ネット上の誹謗中傷の加害者になった場合に問われる罪

  • 2018.06.26
ネット上の誹謗中傷の加害者になった場合に問われる罪

 日本は憲法で「表現の自由」保障されています。
 表現の自由とは、人々はどんなことを発言しても、どんなことを表現してもよいことを保障したものです。

 しかし、他人を傷つけるような言動をすると法律違反となり場合があります。

 そのような場合、どの法律に違反するのかを以下で挙げます。

名誉毀損罪

 「名誉毀損」とは、他人の社会的評価を下げる言動を言います。内容が本当か嘘か、相手が個人か企業などの団体かは問われません。

 不特定多数の人が知り得る状況下で、他人の品性や能力を社会的に下げるような言動は、刑法230条で定める「名誉毀損罪」に問われる可能性があります。
 3年以下の懲役50万円以下の罰金と定められています。

侮辱罪

 「侮辱」とは、相手を軽視して、抽象的な言葉で名誉を下げる言動を指します。
 例えば、「バカ」「アホ」「カス」「クズ」「ブス」など具体的には言わずに、漠然とした表現で相手の社会的評価を下げると、刑法231条で定める「侮辱罪」にあたる場合があります。
罪に問われると、拘留または科料に処される可能性があります。

脅迫罪

 「脅迫」(きょうはく)とは、相手を脅し、恐怖を与える行為です。
例えば、「お前を殺すぞ」と相手の命を脅かす言葉を、一言口だけでも発しただけで脅迫罪に該当します。これは本人のみならず、親族への告知も含まれます(第2項)。

 「生命、身体、自由、名誉または財産に対して害を加える旨を告知」(第1項)と条文には記載されています。これを一つひとつ例に上げると下記になります。
 生命…「お前を殺すぞ!」「娘を殺すぞ!」
 身体…「殴るぞ!」
 自由…「娘を誘拐するぞ!」「閉じ込めてやる!」
 名誉…「世間に公表するぞ!」
 財産…「家に火をつけるぞ!」「ペットを殺すぞ!」
 
 脅迫罪は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が定められています。

業務妨害罪

業務妨害罪とは、①偽計業務妨害罪と②威力業務妨害罪の2つに大きく分かれます。

①偽計業務妨害罪とは、ウソの噂話しを流して人を欺き、業務を妨害することです。なお、この方法で人の社会的信用を損なわせることも同罪となります。

 この罪は、範囲が広く故意に行った行為が仕事中の人に迷惑を書けた場合、それが悪質と判断されると犯罪が成立します。

 事例として、旅行会社に勤務する社員の男性が、高校の遠足バスを手配することを忘れたことで、生徒を装って自殺をほのめかす手紙を学校に送りつけ、遠足を中止させようとした事件がありました。これは、バスの手配を忘れたミスを隠すためにした行為で、旅行会社社員は偽計業務妨害罪で逮捕されました。

 このように、「バスに爆弾をしかけたぞ!」などの直接的な脅迫ではなく、「自殺をほのめかす」という遠回りの方法で学校の業務を妨げたことも罪に問われることになりました。

 
②威力業務妨害とは、相手を圧倒的な力で押さえつけるような方法を用いて、業務を妨害することです。
 例えば、「市役所に爆弾をしかけたぞ!」と脅し、市役所の業務を妨げる行為などです。

 過去にはこのような事例もあります。スーパーマーケットにゴキブリ数十匹をばら撒いたとして、女性が威力業務妨害で逮捕されました。
 この行為は、ゴキブリを巻き散らかすという直接的で有効的な方法で、スーパーの業務を妨げたため、犯罪が成立しました。

偽計業務妨害、威力業務妨害の法定刑は、3年以下の懲役50万円以下の罰金です。

■「プライバシー権」

 「プライバシー権」とは、私生活上のことがらをみだりに公開されない権利とされています。つまり、プライバシーの侵害をさせない権利です。
 名誉毀損罪、侮辱罪が他人からの評価であることに対して、プライバシー権は「自分の情報の権利」ということになります。
 例えば、リベンジポルノのように自分の性的な部分を写真などで公開されることはプライバシー権に該当します。

損害賠償請求

上記の刑法で定められた罪の他、民法709条が定める不法行為によって損害賠償請も行える可能性があります。

最後に

 インターネットが普及した現代、ネット上に写真や動画、言葉を載せるということは、世界中に情報を発信していることになります。
 したがって、ネットが身近なものになった現代は、普及以前よりも誹謗中傷した際の罪は重いとされています。

 他人の悪口などをネットに書き込みそうになった時は、「送信」ボタンを押す前に、相手の気持ちを考えてみてください。