画
■性器が露出している写真・動画

上記以外でも、苦痛に感じる写真・動画が無断で公開された場合も、リベンジポルノ防止法に違反する可能性があります。

 

警視庁発表のリベンジポルノの相談件数

警視庁の発表によると、全国の警察署に寄せられたリベンジポルノに関する相談件数は2015年が1,143件、2017年には1243件、2020年は1,479件と、年々増加しています。
被害内容は、スマホによる画像・動画の撮影がメインです。

なお、実際に起きているリベンジポルノの被害件数は、警視庁が発表している相談件数を大きく上回っていると予測されています。それは、リベンジポルノの被害を受けると羞恥心が勝り、誰にも相談出来ないケースが多いと考えられているためです。

 

リベンジポルノの相談先

実はリベンジポルノの相談先については充実しています。代表的なものを挙げるだけでも以下6つの機関が挙げられます。それぞれ特徴がありますので1つずつ見ていきましょう。

【相談①】警察

リベンジポルノ画像・動画が公表されると、複製等が行われ、瞬く間に拡散される恐れがあります。そのため、被害に遭われている方は、早期の相談をすることが重要になります。その際の相談先として、挙げられるのが警察です。
警察は、リベンジポルノの被害を確認し、その証拠があれば捜査を行い、犯人の逮捕へ向けて動きます。

性的な写真や動画をインターネット上に晒されるというとてもデリケートな事件ですので、希望すれば女性捜査員に対応してもらうことも可能です。

警察にリベンジポルノの相談をする際は、「性犯罪被害者相談電話(全国統一)」に連絡をしてください。
また、各都道府県の警察本部では、インターネット上の犯罪を専門に扱う「都道府県警察本部サイバー犯罪相談窓口一覧」を設けていますので、そちらに相談するのもよいでしょう。

但し、警察は犯罪に対しては動きますが、民事(犯罪には当たらない一般市民同士の争い)に対しては動きません。それは、警察は民事不介入(警察は民事紛争に介入するべきではない、とする警察権の原則)のためです。
ですので、リベンジポルノ防止法に違反していない限り、警察は動いてくれない可能性があります。

また、晒すぞと晒された場合、警察はストーカー規制法で近づけないように動いてはくれるでしょう。しかし、警察は加害者にリベンジポルノ画像・動画を提出させることは出来ません。

【相談②】弁護士

警察が動いてくれず困惑している方は、弁護士に相談するも一手です。
リベンジポルノを弁護士に依頼すると、被害状況を把握し、わいせつ画像が掲載されたサイトに対して、削除依頼や発信者情報開示請求等の対応を採ってくれます。
警察とは異なり、弁護士は犯罪に該当しない可能性があるリベンジポルノに対しても動いてくれます。

弁護士に相談する際は、インターネット上のトラブルに強い 弁護士への相談がオススメです。
近年のインターネットの普及、それに伴うトラブルで、弁護士の中にはIT分野に精通した弁護士が存在します。早期の解決や、慰謝料の増額などが可能と考えられます。

但し、弁護士に削除依頼をすると一定の費用を支払わなければならないのが難点です。

【相談③】嫌がらせ・ストーカー対策相談室

リベンジポルノをきっかけにして、ストーカーや嫌がらせの被害を受けて悩んでいる方は、「嫌がらせ・ストーカー対策相談室」に相談するとよいでしょう。
「〇〇をしたい場合は〇〇という機関に相談するといい」等の助言をしてくれたり、ストーカーをしている人が誰なのかを調査してくれたりします。

【相談④】匿名通報ダイヤル

知り合いがリベンジポルノに遭っているという場合は、匿名で通報出来る「匿名通報ダイヤル」があります。
「匿名通報ダイヤル」とは児童虐待等、潜在化しやすい犯罪の検挙等を目的に、市民から匿名のよる通報を受けている団体のことをいいます。
通報の多い案件については「匿名通報ダイヤル」が警察に情報提供を行い、検挙に動く可能性があります。

【相談⑤】東京ウィメンズプラザ

東京ウィメンズプラザは、配偶者や交際相手からの暴力等、様々な悩みに関する相談を受けている機関です。リベンジポルノに関する相談も受けています。

【相談⑥】法務省の人権擁護機関

法務省の人権擁護機関では、法務局職員や人権擁護委員がリベンジポルノをはじめ、人権に関する相談を受けています。電話とメール、どちらでも相談を受けています。

 

終わりに

リベンジポルノの被害に遭われている方は、周囲に相談出来ずに人知れず悩んでいる方が多いでしょう。そのような方は、以上で挙げた相談先に相談してみてください。被害状況に合わせて、アドバイスをくれることが期待出来ます。